伝説の霊獣達が住まう【生存率0%】の無人島に捨てられた少年はサバイバルを経ていかにして最強に至ったか

藤原みけ@雑魚将軍2巻発売中

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VSベルクマンモス②

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 その雷は完全に牙を撃ち抜いたが、その牙は焦げ付くも砕けることはない。

「渾身の一撃だぞ……折れんか」

 師匠は地面に降り立つと、再び跳んで牙を狙う。

「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 師匠の一撃が不快だったのか、ベルクマンモスは大きな悲鳴を上げる。
 空中に居る師匠めがけて、あの鞭のような鼻が襲い掛かる。
 まずい!

 でかさは強さ。
 シンプルだが、絶対的な事実。
 それは知っている……なら奴に立ち向かうにはこちらも大きくなればいい。

 もっと大きい尻尾を……あの風龍のような巨大な尻尾をイメージする。
 俺は尻尾のみ、十ユードを超えるほど巨大化させると、その尻尾を渾身の力でベルクマンモスの胴体に叩き込んだ。
 その一撃は奴の胴体を揺らし、大きく体を動かした。

 全力で振りぬいたのに……皮膚が厚すぎる。化物め。
 だが、時間は稼いだ。

「助かった、リオル」

 その間に師匠はなんとか鼻の攻撃から逃れることに成功した。

「やはり簡単には砕けん。ただ、十分気は引けた。逃げるぞ」

「はい」

 俺は師匠と共に、逃亡を開始する。
 自分に逆らった小さな者が逃げるのか不快なのか、ベルクマンモスは周囲の木々をなぎ倒しながらこちらを追いかける。

「まさに厄災だな……」

 だが、なんとか奴を釣ることには成功した。
 俺達は巨大な岩壁がある場所に奴を誘導した。
 俺達は壁に辿り着くと、そのまま壁を登る。

「来いよ」

 奴は怒りのままに、その絶壁に居る俺めがけて突進する。
 その巨体が壁に激突する。
 凄まじい轟音と共に、壁にヒビが入る。

 そして、その壁に自慢の牙が突き刺さっていた。
 この場所にわざわざ誘導したことにはもう一つ理由がある。

「どぼんだ」

 計画通り、ベルクマンモスの両足が沼に沈んでいる。
 この絶壁の下は沼でできている。
 今なら狙える。

「行くぞ!」

「はい!」

「戯雷戯雷」

 師匠の雷撃と合わせるように、俺は霊気を肺に込め、渾身のブレスを放った。
 雷鳴が轟き、その火炎が爆発した。
 遂に牙にヒビが入った。

「これで……終わりだあああああ!」

 俺はその爪に炎を纏わせると、そのヒビに一撃を叩きこむ。
 その一撃は遂に牙を砕いた。

「ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 ベルクマンモスが悲鳴を上げる。
 すまないな。
 だが、その牙は貰った。

「よし、逃げるぞ!」

 俺は壁に突き刺さった牙を抜くと、すぐさま逃亡した。
 俺より大きい師匠よりも一回り以上大きいベルクマンモスの牙の一部。
 それをなんとか住処まで持って帰って来た。

「すぐに上級ポーションを作る。リオルも手伝え」

「はい!」

 師匠は牙を砕き粉に変えると、その粉を他の材料と混ぜる。

「他の素材が揃っていて良かったです」

「何かあったら必要だと思っていたからな。だが、正直ベルクマンモスの牙を獲るのは最近の私だけじゃ厳しかった」

 他の用意ができていたのもあって数時間で上級ポーションが完成する。

「ネロ……ポーションだよ」

 ネロの腹部に、ポーションをかける。
 すると、少しずつにその怪我が回復していく。
 完全に回復した訳ではない。
 だが、呼吸は安定し、明らかに危険な状態から脱したことが顔色から分かった。

「ガウー……」

 ネロが意思のある目でこちらを見て鳴いた。

「ネロ……良かった! 本当に良かった。ごめん……ごめんなあ……」

 俺はネロを思い切り抱き締めながら、声を上げて泣いた。
 しばらく泣いた後、俺はネロにケルベロスの霊胞を食べさせる。
 ケルベロスの霊胞の効果は抜群で、ネロの体の回復力が各段に上がった。

「無事で良かった、ネロ」

 そう言って、師匠はネロの頭を撫でる。

「ガウー!」

「なら、次はリオルだな。馬鹿者が!」

 師匠は思い切り俺の頭に拳骨を落した。

「ぐえっ!」

「なぜ、そんな無理をした! お前のその無理が仲間を、ネロを傷つけるとなぜ分からない!」

 師匠は全く表情を変えずに、こちらを睨んでいる。

「ごめんなさい……無理をしました。このままゆっくりと強くなっていたら、師匠と一緒に帰れないと思いました。一緒に帰れないと……一人で帰っても意味なんてないです」

 師匠は大きくため息を吐く。

「そんなことだろうと思った」

 師匠はそう言った後、俺の頬を叩いた。

「ばか! それで死んだら意味がないだろうが! 師匠より先に弟子が逝くなんて、そんな親不孝なことは許さん。どれだけ心配したと思ってるんだ……」

 師匠はそう言って、俺を抱き締めた。

「ごめんなさい……」

 随分心配をかけてしまった。

「お前がここまで無理をするなんて思わなかったよ。これからは今までよりは速く強くなれるように修行の計画も練り直すから、もう馬鹿な真似は止めろ」

「はい!」

「何を喜んでいるんだ。より危険になったんだぞ?」

「それでもです。どれだけ無理でも、困難でもいいんです。共に帰れるのなら」

「馬鹿な奴だ」

 そう言って師匠は笑った。
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