死二神

momo

文字の大きさ
上 下
1 / 1

死二神

しおりを挟む
『 おい!あっちだ!追え!』
いっせいに発砲の合図が飛ぶ
弾が私の腕を掠める
「っ…!」その場に倒れ込む
『 よし、殺せ』
『 まて、後は私が殺る。君たちは帰っていなさい。』
後ろから背の高い優しそうな白髪の男が表れる。
逃げなければ。
私、死神は人間が好きだった。
なのに種族が違うだけで
人は私を憎んで痛めつけ喜んだ。
私は出来るだけ人を傷付けたくはない。
なのにどうしてアイツらは…

昨日、人を殺してしまった。たぶん本能的なもので。
苦しかった。辛かった。後味が悪かった。悲しかった。
人は……よく分からない。
そんな事を考えていると、アイツが近寄って来た。
「やめろっ!私に寄るな!忌々しい人間め」
『君は人が嫌いなの…? 』
「…」
『さっきはごめんね。兄さん達が… って怪我してるの?大丈夫!?血が出てる…何か止血出来るもの…』
「やめろっ!寄るなと言っているだろう!そう言って、お前も武器を…あれ?お前、武器を持っていないのか?」
『うん。だって誰かを傷付けたくはないから…。
ねぇ、傷付けないように触れるから近寄ってもいい?血を止めないと。』
「あぁ。これはこうすれば治る。」
『おぉーすごい!もう痛くないね。 』

「なぁどうしてこんな私にそこまでするのだ?」
『 んんーなんでかなー?』
……
「なぁ、私の話を少し聞いてくれるか?」
それから、人が本当は好きな事、辛かった事、昨日人を殺した事を話した。
気付けば男は肩を震わせていた。笑っているのか、いや 違うなじゃあ泣いているのか?
『僕たちっ…人間の…せいでっ…辛かったっよねっ…っ!苦しかったよねっ…ごめんっ…ごめんねっ……ほんとっ…に  なんでっ…なんでっみんなが…幸せにっなれないんだろっ…どっ…してだれかが幸せだとっ…だれかがっ…くるしんじゃっ…うんだろっ…みんなっ…きっと幸せになりたいっ…だけなのにっ…』

コイツさっきとは全然違うな

「…そうだな。
…なぁ  お前、名はなんという?」

『えっ、僕は夜彦、やひこって言うんだ。
君は? 』
「名前はないんだ。」
『 じゃあ考えないとね。』
…『うーんと、シアはどうかな?幸って字を書くの、サチじゃかっこつかないし!』
「いい名前だな。」
『やった~ 』
























あれから軽く100年はたっただろうか?まぁ、人の寿命などたかが知れてる。アイツはもうここにはいない。
仕方がない、墓参りにでも行ってやるか。
と、言ってもまぁ家の横のとても小さな墓だが。
「なぁ、お前は幸せだったか?    まぁ、私の、シアの、隣にいて幸せじゃないなんて許さないがな。
おっ… もうお前の好きなカスミソウが咲いてるぞ。」








いつだったかお前は言っていたな、カスミソウの花言葉は…
花言葉は…なんだったっけな?とても暖かい言葉だった気がするな。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...