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第一章
お風呂で湯ったり
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「はぁ~…これまた広いお風呂ねぇ」
脱衣を終え、扉を開いた私の眼前に広がるは立派な大浴場だった。天井は二階建ての家屋ほど高く、ご丁寧に湯気を逃がす天窓もついている。壁にはどこかの山と湖を描いたと思われる風景画がパネルに描かれていた。
「サウナや露天風呂もあるどすえ~」
ウーナが尻尾を振りながらそれらしき場所を指し示した。窓を覗くと、それなりに繁盛しているようだ。
(…しかしまぁ…)
改めて見るとウーナの身体は半魚人ということもあり特徴的だった。基本は人間の女性だが、耳と前腕に魚(彼女の場合は鰻)のひれがついており、尾骨から鰻の尻尾が生えている。身体は全体的に肉付きは良い。ちなみにバストは平坦なほうのようだ。
「んん~?何見てるんどすえ~?」
ウーナが含み笑いをしながらこちらを見た。
「あ…ご、ごめん…」
思わず謝ってしまった。
「おや、魔勇者様は貧乳が好みですか?」
アウルがすかさず茶々を入れてきた。
「んも~。魔勇者様のす・け・べ!」
ウーナはわざとらしいポーズで私を見た。
「いやいや!そういう目で見てないから!わたしゃノンケだから!」
とは言ったものの、身体をくねくねさせるウーナを不覚にもセクシーだと思ってしまった。ノンケだからね!マジで!
「まぁ、見るならば私のような悩殺ボディーでしょうね」
さらっと厚かましいこと言うなオイ!豊満を強調するポーズをとるんじゃない!
「と、とにかく身体洗いましょ!洗い場はこっちでいいのね?」
「勢いで乗り切りましたね」
「も~、冗談ですのに~」
気を取り直して私達は洗い場に腰をかけた。洗い場の雰囲気は元の世界の銭湯のものとほぼ同じであった。
洗髪と洗体を終えて髪をまとめた私は湯舟に入った。程よい熱さのお湯に身体を慣らしながらゆっくりと足を入れ、肩までお湯に沈めた。
「ああ~…」
思わずおっさんくさい声が出た。こんなところでもお風呂は気持ちいいもんだね。アウルとウーナも私の後に続き湯舟に入った。
「ここのお湯は本物の温泉を使用しております。城の近くに活火山がありまして、そこの地下からお湯をひいているのです」
「活火山?」
「ええ。この城は山に囲まれておりまして、その火山の地下を通らなければここには辿り着けない構造になっております」
「しかもそこには強力な魔物の警備や溶岩のトラップがあるので簡単には突破できないどすえ~」
ふーん、ラストダンジョン前の難関ってところね。
「…やっぱり、攻め込んでくる人間っているの?」
ふと思った疑問をなげかけてみた。
「そうですね…この魔大陸に乗り込んでくる人間はたまにいます。もっとも、あの火山を越えた者は誰もいませんが」
「そう…」
この城の雰囲気ではわからなかったが、彼らは人間と戦争をしているのだ。
「…私も…戦わなければならないのよね…」
普通の女子高生として暮らしていた自分にとって戦争など遠い海の向こうの話だった。それがこの世界に連れてこられて現実のものになった。戦争を終わらせるために、そして元の世界に帰るためにも命のやり取りは避けられないのだ。そう考えると右手が震え出した。
「ご心配無用です。我々が全力でサポートいたします。この命に代えても魔勇者様を死なせはしません」
「そうどすえ~。魔王様からも命じられてますし、お守りしますどすえ~」
そう語る二人の表情はりりしく、どこか頼もしく感じた。
「さて、そんな辛気臭い話はおいといて、今はお風呂をエンジョイしましょう」
「エンジョイって…なんじゃその言い方…」
「あ、女の子同士でイチャコラの方がよかったですか?」
「よくねぇよ!」
脱衣を終え、扉を開いた私の眼前に広がるは立派な大浴場だった。天井は二階建ての家屋ほど高く、ご丁寧に湯気を逃がす天窓もついている。壁にはどこかの山と湖を描いたと思われる風景画がパネルに描かれていた。
「サウナや露天風呂もあるどすえ~」
ウーナが尻尾を振りながらそれらしき場所を指し示した。窓を覗くと、それなりに繁盛しているようだ。
(…しかしまぁ…)
改めて見るとウーナの身体は半魚人ということもあり特徴的だった。基本は人間の女性だが、耳と前腕に魚(彼女の場合は鰻)のひれがついており、尾骨から鰻の尻尾が生えている。身体は全体的に肉付きは良い。ちなみにバストは平坦なほうのようだ。
「んん~?何見てるんどすえ~?」
ウーナが含み笑いをしながらこちらを見た。
「あ…ご、ごめん…」
思わず謝ってしまった。
「おや、魔勇者様は貧乳が好みですか?」
アウルがすかさず茶々を入れてきた。
「んも~。魔勇者様のす・け・べ!」
ウーナはわざとらしいポーズで私を見た。
「いやいや!そういう目で見てないから!わたしゃノンケだから!」
とは言ったものの、身体をくねくねさせるウーナを不覚にもセクシーだと思ってしまった。ノンケだからね!マジで!
「まぁ、見るならば私のような悩殺ボディーでしょうね」
さらっと厚かましいこと言うなオイ!豊満を強調するポーズをとるんじゃない!
「と、とにかく身体洗いましょ!洗い場はこっちでいいのね?」
「勢いで乗り切りましたね」
「も~、冗談ですのに~」
気を取り直して私達は洗い場に腰をかけた。洗い場の雰囲気は元の世界の銭湯のものとほぼ同じであった。
洗髪と洗体を終えて髪をまとめた私は湯舟に入った。程よい熱さのお湯に身体を慣らしながらゆっくりと足を入れ、肩までお湯に沈めた。
「ああ~…」
思わずおっさんくさい声が出た。こんなところでもお風呂は気持ちいいもんだね。アウルとウーナも私の後に続き湯舟に入った。
「ここのお湯は本物の温泉を使用しております。城の近くに活火山がありまして、そこの地下からお湯をひいているのです」
「活火山?」
「ええ。この城は山に囲まれておりまして、その火山の地下を通らなければここには辿り着けない構造になっております」
「しかもそこには強力な魔物の警備や溶岩のトラップがあるので簡単には突破できないどすえ~」
ふーん、ラストダンジョン前の難関ってところね。
「…やっぱり、攻め込んでくる人間っているの?」
ふと思った疑問をなげかけてみた。
「そうですね…この魔大陸に乗り込んでくる人間はたまにいます。もっとも、あの火山を越えた者は誰もいませんが」
「そう…」
この城の雰囲気ではわからなかったが、彼らは人間と戦争をしているのだ。
「…私も…戦わなければならないのよね…」
普通の女子高生として暮らしていた自分にとって戦争など遠い海の向こうの話だった。それがこの世界に連れてこられて現実のものになった。戦争を終わらせるために、そして元の世界に帰るためにも命のやり取りは避けられないのだ。そう考えると右手が震え出した。
「ご心配無用です。我々が全力でサポートいたします。この命に代えても魔勇者様を死なせはしません」
「そうどすえ~。魔王様からも命じられてますし、お守りしますどすえ~」
そう語る二人の表情はりりしく、どこか頼もしく感じた。
「さて、そんな辛気臭い話はおいといて、今はお風呂をエンジョイしましょう」
「エンジョイって…なんじゃその言い方…」
「あ、女の子同士でイチャコラの方がよかったですか?」
「よくねぇよ!」
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