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3.もう1人のふたつ目
しおりを挟むいつのまにか眠っていたようだ。母さんの下からの声で目が覚める。
そういえば、小さい頃はよくこうやって眠っては起こされていたよな。久しぶりに、お菓子を買ったからか、当時のことを思い出す。
「っ!! 父さん、帰ってたの?」
2日続けて父さんが早く帰ってくるなんて今までにないことだ。何かあったのかと不安になる。
「あぁ、ただいま」
「うっ、うん。おかえりなさい……昨日のことだけど……」
「それならもう少し考えてくれていい。どちらにしろもう少し調整がいる。休みも始まったばかりだ」
「分かった」
移植の話しじゃないなら、どうしてこんなに早いんだ?
「それより、別の相談があるんだが、座ってくれるか?」
「うん」
食卓には、母さんが用意した魚料理が並べられている。ついでにいつものサプリも置いてある。
「それで? 話って?」
「実はな……ふたつ目の子どもに会う気はないか?」
「ふたつ目?」
今まで生まれながらに弱視の3つ眼や、眼が病気になってしまった人との面会はあった。どれも結局、頑張れ!! と伝えたかったのだろうが、動くソレがある人との交流は、ただ疲れるだけだった。だが今回は違う。
「本当に?」
僕と同じふたつ目がいるなんて。今までどこにも例がないと言われていたのに、信じられない。
「本当だ」
「新しく生まれたの?」
母さんの言葉に現実にかえる。
そうか、僕みたいな子どもが産まれたのなら、それは喜んでいいことじゃないな。
「いいや、歩と同い年だ」
「同い年!?」
「たぶんな」
思いがけず気持ちが高まる。ずっとその子も1人だったに違いない。世間に隠されていたのか? もしかしたら、本人の希望で研究所が公に出していないだけで、僕のようなふたつ目が本当はもっといるのかもしれない。
「それで!? その子はどこにいるの?」
「その様子だと、会うのは良いってことだな?」
父さんの目とソレが僕を見る。はしゃぎ過ぎた。
「……うん」
「お前に会って欲しいのは、もちろんお前のためだとも思ったからだが、いつも行っている研究所の先生からの依頼でな……そのふたつ目の少年は、先日保護されたようなんだ」
「保護? 1人だったの?」
「そうだ」
「……親に捨てられたの?」
「分からない。保護された時の身なりは汚れていたが、きちんとそれまでは育てられているような健康状態だったらしいから、お前が心配しているようなことはないだろう」
「そっか」
「あぁ。だが、彼はとても混乱しているようでな……食事もとってくれない状況らしいんだ。だから、同じ……年頃のお前に協力してくれないかと言われてな」
父さんは、きっと同じふたつ目と言いたかったんだろう。でもそんなことはどうでもいい。僕も会いたい、それも同い年頃の男だなんて。
「会うよ」
「分かった。返事をしておこう」
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