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第九章
奇襲
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「す、すみません…」
サリアの手を取り、立ち上がったリエルは思わず謝罪した。
「いちいち謝るな。初日に比べれば動きはだいぶ良くなっている」
サリアは自らの木刀を腰に収めた。
「ただ、お前の剣は『斬る』ばかりだ。あまりに単調で見切りやすい」
「『斬る』…ですか?」
「そうだ。剣にできることは『斬る』だけではない。その刃は『突く』も『割る』も可能としている」
サリアはリエルの手にある木刀を指した。
「確かに『突く』も『割る』も槍や斧に比べれば一歩及ばぬかもしれぬ。だが、三つ全てをそつなくこなせるのは剣ぐらいだ」
サリアの話を聞きながらリエルは自分の木刀をじっと見た。
「そして、その三つ全てを極めることができれば剣は槍よりも鋭く、斧よりも重い力を発揮することができる。それがハバキリ流の剣であり、我が師の教えだ」
「槍よりも鋭く、斧よりも重い…?」
半信半疑の言葉であった。
「少し休んだら、『突く』の技を教えてやる。そして――…?」
話の途中でサリアは足元に目を向けた。リエルの背後の茂みから何かが転がってきたのだ。
「――これは!?」
そこにあったのは、二つの小さな黒い玉――爆弾であった。
「伏せろ!」
サリアはとっさにリエルに飛びかかり、地面に押し倒した。その直後、彼女の背後で大きな爆発が発生した。
ドオォン!
「きゃあぁっ!」
「こ、これは?」
爆発の範囲外にいたビオラ達は轟音と爆風に視界を奪われた。
「ぐ…ぐぐ…」
「し、師範?」
リエルは恐る恐る目を開いた。そこには自分を守るように覆いかぶさり、苦痛に顔を歪めたサリアがいた。
「無事か?」
「は、はい…!」
リエルがそう答えるとサリアはゆっくりと立ち上がった。その様子を見たリエルはぎょっと目を見開いた。爆弾の破片によってかサリアの右上腕が血に染まっていたのだ。
「師範…!それは…」
「大丈夫だ。このくらい…」
傷口を押さえながらサリアは答えた。
「アズキ!傷薬を…!」
「はい!」
立ち上がったリエルの頼みを聞いてアズキは急いで薬を取りに道場内に向かった。
「ちっ!まだ生きてやがったか!」
野蛮な声と共に、奥の茂みから三人の粗暴な男が姿を現した。
「な、何よこいつら?」
「ヤベーなオイ」
ビオラとトニーは突然の不審な来客に警戒した。
「くっ…あのトラップを潜り抜けてきたというのか?」
サリアは振り向き、男達をにらんだ。
「俺らは拠点潜入の担当もやってたんでね。あの騎士団にはお世話になったってもんよ!」
「騎士団だと?」
「その通り。我々はお前と同じだ」
茂みからさらに別の男の声が聞こえた。直後、鈍色のくたびれた鎧をまとった男が姿を現した。サリアにはその男の顔に見覚えがあった。
「お、お前は…エイノー!」
「久しぶりだな。元サンメート騎士団の団長、サリア殿」
エイノーと呼ばれた男は剣を抜いた。
サリアの手を取り、立ち上がったリエルは思わず謝罪した。
「いちいち謝るな。初日に比べれば動きはだいぶ良くなっている」
サリアは自らの木刀を腰に収めた。
「ただ、お前の剣は『斬る』ばかりだ。あまりに単調で見切りやすい」
「『斬る』…ですか?」
「そうだ。剣にできることは『斬る』だけではない。その刃は『突く』も『割る』も可能としている」
サリアはリエルの手にある木刀を指した。
「確かに『突く』も『割る』も槍や斧に比べれば一歩及ばぬかもしれぬ。だが、三つ全てをそつなくこなせるのは剣ぐらいだ」
サリアの話を聞きながらリエルは自分の木刀をじっと見た。
「そして、その三つ全てを極めることができれば剣は槍よりも鋭く、斧よりも重い力を発揮することができる。それがハバキリ流の剣であり、我が師の教えだ」
「槍よりも鋭く、斧よりも重い…?」
半信半疑の言葉であった。
「少し休んだら、『突く』の技を教えてやる。そして――…?」
話の途中でサリアは足元に目を向けた。リエルの背後の茂みから何かが転がってきたのだ。
「――これは!?」
そこにあったのは、二つの小さな黒い玉――爆弾であった。
「伏せろ!」
サリアはとっさにリエルに飛びかかり、地面に押し倒した。その直後、彼女の背後で大きな爆発が発生した。
ドオォン!
「きゃあぁっ!」
「こ、これは?」
爆発の範囲外にいたビオラ達は轟音と爆風に視界を奪われた。
「ぐ…ぐぐ…」
「し、師範?」
リエルは恐る恐る目を開いた。そこには自分を守るように覆いかぶさり、苦痛に顔を歪めたサリアがいた。
「無事か?」
「は、はい…!」
リエルがそう答えるとサリアはゆっくりと立ち上がった。その様子を見たリエルはぎょっと目を見開いた。爆弾の破片によってかサリアの右上腕が血に染まっていたのだ。
「師範…!それは…」
「大丈夫だ。このくらい…」
傷口を押さえながらサリアは答えた。
「アズキ!傷薬を…!」
「はい!」
立ち上がったリエルの頼みを聞いてアズキは急いで薬を取りに道場内に向かった。
「ちっ!まだ生きてやがったか!」
野蛮な声と共に、奥の茂みから三人の粗暴な男が姿を現した。
「な、何よこいつら?」
「ヤベーなオイ」
ビオラとトニーは突然の不審な来客に警戒した。
「くっ…あのトラップを潜り抜けてきたというのか?」
サリアは振り向き、男達をにらんだ。
「俺らは拠点潜入の担当もやってたんでね。あの騎士団にはお世話になったってもんよ!」
「騎士団だと?」
「その通り。我々はお前と同じだ」
茂みからさらに別の男の声が聞こえた。直後、鈍色のくたびれた鎧をまとった男が姿を現した。サリアにはその男の顔に見覚えがあった。
「お、お前は…エイノー!」
「久しぶりだな。元サンメート騎士団の団長、サリア殿」
エイノーと呼ばれた男は剣を抜いた。
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