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松穂

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第2部

悪酔と悪態と、池谷夏輝

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「……うわぁ……ひろーい! ほら、池さん、上! 見て見て!」

 斉藤亜美の素っ頓狂な声は脳天に突き刺さる凶器だ。顔をしかめてこめかみを抑えながら、池谷夏輝も渋々頭上を仰ぎ見た。
 汐留にある『フィーデール・インターナショナル・ホール』――その一階エントランスホールのすぐ隣に広がるアトリウムオープンカフェ。
 珍しく昨晩のアルコールが体内に残る不快さにあっても、そのだだっ広い空間は、感嘆に値する圧倒的な解放感であった。
 なにせ体育館ほどもある広さが、丸ごとぶち抜きの吹き抜けになっており、ドーム型天井の立体を成す鉄骨とガラスの絶妙な組み具合が圧巻だ。日中の今は点灯していないが、鉄骨に同化させたおびただしい数の照明器具を確認できることから、日が落ちればまた一味違った煌びやかな空間を演出するのだろう。

「――へぇ、結構人がいるね」
 隣にいる篠崎耕太は如才なく広いカフェ内を見渡す。クマっぽい温厚な顔つきは池谷と違ってしゃっきり健全そのものだ。
 ――そりゃそうだよな、と、池谷は欠伸を噛み殺しながら自嘲する。
 アルバイト先のクリスマス・イベントが昨日で終わり、バイト仲間皆で打ち上げと称した飲み会に繰り出したのは、昨夜の仕事終わりだ。生真面目な篠崎が仕切る飲み会は、一時間少々飲んで日付が変わった頃、キッチリとお開きになった。
 しかし皆が真っ直ぐ家に帰る中、池谷は一人、女友達からのお誘いメールに乗ってしまった。隣町のカラオケ屋にて、知らない男女含む十数人のクリスマス・パーティーなるものだったが、何となくそのまま家に帰るのも味気ない気がした池谷は、結局そこで明け方までだらだらと飲んでいた。
 そして本日――時刻はすでに午後二時前。元々酒には強い体質なのだが、さすがに睡眠不足もたたって気怠さと多少の頭痛が残る。

「ねぇ、池さん。あたし思ったんですけど……『紫櫻庵』も水曜日は定休日じゃなかった?」
 くるっとした瞳を向けてくる亜美に、池谷はしかめっ面のまま答える。
「ああ、店は休みらしいな。けど、特注が入ってんだって。うちでいう “洋風御膳” みたいなやつじゃね? 数が半端なく多いから売り上げ取れるって、定休でも受けたらしい」
「ふぅん、そっか……お仕事中なのに、よかったのかな……」
 珍しく神妙に呟いた亜美を半眼で見やり、お前が無茶言ったんだろーが、と心中吐き捨てる。
 冬休みにしてバイトも休みの完全フリーな今日、二日酔いの身体を無理矢理引きずって汐留までやって来たのは、亜美の “お願い” に巻き込まれたからこそだ。
「……どうせ仕事なんかしてねーだろ、あのチャラ男は」
 二日酔いの不快さも相まって、つい毒が漏れ出る。篠崎が「こらこら」と苦笑した。
「ああ見えて、杉浦さんはすごい人だよ。できない人ができるフリをするのはよくあることだけど、自分を下げて見せるのって、相当頭が切れる人じゃなきゃできないよ」
「おぉ~、篠さんってなんか、テツガク的ぃ~」
 キャピッと笑う亜美に、池谷は舌打ちする。……お前が言うと何でも馬鹿っぽく聞こえるんだよ。
「……どっか座ってよーぜ」
 待ち合わせ場所として指定されたのは、このアトリウムオープンカフェだ。混み合う時間帯なのか、カフェ内はずいぶん人がいる。
 中央に点在する丸テーブルに空いている場所はないかと見渡した時、背後から「あー、いたいたー、みんなお待たせー」と、間延びした声がかかった。
 三人一斉に振り向けば、待ち合わせの人物杉浦崇宏と――、……おまけ二人、、、、、
「……お前ら……」
 目を見張る三人の元に、おまけ二人を連れたニコニコ顔の杉浦がやって来た。スーツの上着は置いてきたのか、ワイシャツ姿でその袖を腕まくりしている。
「さっきここに来る途中でタイミングよく二人を見つけてさー、いかにも田舎から出てきた御上おのぼりさんみたいな顔してるから笑っちゃったよー。杉さんに保護されてよかったよねー」
 アハハと笑うチャラ男の後ろで、気まずそうに小さくなる黒縁眼鏡と短髪ツンツンヘアー……笹本昌幸と吉田峻介。
 まさかここに来るとは思わず、池谷たち三人は唖然としたまま彼らを見る。
「――さってと、みんな揃ったことだし座りましょーねー。あ、何か飲むー? 慧徳メンバーの熱い友情を評して、杉さんがオゴっちゃおうかなー。でも一杯だけよー?」
 相変わらず掴みどころのない上機嫌さで先行く杉浦に、一同は複雑神妙な顔でぞろぞろと続く。
 池谷は重い頭を抱え、溜息を吐いた。
 ――まぁ、当然か……あんな店長、見てりゃな。


 そもそも、池谷が今日こうして杉浦に会いに来たのは、亜美からワケのわからない相談を受けたことが始まりである。
 あの忌まわしいFAX騒動の直後、亜美は池谷に、どうしても杉浦さんに話さなきゃならないことがあるの、と泣き叫ばんばかりに訴えてきたのだ。
 池谷は初め、お前一人で勝手に行って話してこい、と容赦なく突っぱねたのだが、それを聞きつけた真面目で正義感の強い篠崎が、亜美と一緒に行くと言い出し、挙句に、池も一緒に来てほしい、と乞うてきた。
 亜美のお願いは簡単に蹴飛ばせるが、篠崎のそれは何故か断れない。無理矢理強要するのでなく、筋を通し真っ直ぐ正を訴える彼の誠実さは、なかなか否と言い難いものがあるのだ。
 そんな言い訳を心中でこぼしながら、池谷は渋々、自ら元担当マネージャーにアポ取り連絡まですることとなった。
 あいにく年末最大の繁忙期、杉浦の時間はなかなか取れなかったようなのだが、先週ようやく、クリスマスイベントを終えた二十六日なら時間が取れる、と返信があり、本日三人でやって来たというわけだ。
 しかし、笹本と吉田までがここに来たのは想定外だった。今日のことは三人以外知らないはずで、少なくとも池谷は、彼らに話した覚えはない。

「……亜美、お前があいつらに喋ったのか」
 カフェテリアの中央に構えるカフェカウンターで、それぞれ好みのドリンクをオーダーしている最中、池谷はほとんど口を動かさず亜美に訊く。すると案の定、亜美は「ごめんなさい……」と項垂れた。
「昨日、笹モッチとヨッシーが、店長のこと心配してたから……」
 眇めた眼でギッと睨めば、亜美はきゅっと身をすくめて上目づかいになる。
「でもあたし、どこで会うとか時間とかは、言ってませんよ?」
 池谷は再び苛々と歯噛みした。
 別に、杉浦に会うことは秘密事項じゃない。会って話がしたいといったのは亜美自身なのだから、それを誰に吹聴しようが知ったこっちゃない。……が、亜美が二人に対し大人風を吹かせた様子が目に見えるようで、それがイラッとさせる。本社のマネージャーと会って話をするんだー、というちょっとした優越感が透けて見える。
 大体、池谷や篠崎にはとことん甘えるくせに、笹本や吉田には頼れるお姉さんを気取ってしまう、その底の浅さをどうにかしろよ、と思う。
 ここまでイラつくのは二日酔いのせいか? ――いや、絶対に違う。

「ほらほら、イケちゃんはナニ飲むのー? ビールもあるけどー?」
 杉浦のおススメに池谷はうんざりと首を振る。
 ……これ以上気分悪くしてどーすんだよ。

 前言通り、杉浦が全員分の支払いを済ませ、各自ドリンク片手にテーブルへ移動した。
 中央付近に点在する四人掛けの丸テーブルでなく、カフェの端に並ぶ四角いテーブルを二つくっつけて落ち着けば、杉浦がさっそく自分のブレンドコーヒーにミルクを落としながら説明してくれた。
 笹本と吉田はなんと今朝、『紫櫻庵』へ直接電話してきたという。ここへ来るように言ったのは杉浦だった。
『池さんたちとの話に、自分たちも参加させて下さい!』と切羽詰まった声で懇願されて、杉浦も苦笑しつつ了承したらしい。

「……すみません、勝手に。……でも、やっぱり心配になって」
「……オレ、これ以上痩せていく店長……見たくないっす……」
 笹本と吉田は、叱られた子供のように俯いている。
 のっけから重く沈みこんだ空気を、杉浦は全く読まない。わざと読まない。
「あっはは、まぁ、いいじゃんいいじゃーん。仲良きことは素晴らすうぃー、ってね。慧徳のアルバイト全員が勢揃いするなんて――……、あ、そっか、ヤザワっちだけがいないのかー」
 呑気に見渡した視線を、篠崎が真面目に受け止める。
「別にハブったわけじゃないですよ。今日のことを話す機会がなかっただけです。遼平、昨日も飲み会には来なくて……」
 言いかけた篠崎の斜め向かいで、亜美がポツリと漏らした。
「遼平くん……店長を待ってたのかな……」
「ん? なになに? アオイちゃん?」
 問い返した杉浦に亜美がハッと口を噤む。篠崎が引き取って説明した。
「昨日、お店が終わった後、みんなで飲みに行ったんです。でも遼平は『絆生里』に行く途中で『急用ができた』って言って帰っちゃって。……店に戻ったのかどうかはわかりませんが……」
 すると、コーラをストローで吸い上げていた吉田がひょいと顔を上げた。
「あ、店じゃないと思います。昨日『絆生里』に行く時、オレ、みんなの後ろから矢沢さんと一緒に歩いてたんすけど、矢沢さんの携帯に着信があったんすよ。オレもはっきり聞いたわけじゃないすけど、確か……『おじさんが?』って聞き返してて、それから『わかった、すぐ帰る』って言ってたんすよね。その口調からオレは何となく、家の人からの電話じゃないかな、って思いました」
「そうだったんだ……」
 ホッとした様子を隠し切れない亜美に、池谷は内心やれやれと溜息を吐いた。……未だ引きずる恋心、ってやつか。
 杉浦は「おじさん、、、、、ね……」と何やら考え込んでいたがすぐに「ま、いっか」と肩をすくめた。
「――よっしゃ諸君。――時は無尽蔵に非ず……ってことで、お話したい人どーぞー。どんどこ話しちゃってー」
 チャラっと言われて一同は顔を見合わせる。キュッと口元を結んでいる亜美に、池谷は不機嫌さ丸出しで言った。
「……亜美、とっとと話せよ」
 しかしながら、恐る恐るといった様で口を開いた亜美の話は、意外にも池谷の想像を超えて、不可解で不気味なものだった。

 十一月の終わり、亜美の携帯にクロカワフーズのマネージャーだという男から電話がかかってきた。
 妙にくぐもった声ではっきりとは言えないが、その口調からして、亜美の知っているマネージャー……杉浦、黒河、そして柏木ではないような気がした。
 電話の男は割と丁寧な物言いで、慧徳の店で起きた異物混入の件や、それがネットに載ってしまった件について、さらには、店のことや店長のことについて内密に調査しているのだ、と言った。是非、アルバイトの君から詳しい話を聞きたい、調査にご協力願えないか、と。
 わざわざアルバイト個人の携帯にかけてくる奇妙な電話に、多少の引っ掛かりと違和感を覚えないでもなかったが、亜美は電話の相手に了承の意を伝えてしまう。店の今後のためにも、と言われれば断ることができなかったのだ。
 ただ、バイトを休んでいたことでスタッフ皆に対し後ろめたさを感じていた亜美は、そのことを誰にも相談できなかった。
 そして十一月末日の金曜日、午後三時。
 指定された場所は、グランドシングラー日比谷のロビーラウンジだ。都心まで呼びつけられたのは正直面倒だったが、確かそのホテルにも『櫻華亭』が入っている。クロカワフーズのマネージャーという立場が多忙であることを知っている亜美は、それも仕方ないか、と自分を納得させてホテルに向かった。
 豪奢なエントランスから続く煌びやかなラウンジに入り、亜美は緊張と場違いさで、すでに来たことを後悔したが、その男と顔を合わせた瞬間、さらなる不審感と不安感を覚えずにはいられなかった。
 中肉中背できちっとしたスーツを着ており、物腰もスマートに見えたのだが、何故かその顔には大きなマスクと濃い色付きの眼鏡がある。風邪気味なもので、と言ったその声も、くぐもっていて聞き取りにくく、怪しいことこの上ない。しかも、人目を避けるようにラウンジの一番奥に誘導されて、亜美はすかさず退路を確認したくらいだ。
 男は名刺を手渡し、飲み物などの注文もすることなく、早速話に入った。その話の切り出し方も、ひどく不自然で不可解だった。
 男は亜美に「それで、君は何を知っているんだ」と、いきなり詰問してきたのだ。
 亜美が怪訝な顔をすれば、男は苛々した様子で「水奈瀬店長と黒河マネージャーの間にある、不適切な関係、、、、、、を知っているんだろう?」と詰め寄ってくる。
 その時の亜美がよほど強張った顔をしていたのか、男は慌てたように一転して猫なで声になったが、やはり根掘り葉掘りと執拗な質問攻めだった。
 ……黒河マネージャーは週に何回ほど慧徳に出向いていたのか、その時の店長の様子はどうであったか、二人で夜遅くまで残ってはいなかったか、店内で不謹慎な言動をしてはいなかったか……等々。
 その男は、はなから黒河侑司と水奈瀬葵の仲をいやらしく疑うような口調で、亜美が眉をひそめるような侮蔑の表現も使った。
 やっぱりおかしい絶対おかしい、と不審感は膨れ上がり、とにかく亜美は、知りません、何も見ていないし聞いたこともないです、と言い張って、逃げるようにその場を辞したのだ。
 幸い、男は追いかけてこず、その後もクロカワフーズ関係者からの接触は一度もないが、不気味な印象と重苦しい不安は大きくなるばかり。そんな時、偶然出会った青柳麻実に色々相談して、やはり店長に全部打ち明けた方がいい、と思った。
 ――その矢先に、あのFAXが送られてきたのだ。

「……あたし、店長と黒河マネージャーのことについて、何も話していません。でも、あのFAXのタイミングがあまりにも出来過ぎていて……あたしのせいで、二人が謂れのない中傷を受けたんじゃないかって、ずっと気になってて……」
 亜美は大きな目を潤ませて、そう打ち明けた。
「ふぅん……なるほど、そんなことがねぇ……。そりゃあアミちゃん。杉さんはちょっと怒りますよー?」
「……ごめんなさい、でもあたし、本当に何も――、」
 今にも泣き出しそうな亜美を、杉浦はゆっくり首を振ってなだめた。
「そうじゃなくて。女の子が一人でほいほい見知らぬ人に会いに行くのは危険だってことー。……いい? 今度からそんな誘いがあったら、必ず信用できる誰かに相談すること。一人で勝手に判断して会いに行っちゃダメ。……君たちにも言っておくよ。店のことやアオイちゃんの名前を出されると信じたくなる気持ちもわかるけどさ、うちの会社が社員に内緒で、アルバイト個人をどっかに呼び出したりすることは、絶対にないから」
 杉浦の言葉に各々が神妙な顔で頷く中、篠崎が難しい顔で考え込みながら言った。
「……ということはその男……クロカワフーズのマネージャーをかたった偽物、ってことですか?」
「うーん、そうだねぇー……アミちゃん、もらった名刺って、今持ってるー?」
「あ、すみません、麻実さんに預けたんです。相談した時に……」
 だが、杉浦は残念がることもなくあっさり頷いた。
「そっか。んじゃま、名刺のことはいいや。どーせ、西條さんの名刺だろうし」
「そ、そうです! 西條ナントカ……って名前でした! え、杉浦さん、何でわかるんですか?」
 亜美がビックリまなこで身を乗り出せば、杉浦はさも愉快そうに笑う。
「はっはっはー。天眼の杉浦様と呼びたまへー。……ま、それは置いといて、だ。その怪し~い男は一体どちら様……ってことなんだけども」
 むーんと唸る杉浦の向かいで、篠崎が腕を組みながら尋ねる。
「杉浦さん。そもそも、クロカワフーズにマネージャーの方は何人いらっしゃるんですか?」
「うーんと、マネージャーはボスを入れて六人いるんだよねー。オレっちとー、ユージとー、カッシーとー」
 言いながら杉浦は手の指を一本一本折っていく。
「さっき出てきた名刺の西條さんは、褐色がかった髪で薄い混色の瞳で、彫りの深い日本人離れした美魔王なんだけどー」
 びまおう……? 池谷が肩眉を上げれば、亜美がパチパチと瞳を瞬かせた。
「あ……じゃあ、その人じゃないです。……あたしが会った人は黒い髪の毛だったし……サングラスとマスクはしていましたけど、日本人離れした顔立ちなら何となくわかると思います」
 亜美の答えに、杉浦はにっこり笑って「だよねー」と言った。
「あとは鶴さん……鶴岡っていう、面長でニヒルな感じで全身ダンヒルで決めてるくせに、手に丸めた新聞を持って振り回す危ないオッサンでー」
「えーと、新聞は持ってなかったです。……スーツのブランドはよくわかりませんけど……」
「あはは、そっか。んで、最後のボスは徳さん。徳永さんね。四角い顔にトレンチコートが似合いそうな渋ぅいチョイ悪オヤジでさー、こう、ブラインドカーテンに指入れて、ちら、とかやっちゃうような……」
「いや……それも違うような……、そんなに年配な感じではなかったです」
 横に首を振る亜美と、うんうんと縦に首を振る杉浦。
 そのやり取りを大人しく聞いていた吉田が、ぽっかり口を開けた。
「え……じゃあ、マネージャーの中には該当者がいない、ってことじゃないっすか」
「だから、マネージャーを騙った偽物だって言っただろう」
 笹本がたしなめるように言えば、篠崎が再び眉根を寄せて考え込む。
「……そうなると僕らには見当もつきませんね。亜美の携帯番号を手に入れられる人間となると、やはりクロカワフーズの関係者なんでしょうけど……」
 有益な証言ができなかったせいか、亜美が申し訳なさそうに俯いた。皆が口を真一文字にする中、たった一人杉浦はニヤニヤしている。
 ――やっぱり苛々する。らちが明かない会話も一同の困惑顔も、杉浦の面白がるような笑みも。

「――なぁ、クロカワフーズ関係者だっていうなら、手っ取り早く社員全員の顔写真とかねーのかよ。いくらサングラスとマスクしてたって、顔みりゃ何となくわかるんじゃねーの?」
 杉浦に対し、敬意など一ミリも持ち合わせていない池谷は、不遜極まりなく言い放つ。
 当の本人は別段気に障った様子もなく、ニヤニヤを顔に残したまま大げさに首を振った。
「イケちゃーん、そんな都合のいいシロモノがあるわけ――、」
 と、そこでニヤニヤをひっこめた彼は「……あるかも」と目を見開いた。
 突如頭上にピカンと豆電球でも光ったのか、杉浦はガタンと椅子を鳴らして立ち上がる。
「――ちょっと待ってて。すぐ戻る」

 足早にカフェを抜けて、各ホールやレストランエリアに通ずる回廊へ消えていった杉浦を見送り、残された慧徳メンバーは何となく顔を見合わせつつ、ドリンクに口をつけ居住まいを正す。
 池谷がすっかり冷めきった苦いコーヒーをおざなりに一口飲んだ時、笹本が思い詰めた顔で口を開いた。
「……異物混入のやらせやグルメサイトの出鱈目な記事、店長を中傷したFAX……、これって、全部が繋がっているんでしょうか……」
「亜美を呼び出した謎の男の仕業、ってことか……?」
 篠崎をはじめ、皆が一様にうーんと唸る中、池谷は重い頭を支えるように頬杖をつく。
 怪しい男の登場によって、ますます状況が掴めなくなったのは確かだ。すべてが繋がっているのかどうかもわからなければ、真の目的がどこにあるのかさえわからない。
 ――ただ。……池谷には、どうしても引っ掛かっていることが、一つだけある。

 ――あれは、クロカワフーズ主催の納涼会。そこで目にした妙な一幕。
 本社エントランスロビーのベンチに座り、長く語らっていた水奈瀬葵と黒河侑司。その話を、ロビーの柱の陰でずっと立ち聞きしていた、、、、、、、、あの女、、、
 実はあの時、店長が一人ベンチソファに座り込む前から、池谷はロビー奥にある自販機コーナーにいたのである。納涼会の会場で数人の若い女たちに囲まれ辟易して、トイレを口実にブラブラ彷徨さまよった挙句、誰もいないあの場所にしばし逃げ込んでいたのだ。
 だから、黒河侑司がエントランスから入って来て店長と一緒にしばらく話をしていたのも、ヒラヒラしたワンピースの女が第二エレベーターへ続く通路から現れたのも、彼女が二人を見つけるや否や柱の陰に隠れて息を潜めて二人をうかがっていたのも、全部知っている。
 池谷がいた場所から、ロビーの様子は覗けても声を聞くことはできなかった。だから二人が何を話していたかはわからない。――だけど。
 立ち聞きをしていた女の様子が、どうしても気になった。
 不自然なほど長く、あの場で聞き耳を立てていた、あの女は――

「――あの、店長と黒河マネージャーって、お付き合いされていないんでしょうか……」
 突然耳に入った声を合図に、周囲のざわめきが一気に戻って来た。
 池谷は、それを言った笹本の顔をまじまじと凝視して、その他の三人に視線を走らせる。
 さすがに篠崎と亜美は、例の二人に関して何か感じるものがあるのかどうか、何とも言えない微妙な顔をしている。一人吉田だけが「さぁ、どーなんスかねぇ……」とストローで氷を突きながら、いっそ無邪気な様子だ。
 しかし至って真剣そのものの笹本は、その場の全員を見渡して語った。
「自分は、そういうのに疎いんで違うかもしれませんが、あのお二人は、どこか気持ちが通じ合っているような気がしたんです。……自分だけじゃありません、佐々木チーフもそういう目で見守っていたように思います。二人が仕事のことで言い合ってても『ほっとけ、ウマに蹴られるぞ』って、ちょっと嬉しそうに笑っていたんです」
「……笹モッチの言ってること、あたしはわかるよ。一時期、ホントにつき合っちゃうかもーって思ったもん。特に……夏休みあたりかな、二人の立つ距離が微妙に近くなったっていうか」
 亜美の言葉に、吉田が勢いよく身を乗り出した。
「――あ! それわかりまっす! オレ、事務室であの二人が一緒にパソコン覗いてる時とか、ちょっと邪魔しちゃマズいな、って思ってましたもん!」
「そうそう! あれでしょ? 座ってる店長の背後から、こう……」
「そーっす! あれは目のやり場に困りますって! でも、店長はわりと気にしてない感じでしたけど」
「そうだよねぇ……店長ってそういうトコ、救いようがないほど鈍いからなぁ……」
 そう言ってほんの少し切なそうに笑う亜美の脳裏には、未だ諦めきれない遼平の存在があるのだろう。水奈瀬葵と黒河侑司の縁結びを大いに推奨したいところだが、それは同時に、愛しい彼の失恋を願うことにもなる。……何とも複雑な恋心だ。
「……結局、好きだけじゃ上手くいかない、ってことなのかな……」
 一端の口を利く亜美に、池谷以外の男全員がしんみりと切ない顔になった。
「……あの二人が、急に余所余所しくなってしまったのは……やっぱり異物混入のクレームのせいでしょうか……あの後、黒河マネジャーがずいぶん店長を責めたって、聞きました」
 笹本が黒縁眼鏡の奥に心配そうな色を滲ませると、篠崎が「いや」とはっきり否定した。
「それは違うと思う。もっと前だよ。だって……柏木マネージャーに変わる前から、黒河マネージャーの態度が冷たくなったのを覚えてる。……店長も何となく元気がなくなって……十月の半ば頃かな、店長にしては珍しく、しょっちゅう携帯を見ながら思い悩むような顔をしていたんだ。だから、黒河マネージャーと何かあったのかな、って思ったんだよな」
「そうか……異物混入のクレームが起きたのは、マネージャーの引き継ぎの日でしたね。それがネットに載ってしまって、十一月は売り上げも良くなくて……店長が責任を感じて、無理しているんじゃないかって心配になって……」
 眼に見えない糸を手繰るように呟いた笹本は、そこでにわかに表情を歪めた。
「……あの夜……亜美さんが久しぶりに顔を出してくれたあの夜、店長、本当に嬉しそうだったんです。自分たちがワイワイふざけているのを見て、本当に楽しそうに笑ってて……少しでも元気を取り戻してくれたかな、ってちょっと安心したのに、……なのに、あの後、あんな酷い――、」
 笹本が悔し気に口元をぐっと引き結ぶ。篠崎が慰めるように彼の背を叩いた。
「あんなくだらない悪戯を信じる人なんていないよ。二人を知っている人間なら、ちゃんとわかることだ……少なくとも、僕たちはわかっている。……だろう?」
 皆がそれぞれ重く頷く中、池谷はゴクリと苦い唾液を飲み込んだ。

 ――かつて味わったことのない衝撃と、ぞわりと粟立つおぞましさ。
 あれから数週間たつのに、今も尚、鮮明に思い出せる生々しい感覚。
 もちろんこの場で口にする気はないが、あの時あの場で池谷が受けたショックは、ここにいる誰よりも強烈だったと思う。おそらく遼平も。何故なら――、
 ――水奈瀬葵の痛ましい古傷を知っているから。
 あのFAXにあった黒い文字は、真実じゃないけれど、すべてが嘘ではなかった。その意味を知っているからこそ、怖気が走った。
 白い紙に刻まれた黒い文字が全貌を現し、あの場にいた皆が愕然と立ち尽くす中、恐る恐るうかがい見た水奈瀬葵の姿……あそこまで人間の身体が病的にガタガタと震えるのを、池谷は見たことがない。
 そのむごたらしさと痛々しさに、池谷は彼女を直視できなかった。
 ――信じるとか信じないの問題じゃない気がする。あれは単なる悪戯じゃない。歪み捻じ曲がりながら膨張した怨念の塊だ。しかも、突発的に放たれた悪意じゃない。犯人にしかわからない、犯人なりの理論と秩序、奸智に長けた強い意志……
 だから池谷は今になってもゾクリとする。……きっとこれだけじゃ終わらない――

「――おっまたせー!」
 いきなり頭上から降って来た声に、その場の皆が大小さまざまに肩を揺らした。
「おやー? どうしたのみんなー、フンづまりみたいな顔しちゃってー」
 ようやく戻ってきた杉浦はやはり空気を読まない。ムカつくほど明るい声はしかし、深刻に重くなったその場の陰鬱さを、とりあえずは一掃した。
 元いた椅子に座り、暗闇から解放されたような一同の目の前に、杉浦は小脇に抱えていたノートパソコンをヨイショと置いた。
 フンフンと音符を飛ばしながら、杉浦は嬉々とした様子でパソコンを開く。見守る池谷の眼には胡散臭さしかない。

「……あまりおっきな画像じゃないけど、人相を判別するくらいなら役に立つと思うよー」
 何やらパスワードを入力しフォルダをいくつも開きながら、「わーお、鍵付きの入れ子人形だなーこりゃ」と呑気に笑う杉浦。
「いやー、今はいいソフトがあってさー、うちの会社でも何年か前に導入したのよー。社員全員のデータを色々入力すると、こうやって勝手にシステム化してくれちゃうんだって。すごくなーい? ……はい、これがうちの組織図ー」
 杉浦がパソコン画面を皆に向けたので、池谷も頬杖をついたまま横目を向けた。
 画面に出ているのは、言う通りクロカワフーズの組織図のようだ。名前と顔写真と、所属する店名や役職も入っている。我らが店長水奈瀬葵の写真も、下の方に載っていた。
 得意げに「ほらこれ、杉さん。写真写りがイマイチなんだけどー」とか指差しているこの男に、池谷はオイオイと突っ込みたくなる。篠崎も同じ疑問を持ったようだった。
「……杉浦さん……これ、僕たち見ちゃって、いいんですか……?」
 引きつった顔で聞く篠崎に、杉浦はあっけらかんと笑う。
「うんダメー。絶対社外秘。超社外秘。俺だってホントは簡単にアクセスできないやつだもーん。でも、許可はもらったからOKさー。君たちに見せるのはこの “組織図” だけね」
 そう言って杉浦は、これまた若干引き気味の亜美を促す。
「さささ、アーミちゃん。君を呼び出した不気味で気色悪ぅい男は、どーれっかなー? よし、杉さんがでっかく拡大してあげちゃおうー」
 どうしてこんなに上機嫌なのか……池谷はとことん胡乱な目を向ける。
 亜美はおずおずと、スクロールされていく画面に視線を滑らせていたが、その瞳がある箇所で止まりパッと輝いた。
「――あ! この人です! この後ろに流した感じの髪型と太めの眉、覚えてます! この顔にマスクして、黒レンズの眼鏡かけて……間違いない!」
 興奮して叫ぶ亜美に、杉浦は満足したような笑みを浮かべた。
「おぉー、さっすが杉さん。顔写真見せればパツイチじゃーん」
「……俺が言ったんだけどね」
 自画自賛するチャラ男に突っ込みつつ、やっぱりな、と思う。……こいつ、亜美が指さす男が、すでに誰だか、、、、、、知っていた、、、、、んだ……
 杉浦は池谷の視線に気づき、にやりと口端を上げた。
「まぁまぁ、イケちゃん、細かいことはナシナシー」
「杉浦さん、この人が犯人なんですか……?」
 亜美が指差し、篠崎がどこか信じられないといった顔で眺めるその人物の画像を、池谷もじっくりと目に焼き付けた。
 ――『櫻華亭』日比谷店支配人、豊島淳也。
 亜美を呼びつけた場所が日比谷だったのだから、もありなんというべきだろうが、池谷の中にも何となく釈然としないものが湧く。
 椅子の背もたれに身を預け、鷹揚に脚を組んだ杉浦は「そーだねぇ」と視線を宙に浮かせた。
「犯人っていうかー、強いて言うなら……二時間ものサスペンスの中盤一時間あたりで死んじゃう小者かませ役、って感じかなー」
「……僕、あまりそういうもの、見ないんで……」
 苦笑いした篠崎の向かいで、今度は笹本が困惑しきり顔で首を傾げる。
「……でも、この豊島という人は “支配人” なんですよね? どうして “支配人” が “マネージャー” を騙って亜美さんを呼びつけたりなんか……」
「あはは、笹モッチはさしずめ、捜査一課の熱血新米刑事ってところだねー」
「……あの、自分もあまりそういうの、見ないんで……」
 笹本も引きつった笑いを貼りつけた。

 チャラチャラと軽口を入れ込みながら、杉浦はのらりくらりと直接的回答を避けている。
 池谷以外の皆が口を揃えて、今、水奈瀬店長がどれほど無理をしながら頑張っているか、彼女がどれだけやつれて痩せてしまったか、などを訴え始める中、池谷の視線は何となく、パソコン画面に開かれた組織図をなぞった。
 社長や統括部長など、上層部の役職の下に各マネージャーが並び、そこから伸びるのが各店舗のようだ。上から『櫻華亭』本店、麻布店、松濤店と続き、その下に、赤坂店、日比谷店、汐留店と並んでいる。
 その『櫻華亭』赤坂店……そこに、池谷の脳裏に引っ掛かる女の顔があった。
 ――副支配人、木戸穂菜美。
 画像の顔は、実際に垣間見たあの時の印象ほど、重く鬱々とした感じはない。
 あの時感じた、彼女から滲み出る暗鬱とした怨念のようなものは、気のせいだったのだろうか……

「……はいはい、わかったよー。君たちがアオイちゃんのことを心配する気持ちは、よーくわかった。……アミちゃんのおかげで面白い情報が手に入ったし、詰まり気味だった道にちょっぴり穴が開いた感じだし? なかなか有意義な会合だったねー……というわけで、あとは大人たちに任せて、君たちはお店を守っておくれー」
 杉浦が、やいのやいのと騒ぐ一同を苦笑交じりで宥めれば、すかさず篠崎が鋭い一問を投げかける。
「……犯人は、ちゃんと捕まるんですか?」
 すると杉浦は茶化すことなく、真面目な顔で答えた。
「……今回のことはね、犯人を捕まえるだけじゃダメなんだ。犯行の動機となった諸悪の根源を取り除いて、何より、アオイちゃんとユージの汚名を完全に晴らさないと。二度と、あんな悪質な事件を起こさないためにもね。……もしかしたら、そのうち君たちにも協力してもらうことが出てくるかもしれないな。……ま、いずれにしても、このまま有耶無耶にするつもりはないよ。必ずすべてを明らかにしてみせるさ」
 杉浦の眼に、不敵な鋭い光を見た気がした。稀に見せるこういうところが、この男の “できる男” と評される所以なのかもしれない。
 池谷が這わす視線の中、杉浦は手早くテーブル上のパソコンを操作してシャットダウンし、うーんと伸び上がった。
「いっやー、しっかし弁当百二十五個の特注って、包むのにめちゃくちゃ時間かかるねー。杉さんも朝から頑張ってお手伝いしてたんだけどさー、テっちゃんが……ああ、『紫櫻庵』の支配人さんね……あいつ、チョーダメ出ししてくんのさー。割り箸を入れる場所とか、ビニールの風呂敷を結ぶ位置とか……んなの、どうでもいーじゃーん、って話ー」
「あの、スミマセンでした……、大変な時に時間を取らせてしまって……」
 亜美がペコリと頭を下げると、杉浦は「いーのいーの、特注なんかよりこっちの方が楽しいもーん」とマネージャーにあるまじき言葉を吐いている。
 池谷は思い切り脱力して椅子に背を預けた。この男、やっぱり生粋のチャラ男だ。見直す要素など一ミクロンもない。
 勝手に激しくアップダウンされているのも知らず、杉浦は腕時計で時間を確認すると、おもむろに池谷へ向き直った。

「……んじゃぁ、もうちょっと時間あるしー? さっきからそこでイライラとアンニュイでまだら模様になってるイケちゃんのお話でも聞こうかー? なーんか君も、杉さんに話したいことがありそうだよねー?」
 ニヤリと人の悪い笑みにぐっと眉根を寄せた時、しぶとく残る酒の余韻がこめかみを刺した。
 一同の視線を一気に集めて、苦々しく顔を歪めた池谷は口を開く。
 ――は? ナニ言ってんの? 話したいことなんかねーよ。
 口から出るはずの悪態は、喉元で引っ掛かった。

 ――いつだって “店絡み” で、そこに “バイト仲間” がいるのだ。
 池谷が厄介事に巻き込まれ、苛々しながら足を踏み込むときは、いつも、必ず。
 面倒事は大嫌いだ。厄介なことは時間の無駄でしかない。自ら関わるなんて馬鹿馬鹿しいにもほどがある。当初の用件は済んだはずなのだから、さっさと今すぐ立ち上がって帰ってしまえばいいのだ。
 ――それなのに。
 もうすぐ辞める予定のバイトなのだ。辞めてしまえば当分――いや、この先一生会わないかもしれない奴らなのだ。目の下に隈を作り、痩せた顔に笑顔を貼りつけた店長のことも、そんな店長を案じながら何もできずに手をこまねくバイト仲間のことも、放っておけばいい。
 ――放っておけばいいのに。

「……あの、納涼会の時にさ……」
 憮然としたまま口をついて出たのは、気になって仕方のない、いつかの記憶。
 無関心になれず無視もできず、いちいち感情を波立たせて苛立ち、それでも “ここ” に居ようとする自分自身が、一番腹立たしかった。




 
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