10 / 261
第一章
お風呂で湯ったり
しおりを挟む
「はぁ~…これまた広いお風呂ねぇ」
脱衣を終え、扉を開いた私の眼前に広がるは立派な大浴場だった。天井は二階建ての家屋ほど高く、ご丁寧に湯気を逃がす天窓もついている。壁にはどこかの山と湖を描いたと思われる風景画がパネルに描かれていた。
「サウナや露天風呂もあるどすえ~」
ウーナが尻尾を振りながらそれらしき場所を指し示した。窓を覗くと、それなりに繁盛しているようだ。
(…しかしまぁ…)
改めて見るとウーナの身体は半魚人ということもあり特徴的だった。基本は人間の女性だが、耳と前腕に魚(彼女の場合は鰻)のひれがついており、尾骨から鰻の尻尾が生えている。身体は全体的に肉付きは良い。ちなみにバストは平坦なほうのようだ。
「んん~?何見てるんどすえ~?」
ウーナが含み笑いをしながらこちらを見た。
「あ…ご、ごめん…」
思わず謝ってしまった。
「おや、魔勇者様は貧乳が好みですか?」
アウルがすかさず茶々を入れてきた。
「んも~。魔勇者様のす・け・べ!」
ウーナはわざとらしいポーズで私を見た。
「いやいや!そういう目で見てないから!わたしゃノンケだから!」
とは言ったものの、身体をくねくねさせるウーナを不覚にもセクシーだと思ってしまった。ノンケだからね!マジで!
「まぁ、見るならば私のような悩殺ボディーでしょうね」
さらっと厚かましいこと言うなオイ!豊満を強調するポーズをとるんじゃない!
「と、とにかく身体洗いましょ!洗い場はこっちでいいのね?」
「勢いで乗り切りましたね」
「も~、冗談ですのに~」
気を取り直して私達は洗い場に腰をかけた。洗い場の雰囲気は元の世界の銭湯のものとほぼ同じであった。
洗髪と洗体を終えて髪をまとめた私は湯舟に入った。程よい熱さのお湯に身体を慣らしながらゆっくりと足を入れ、肩までお湯に沈めた。
「ああ~…」
思わずおっさんくさい声が出た。こんなところでもお風呂は気持ちいいもんだね。アウルとウーナも私の後に続き湯舟に入った。
「ここのお湯は本物の温泉を使用しております。城の近くに活火山がありまして、そこの地下からお湯をひいているのです」
「活火山?」
「ええ。この城は山に囲まれておりまして、その火山の地下を通らなければここには辿り着けない構造になっております」
「しかもそこには強力な魔物の警備や溶岩のトラップがあるので簡単には突破できないどすえ~」
ふーん、ラストダンジョン前の難関ってところね。
「…やっぱり、攻め込んでくる人間っているの?」
ふと思った疑問をなげかけてみた。
「そうですね…この魔大陸に乗り込んでくる人間はたまにいます。もっとも、あの火山を越えた者は誰もいませんが」
「そう…」
この城の雰囲気ではわからなかったが、彼らは人間と戦争をしているのだ。
「…私も…戦わなければならないのよね…」
普通の女子高生として暮らしていた自分にとって戦争など遠い海の向こうの話だった。それがこの世界に連れてこられて現実のものになった。戦争を終わらせるために、そして元の世界に帰るためにも命のやり取りは避けられないのだ。そう考えると右手が震え出した。
「ご心配無用です。我々が全力でサポートいたします。この命に代えても魔勇者様を死なせはしません」
「そうどすえ~。魔王様からも命じられてますし、お守りしますどすえ~」
そう語る二人の表情はりりしく、どこか頼もしく感じた。
「さて、そんな辛気臭い話はおいといて、今はお風呂をエンジョイしましょう」
「エンジョイって…なんじゃその言い方…」
「あ、女の子同士でイチャコラの方がよかったですか?」
「よくねぇよ!」
脱衣を終え、扉を開いた私の眼前に広がるは立派な大浴場だった。天井は二階建ての家屋ほど高く、ご丁寧に湯気を逃がす天窓もついている。壁にはどこかの山と湖を描いたと思われる風景画がパネルに描かれていた。
「サウナや露天風呂もあるどすえ~」
ウーナが尻尾を振りながらそれらしき場所を指し示した。窓を覗くと、それなりに繁盛しているようだ。
(…しかしまぁ…)
改めて見るとウーナの身体は半魚人ということもあり特徴的だった。基本は人間の女性だが、耳と前腕に魚(彼女の場合は鰻)のひれがついており、尾骨から鰻の尻尾が生えている。身体は全体的に肉付きは良い。ちなみにバストは平坦なほうのようだ。
「んん~?何見てるんどすえ~?」
ウーナが含み笑いをしながらこちらを見た。
「あ…ご、ごめん…」
思わず謝ってしまった。
「おや、魔勇者様は貧乳が好みですか?」
アウルがすかさず茶々を入れてきた。
「んも~。魔勇者様のす・け・べ!」
ウーナはわざとらしいポーズで私を見た。
「いやいや!そういう目で見てないから!わたしゃノンケだから!」
とは言ったものの、身体をくねくねさせるウーナを不覚にもセクシーだと思ってしまった。ノンケだからね!マジで!
「まぁ、見るならば私のような悩殺ボディーでしょうね」
さらっと厚かましいこと言うなオイ!豊満を強調するポーズをとるんじゃない!
「と、とにかく身体洗いましょ!洗い場はこっちでいいのね?」
「勢いで乗り切りましたね」
「も~、冗談ですのに~」
気を取り直して私達は洗い場に腰をかけた。洗い場の雰囲気は元の世界の銭湯のものとほぼ同じであった。
洗髪と洗体を終えて髪をまとめた私は湯舟に入った。程よい熱さのお湯に身体を慣らしながらゆっくりと足を入れ、肩までお湯に沈めた。
「ああ~…」
思わずおっさんくさい声が出た。こんなところでもお風呂は気持ちいいもんだね。アウルとウーナも私の後に続き湯舟に入った。
「ここのお湯は本物の温泉を使用しております。城の近くに活火山がありまして、そこの地下からお湯をひいているのです」
「活火山?」
「ええ。この城は山に囲まれておりまして、その火山の地下を通らなければここには辿り着けない構造になっております」
「しかもそこには強力な魔物の警備や溶岩のトラップがあるので簡単には突破できないどすえ~」
ふーん、ラストダンジョン前の難関ってところね。
「…やっぱり、攻め込んでくる人間っているの?」
ふと思った疑問をなげかけてみた。
「そうですね…この魔大陸に乗り込んでくる人間はたまにいます。もっとも、あの火山を越えた者は誰もいませんが」
「そう…」
この城の雰囲気ではわからなかったが、彼らは人間と戦争をしているのだ。
「…私も…戦わなければならないのよね…」
普通の女子高生として暮らしていた自分にとって戦争など遠い海の向こうの話だった。それがこの世界に連れてこられて現実のものになった。戦争を終わらせるために、そして元の世界に帰るためにも命のやり取りは避けられないのだ。そう考えると右手が震え出した。
「ご心配無用です。我々が全力でサポートいたします。この命に代えても魔勇者様を死なせはしません」
「そうどすえ~。魔王様からも命じられてますし、お守りしますどすえ~」
そう語る二人の表情はりりしく、どこか頼もしく感じた。
「さて、そんな辛気臭い話はおいといて、今はお風呂をエンジョイしましょう」
「エンジョイって…なんじゃその言い方…」
「あ、女の子同士でイチャコラの方がよかったですか?」
「よくねぇよ!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる