魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

文字の大きさ
97 / 106
王都暗躍編

第91話 大旦那

しおりを挟む
王都へ無事に到着し、借りていた馬は馬車屋へ返却、車体は預かってもらう続きをこなす。
夕方になってしまったので急いで宿屋の確保をした。
リポポさんが馴染みの宿屋に口利きをしてくれたので助かった。
翌日は朝から教会へレナさんを見送りに行った。


「何か困った事があったら町へ来てくださいね。」

「ガルドさんには本当にお世話になりました。ピートの今後の事も、よろしくお願いします。」

「私も付いて行くから安心して。必ず無事に送り届けるから。」

「リポポさん、ありがとうございます。よろしくお願いします。」

「僕、強くなるから。レナさんも修行がんばってね。」

「ピート、ありがとう。付いて行けなくてごめんね。」

「大丈夫だよ。またいつか会えるよね?」

「ええ、立派になったピートに会えるのが楽しみだわ。」

最後にレナさんの笑顔を見る事が出来て安心した。
レナさんも強く生きていってくれる事だろう。

その後にロック商会へ訪問し、フィルと大旦那へのアポイントを依頼した。
予定が決まり次第、宿に連絡をしてくれるそうだ。
時間に余裕があるので、リポポさんにガイドしてもらい街並みを眺めながら散策した。
大通りからは少し離れた場所に屋台が集中している通りがあり、屋台通りと呼ばれている穴場にも連れて行ってもらった。
串肉や果実、色々なスープを売っている屋台まであった。
好きな物を買い食いしていると満腹になってしまった。
宿へ一旦戻ってみると、既に商会の伝言が届いていた。
早速、明日の朝に迎えが来てくれるそうだ。
俺は明日の準備にと部屋へ戻り、リポポさんとピートは鍛錬をすると出掛けていった。


「ガルドさん、朝ですよ。」

「んー。」

ピートに起こされて目を覚ます。
俺の布団の上でライコはまだ寝ていた。
精霊って寝る必要ないんじゃなかったっけ?
まぁ、可愛いから良いけど。
宿の食堂で朝食を済ませると丁度、商会からの迎えが来た。


「お待たせしました。」

「ガルド様、本日ご案内させて頂きます執事長のクリオです。」

「あっ、お久し振りです。」

「憶えて頂いているとは光栄です。」

初めてロック商会へ行った時にも対応してくれたクリオさんだ。
ザ・執事な洗礼された老紳士は朝から爽やかだ。
リポポさんとピートを巻き込みたくないので、別行動にしてもらった。


「あれ?クリオさん、そっちの道だと遠回りじゃないですか?」

「恐れ入ります。本日は内密な事柄という事で、別の場所をご用意させて頂いております。」

「そうなんですか。わざわざすみません。」

「いえ、ガルド様は当商会にとって特別な方ですので。」

「ははっ、そんな大層なものじゃないですよ。」

クリオさんに煽てられながら少し歩くと、細い路地へと入っていき、何度か曲がるとどこかの裏口へと辿り着いた。


「恐縮ですが、こちらからお入りください。」

ドアを開けてもらうと、高級そうな内装の廊下が続いていた。
クリオさんに先導され、廊下を歩くとカーペットはフカフカだった。


「こちらに会長とフィルが居ります。」

クリオさんがノックするとドアが開いた。


「ガル兄!待ってたよ、入って。」

人懐っこい笑顔でフィルが迎え入れてくれた。
部屋の中は品の良い調度品と大きな円卓があり、大柄な男性が向かいに座していた。
男性が立ち上がり、歩いて近づいてきた。
予想よりも大きい、身長が190センチぐらいか?
高級そうな服に身を包んでいるが、鍛え上げられた肉体が容易に想像できる。


「やぁ、君がガルドくんだね。初めまして、ロック商会会長のライト・ロックだ。」

色黒マッチョが白い歯を見せて握手してくる。
商人と言うより完全に熟練の冒険者な外見だ。
熱い握手を交わす。


「初めまして、ゴムノキ社で開発を担当していますガルドです。今日はお時間を頂き有難う御座います。」

「いやいや、フィルから話は聞いているよ。是非、会ってみたいと思っていたからね。」

「ガル兄はこちらの席へどうぞ。」

席に座ると見計らったようにクリオさんがお茶を運んで来てくれた。
紅茶も茶器も高級そうで持つ手が震えてしまいそうだ。


「まずは、我が商会と専売契約を結んでくれて有難う。とても良い商品で嬉しい限りだよ。」

「ブーツもサンダルも売れ行き好調だよ。帝都への出荷も増えているし、今後も増えそうな勢いだよ。」

「フィルの言う通り、帝都での評判も上々、昨今の帝都は服飾ブームだからね。サンダルのバリエーションを増やそうかと検討していた所だよ。」

「へぇ、帝都では服飾が盛り上がっているんですね。」

「ガル兄はハナハナってブランド聞いた事ない?」

「ん~。知らないな。」

「そっか。まぁ、女性向けが多いブランドだからね。ってガル兄!ハナハナのシャツを着てるじゃない!」

「えっ?このシャツ?」

「そうだよ。僕の目利きは騙せないよ!」

「そう言えば、前に王都の市で買ったシャツだな。」

「はっはっは、それは幸運だったね。滅多に人前に出ないからね、あの女性デザイナーは。」

そうか、確かハナさんって女性だったな。自分でデザインしているって言ってたし。


「ガル兄は相変わらずだね。それで相談ってどうしたの?」

「あぁ、その事なんですが。」

大旦那の表情が一変し、真剣な目の商談モードに切り替わった。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

処理中です...