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4.生きた化石
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母さんはついて行くと言っていたが、機密事項に関わることだからと、父さんと2人で行くことになった。
あれから話は早く、電話をいれて次の日にはすぐに来て欲しいと返事があったそうだ。
よほど弱っているのか? 確か、食事を拒否していると言っていたな。
楽しみだと思ってしまっているが、相手は命に関わる事態なのかもしれない。
浮かれていた気持ちを反省する。僕はこんな見た目だが、父さんと母さんには出来る限るのことをしてもらっている。たまに過保護なことはあるが、わざわざ学校にかけあい、普通の学校に行かせてもらっているのだ。
定期検査をする行き慣れた研究所。だが、いつもの検査室ではなく、案内ロボットによってもっと奥へと案内される。進むに連れてドアは厳重になり、窓は外を見れないほど高い位置に作られている。さすがに父さんの手は握らないが、気持ちくっついて歩いていく。
「ようこそ、いらして下さいました」
ようやく人が現れる。白衣を来て、眼鏡型のモニターを見ながら、ソレが父さんのソレと眼を合わせ、握手を交わす。そのまま僕を見ると、口もとはそのままで、眼だけが笑うように細めてくる。
「やあ、歩夢くん。君のデータはよく見させてもらっているけど、会うのは初めてだね。どうだい? 何か困っていることはないかな?」
「……大丈夫です」
「そうか、それなら良いんだ」
そのまま視線は父さんに戻り、話を進めて行く。
「ふたつ目の少年を保護したのですが、なにぶん反抗的な態度でして。催眠ガスでなんとか無理やり点滴で栄養をとらせているところなんですが……なにせ我々を怖がって化け物呼ばわりする始末でして。もちろん年齢的な反抗期に該当する部分もあるかと分析しているんですが、どちらかというと怯えているデータでして」
なんだって? 催眠ガスって、動物虐待でこの前ニュースになっていたやつだよな。
健康測定のために肉食動物を強制的に眠らせる方法が、野蛮的過ぎると解説していた動画を思い出す。
確かガスの副作用でその後一時的に体調不良になることがあるから、本当ならホルモンを落ち着かせるサプリを餌に混ぜて少しずつ穏やかな状態にしていくべきだって、専門家が言っていたな。それを平気で使うなんて。
「歩、平気か?」
父さんの声で我にかえる。もう話は済んだらしく、2人の眼がこちらを見ている。
「う、うん」
「そうか、では1時間後に迎えにくる。さっきも言われたとおり、何かあったら無理しなくていい。分かったな?」
そう言って、男と2人になる。
「じゃあ、行こうか。君には彼の説得をして欲しいんだ。我々はただ、彼を家に帰してあげたいとね」
もしそれが本当なら、僕より警察に連絡すべきじゃないのか? そう思うが口には出さない。案内されるまま地下に行くと、男は生体認証と指紋認証でロックを解除をするとドアを開け、更に進むともう1つ白いドアがあった。
「ここからは君1人で行ってくれるかな? その方が彼も警戒しないだろうから。僕はモニターで様子を見ているから、安心してくれていい」
「分かりました」
「はぁ、まったく。君みたいに115になってくれたらいいのに」
「115?」
「あぁ、ごめん。ふたつ目の研究をしているとどうしても古い人類の文化を調べることもあってね。大昔の人類は数字を文字として使っていたらしいんだよ」
「数字をですか……」
「ははっ、冗談みたいだろう。さっきのだと、115はいい子って意味になったりね。一時ハマっちゃってね」
「そうですか」
「まぁ、僕にとって君たちは生きた化石みたいなものさ。大事にしないとね」
2つの目が初めてこちらを見る。眼鏡のレンズ越しに見えるふたつ目はぶきみに笑っている。
ゾッ……
すぐにまたモニターを目がいくと、じゃあ、暗証番号は教えてから、そう言って先ほどの道を戻っていった。
「ふぅ……」
やっぱり、父さんについて来て欲しいと言えば良かったなと少しだけ後悔する。でもここに、もう1人のふたつ目がいるんだ。
ドアの作りは意外にもシンプルで、暗証番号を押すだけのタイプだ。
「ええと、確か13-46-13だったな」
円周率に比べればはるかに短い。ついいつものくせで法則性を考える。
割と簡単だな。2が抜けてるだけじゃないか。
1(2)3
(2)46
1の一乗(2の一乗)3の一乗
ははっ、ちょっとこじつけだけど、これならもう覚えられるな。2が3つないだけだからな。
ドアに手をかけ足が止まる。
2が3ない?
いやまさか、それこそ考え過ぎたよな。
あれから話は早く、電話をいれて次の日にはすぐに来て欲しいと返事があったそうだ。
よほど弱っているのか? 確か、食事を拒否していると言っていたな。
楽しみだと思ってしまっているが、相手は命に関わる事態なのかもしれない。
浮かれていた気持ちを反省する。僕はこんな見た目だが、父さんと母さんには出来る限るのことをしてもらっている。たまに過保護なことはあるが、わざわざ学校にかけあい、普通の学校に行かせてもらっているのだ。
定期検査をする行き慣れた研究所。だが、いつもの検査室ではなく、案内ロボットによってもっと奥へと案内される。進むに連れてドアは厳重になり、窓は外を見れないほど高い位置に作られている。さすがに父さんの手は握らないが、気持ちくっついて歩いていく。
「ようこそ、いらして下さいました」
ようやく人が現れる。白衣を来て、眼鏡型のモニターを見ながら、ソレが父さんのソレと眼を合わせ、握手を交わす。そのまま僕を見ると、口もとはそのままで、眼だけが笑うように細めてくる。
「やあ、歩夢くん。君のデータはよく見させてもらっているけど、会うのは初めてだね。どうだい? 何か困っていることはないかな?」
「……大丈夫です」
「そうか、それなら良いんだ」
そのまま視線は父さんに戻り、話を進めて行く。
「ふたつ目の少年を保護したのですが、なにぶん反抗的な態度でして。催眠ガスでなんとか無理やり点滴で栄養をとらせているところなんですが……なにせ我々を怖がって化け物呼ばわりする始末でして。もちろん年齢的な反抗期に該当する部分もあるかと分析しているんですが、どちらかというと怯えているデータでして」
なんだって? 催眠ガスって、動物虐待でこの前ニュースになっていたやつだよな。
健康測定のために肉食動物を強制的に眠らせる方法が、野蛮的過ぎると解説していた動画を思い出す。
確かガスの副作用でその後一時的に体調不良になることがあるから、本当ならホルモンを落ち着かせるサプリを餌に混ぜて少しずつ穏やかな状態にしていくべきだって、専門家が言っていたな。それを平気で使うなんて。
「歩、平気か?」
父さんの声で我にかえる。もう話は済んだらしく、2人の眼がこちらを見ている。
「う、うん」
「そうか、では1時間後に迎えにくる。さっきも言われたとおり、何かあったら無理しなくていい。分かったな?」
そう言って、男と2人になる。
「じゃあ、行こうか。君には彼の説得をして欲しいんだ。我々はただ、彼を家に帰してあげたいとね」
もしそれが本当なら、僕より警察に連絡すべきじゃないのか? そう思うが口には出さない。案内されるまま地下に行くと、男は生体認証と指紋認証でロックを解除をするとドアを開け、更に進むともう1つ白いドアがあった。
「ここからは君1人で行ってくれるかな? その方が彼も警戒しないだろうから。僕はモニターで様子を見ているから、安心してくれていい」
「分かりました」
「はぁ、まったく。君みたいに115になってくれたらいいのに」
「115?」
「あぁ、ごめん。ふたつ目の研究をしているとどうしても古い人類の文化を調べることもあってね。大昔の人類は数字を文字として使っていたらしいんだよ」
「数字をですか……」
「ははっ、冗談みたいだろう。さっきのだと、115はいい子って意味になったりね。一時ハマっちゃってね」
「そうですか」
「まぁ、僕にとって君たちは生きた化石みたいなものさ。大事にしないとね」
2つの目が初めてこちらを見る。眼鏡のレンズ越しに見えるふたつ目はぶきみに笑っている。
ゾッ……
すぐにまたモニターを目がいくと、じゃあ、暗証番号は教えてから、そう言って先ほどの道を戻っていった。
「ふぅ……」
やっぱり、父さんについて来て欲しいと言えば良かったなと少しだけ後悔する。でもここに、もう1人のふたつ目がいるんだ。
ドアの作りは意外にもシンプルで、暗証番号を押すだけのタイプだ。
「ええと、確か13-46-13だったな」
円周率に比べればはるかに短い。ついいつものくせで法則性を考える。
割と簡単だな。2が抜けてるだけじゃないか。
1(2)3
(2)46
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ははっ、ちょっとこじつけだけど、これならもう覚えられるな。2が3つないだけだからな。
ドアに手をかけ足が止まる。
2が3ない?
いやまさか、それこそ考え過ぎたよな。
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