魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

文字の大きさ
96 / 106
北の森のダンジョン編

第90話 魔術師と魔導師

しおりを挟む
タイヤがパンクするハプニングはあったものの、早めの朝に出発していたお蔭もあり、1日で一気に中継点の宿屋に到着する事が出来た。
以前に来た時よりも店が増えている印象だ。
料理が美味しかった記憶があるので、前と同じ宿屋した。
そこの女将さんに話を聞いてみたら、最近は人も物資の流れも増えてとても忙しいらしい。
サイモンの町と王都の商流が活性化された結果だろう。
そうなれば、またそこで新たな商機が生まれてより賑わう。
この中継点もいずれは村や町へ発展するかもしれないな。


「ピートも遠慮せず、たくさん食べなよ。」

「うん。ありがとうございます。」

「私もここのチキン好きなんです。ガルドさんも通ですね。」

「いえいえ、以前に乗り合わせた冒険者の方に教えてもらったんです。」

みんなでチキンの丸焼きに齧り付く。
なぜだろう前世でカニを食べていた時のように、全員が黙々と食べ続けている。
小さな骨があるからかな?
レナさんには丸々1羽は量が多かったようで、ピートへ分けてあげていた。
こうして傍から2人を見ていると仲が良い姉弟みたいだ。


「なんだか2人は姉弟みたいですね。」

「え!?私とピートがですか?」

「はい。優しいお姉さんと元気な弟って感じですよ。」

「そ、そんな。私は優しくなんて・・・」

「私も少し思ってました。ピートには兄弟いるの?」

「うん。姉さんがいます。」

「そうか、なら心配しているだろう。」

「う~ん、姉さんはレナさんと違って厳しいから。戻ったら怒られるかも。」

「ははっ、大丈夫だよ。無事だったんだから。」

「私たちも付いているから大丈夫よ。」

食事を済ませたので、部屋に戻って明日に備える事にする。
部屋は2人部屋が2つ取れた。
当然、俺とピートの男組とリポポさんとレナさんの女組だ。
そう言えば俺にはまだ仕事が残っていた。
ゴムタイヤをチューブ式からカバー式に改造しておかなければ。
明日のお尻が痛くなってしまう!
ピートには先に寝ているようにと言ってから、宿の裏に停めておいた馬車からタイヤを外し、邪魔にならない場所で作業を始めた。
タイヤ1つずつをまずは精製スキルで不純物を取り除き、人形製作ドールメイクで成形し直した。
車輪をゴムで覆うだけの簡単なカバー式のタイヤだ。
手持ちの材料が無いので緩衝材もほぼ無いが、パンクしたタイヤよりはマシだろう。
新しいタイヤを取り付けてから部屋へと戻った。


「おかえりなさい。」

「なんだ、まだ寝てなかったのか?」

「うん。練習してた。」

「練習って?」

「この足でも、なんでも出来るようにならなきゃって。僕も強くなるんだ!」

「そうか。なら頑張らないとな!」

「うん。」

「だけど、明日も早いから、ちゃんと休む時は休まないとダメだぞ。」

ピートがちゃんと寝たのを確認して、俺も瞼を閉じた。


次の日、馬車は王都へ向けて走っている。
昨日よりも揺れと衝撃は強くなってしまったが、タイヤ無しの馬車に比べれば快適と言っても良いだろう。
この日もピートは御者台のリポポさんの隣で馬の扱いを教えてもらっている。
俺も何もしないのは勿体ないので、レナさんに魔法について教えてもらった。


「へぇ、レナさんの職業は侍祭なんですね。それで回復魔法が使えるんですか。」

「実は、回復魔法は俗称なんです。魔法ではなくて、神の奇跡と教義ではされています。」

「へぇ、そうなんですか。」

「自分の魔力を捧げて、小さな奇跡を頂く。そう教えられています。」

「教会の方は全員が奇跡を起こせるんですか?」

「いえ、どちらかと言えば少ないですね。適性なのか、その辺りがよく魔法と混同される原因でしょうか。」

「確かに魔法と似てますね。そう言えば、魔術師と魔導師は何が違うんですか?」

「名前は似ていますが、全然違いますよ。」

レナさんに教えてもらった内容はこうだ。
魔術師は決められた方法に則って術を使用する。
職業スキルは魔力錬成と魔術が基本で、あとは適性によって魔法陣や早詠みなどレアなスキルが発現する事もあるそうだ。
対して、魔導師は魔力の扱いに長けた者が就ける職業だそうだ。
魔力を操り、術式化まで出来る魔導師も中にはいるそうだ。
職業スキルの基本は魔術師と同じだが、魔力合成や術式化など、個性的な魔法の使い方が出来る事が多いらしい。
俺が精霊魔導師なのは面倒にならないように秘密にして、第二職業が精霊魔術師だと伝えておいた。
第二職業には驚かれたが、大王角を倒した現場に居合わせていたので、逆に納得されてしまった。
精霊魔術師については、レナさんもあまり詳しくないそうなので、町に帰ったらニモ婆さんにでも聞いてみようと思う。
有意義な時間を過ごしていると、馬車の走るスピードが緩まった。


「ガルドさん、そろそろ王都に到着しますよ。」

夕暮れになるにはまだ早い。順調に到着した証だ。


「さてと、ここからが俺の仕事の本番だな。」

気合を入れて格好よく立ち上がった。
俺の行動が王都で巻き起こる一大事件へと繋がってしまうなんて、この時には全く想像もしていなかった。

ガッタン

「あ、痛てっ!!」

「ガルドさん、馬車の中で立つと危ないですよ。」

俺の頭には大きなたんこぶが・・・小さな奇跡で何とかならないでしょうか?
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

「役立たず」と追放されたが、俺のスキルは【経験値委託】だ。解除した瞬間、勇者パーティーはレベル1に戻り、俺だけレベル9999になった

たまごころ
ファンタジー
「悪いがクビだ、アレン。お前のような戦闘スキルのない寄生虫は、魔王討伐の旅には連れていけない」 幼馴染の勇者と、恋人だった聖女からそう告げられ、俺は極寒の雪山に捨てられた。 だが、彼らは勘違いしている。 俺のスキルは、単なる【魔力譲渡】じゃない。 パーティメンバーが得た経験値を管理・分配し、底上げする【経験値委託(キックバック)】という神スキルだったのだ。 俺をパーティから外すということは、契約解除を意味する。 つまり――今まで彼らが俺のおかげで得ていた「かさ増しステータス」が消え、俺が預けていた膨大な「累積経験値」が全て俺に返還されるということだ。 「スキル解除。……さて、長年の利子も含めて、たっぷり返してもらおうか」 その瞬間、俺のレベルは15から9999へ。 一方、勇者たちはレベル70から初期レベルの1へと転落した。 これは、最強の力を取り戻した俺が、雪山の守り神である銀狼(美少女)や、封印されし魔神(美少女)を従えて無双し、新たな国を作る物語。 そして、レベル1に戻ってゴブリンにも勝てなくなった元勇者たちが、絶望のどん底へ落ちていく「ざまぁ」の記録である。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

処理中です...