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町おこし編
第47話 町へ帰還
しおりを挟む翌朝、サラが宿屋へ迎えにやって来た。
荷物をまとめて町への帰路へと着く。
帰りも馬車の苦痛に耐えながら、無事に町へと辿り着いた。
その後はリーダー達へ報告とお土産を配って回った。ちなみにお土産はシャツやブラウスなどの衣服にした。この町の服飾文化も上がって欲しいしね。
俺の報告で1番喜んでいたのはゴードンさんだ。息子のフィルが立派にやっていた事と、王都での専売契約の為に里帰りしてくる事を聞くとニコニコ顔が溢れていた。
今度は各班のリーダーからの報告を聞くと、製作は順調なようだ。ある程度の需要には応えられるだろう。既に数名の冒険者が王都での噂を聞いてブーツを買って行ったそうだ。
今、俺にできる役割は果たせた。後は製作と販売に頑張ってもらおう。
しばらく俺は様子見と自分の時間を使わせてもらおう。
それから数日。
俺は昼は森でレベル上げと素材探し、夜はサラへの指導と趣味の時間に没頭した。
サラもレベルが高いだけあって森での狩りにも問題無く付いて来れた。エルフの血を引いているだけあって、弓と魔法は中々の腕前だった。驚いたのは氷属性の魔法を使いこなしていた事だ。氷属性は水と風の複合属性で使いこなせる人はあまり多くない。
なのでサラには冷蔵庫と冷凍庫の魔導具を作る課題を出している。そして、ちゃっかり俺にも氷属性の魔力を流して貰って、俺の絶対魔力感で氷属性の魔力の波長をゲットさせて貰った。
そして今夜、いよいよ完成する。
ずっと作り続けてきたアレが!
そう、俺のゴーレム用ボディがだ!!
その夜はサラも分かっていた様でソワソワしていた。自分の冷蔵庫の魔導回路を実験しながら、こちらをチラチラと見てくる。
「なぁ、サラ。」
「はっ!はい!何でしょうか?師匠。」
「もうすぐ完成するぞ。」
「遂に完成なんですね!」
「あぁ、これで頭部パーツも完成した。後は各パーツを繋げて完成だ。」
「おぉー!」
2人で支えながら、パーツを繋げていく。
後は腕と頭のパーツを胴体に繋げると。
身の丈2メートルに近い巨大な木製人形が完成した。見た目は筋肉質な男性の木製パペット人形の様だ。支えているのも重たいので、床に座らせる。関節や可動部分にはこだわったので人間に近い動きが可能になっている。我ながら自慢の出来栄えだ。
「師匠!こうして見ると凄いですね!!」
「あぁ、苦労した甲斐があるな。」
「師匠!この目の部分は魔玉ですか?」
「ちょっと実験用にな!」
「あれ?この魔玉ちょっと変わってますね!」
「それは俺が作った新型の魔玉なんだ。秘密だぞ!」
「えぇーーーーー!新型の魔玉って!!そんなの聞いた事もないですよ!?」
「たまたま作れたんだよ。玉だけにね!」
「し、師匠。。。」
サラのジト目が絡み付いてくる。
「まぁ、魔玉の事は秘密にな!早速ゴーレムの札を使ってみるぞ!!」
「わぁー!ドキドキしますね!!」
ゴーレムの札を取り出し、魔力を流してからゴーレムボディの額に貼り付ける。
光の魔法陣が現れ、徐々に小さくなっていく。そして消えてしまった。
「あれ?失敗した??」
その瞬間、ゴーレムボディの目の魔玉がキラリと光った!
「わっ!」
「きゃっ!!」
ギキキキキキキ
軋む様な音を立ててゴーレムが立ち上がる。
その両目は淡く虹色に光っており、何とも言えない怪しさを放っている。
「やった。成功だよな!?」
「凄いです。師匠!」
「ゴーレム、動きはどうだ?動かし難い部分は無いか?」
ゴーレムは腕を動かしたり、拳を閉じたり開いたりして動きの確認をしている。
見た感じでは最初は軋む様な音がしていたが、すぐに滑らかに動いていたので問題は無さそうだ。
「よし、問題無さそうだな。」
「師匠!この子に名前を付けてあげましょうよ!」
「ん?名前か、そうだなぁ~。」
「トラちゃん!トラちゃんにしましょう!」
「えっ。。。なんで?」
「木目が虎の毛皮の様に綺麗ですし、虎の様に強くなって欲しいですから!!ねっ?いいよね?」
ゴーレムが頷いている。
「まぁ、本人が良いなら良いけど。」
「わぁー、トラちゃん!私はサラよ、宜しくね!!」
「俺が君のマスターのガルドだ。宜しくな。」
トラちゃんと固い握手を交わす。
「そうだ。早速アレを装備して貰おう!」
「えっ!何ですか?」
「フッフッフッ。この日の為にスミスさんの所で買っておいたのだよ!」
俺は自室からガチャガチャと木箱を運んで来ると、トラちゃんの前に置いた。
「師匠!まさか、それは!!」
「あぁ、トラちゃん用のプレートアーマーだ!!さぁ、装備させてみよう。」
俺とサラでトラちゃんにプレートアーマーの装備を付けていく。
「うむ。素晴らしい!」
「キャー!!トラちゃんカッコイイ!」
フルプレートに身を包んだ屈強なナイトの様だ。それでいてフルフェイスの兜の奥からは怪しく魔玉が光っている。
見た目は完璧に満足の出来だ。
明日は早速、森に連れて行ってみよう。
見た目だけでなく、戦闘面でも期待しているからね!
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