momo

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お酒

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何も無い。
僕の部屋には、僕のもの以外何も。
あなたがいない。
あなたの荷物も無い。
あるのは、飲みかけのビールだけ。
ストロングゼロ
あぁこれ缶のビールの中でも強めのアルコール9%のやつだ。
なんて、どうでも良い事をぼっーと考える。
ストロングゼロ9%
この文字は見慣れたものだった。
あなたの好きなものだったから。
あなたがいつも飲んでいたものだから。
ふと、時計を見た。 3時。
もうあなたが出て行って2時間が経った。


今日もあなたはこれを飲んでいた。
『ねぇ! お酒やめたら!?』
「んー?どしたの?急に。」
なんて、あなたは優しく目を細めて言う。
元から、発作をおこしやすくて、
少しヒステリー体質だった事もあって。
『いっつも! 夜時間があけば、お酒お酒って! お酒ばっかり飲んで!
 どうして僕に構ってくれないの!? 僕の事が嫌いになったの!?』
1度言ってしまえばもう止まらない。
あなたはそれでも、ボクを落ち着かせようと、手を尽くしてくれていた。
そんなあなたに少しイラッとした。
そんな事を続けていた。
気付けばあなたは最後に何か言って出て行ってしまった。
僕は…僕はあなたがいないとダメなのに。
なぜ、止められ無かったんだろう。

何を思ったか自分でも分からない。あなたの飲みかけのビールを少し口に入れていた。
少し苦い。でもどこか優しいあなたのような味。 あなたの匂いが口いっぱいに広がった。
元からアルコール類の苦手な僕は
気持ちが悪くなり、コップにもどしてしまった。
『 ゲホッ!…ゲホッ…ゲホッ!』
こんなに苦いものをあなたは…

もう、帰って来ないだろうな。
すると、ブーっと携帯のバイブ音がした。
LINEだった。ずっと…ずっとまっていた人からの。
緑色のアイコンをタップして トーク画面を開き、1番上の名前をおす。 
    «ゴメンな  お前は何も悪く無い»
あぁ、どうしてあなたは最後まで優しいのですか? どうせ、もう戻って来てはくれないくせに。
どうして、最後まで僕を見捨ててくれないのですか? 
どうせなら、大嫌いって 顔も見たくないって 言ってくれればよかったのに。それなら、僕はあなたを忘れられたかもしれないのに。
トーク画面の冷たい液晶にぽたぽたと熱い水滴が落ちる。


ーあなたの事がずっと好きでした。その優しく愛おしそうに目を細めて僕を見る仕草も 笑った時にふわりと揺れる柔らかい髪も 僕の頬を撫で髪を掻き分ける温かい手も。
そう、あなたの全てが好きでした。どんな仕草もどんな声も
お酒を飲む姿だってかっこよくて大好きでした。
だから…  だからまた、もし会えたら言わせてください。一言だけ。













『ごめんなさい。愛してます。 』
って
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