目醒めたら武闘家でした。俺だって魔術が使いたい!

アマクニノタスク

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第3話

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俺はノンストップで道場へと走って戻った。

「はぁ、はぁ、あいつらはどこかな?」

俺は修練場へと向かった。
リズムが組手の鍛錬をしている。
俺は手招きをしてリズムを修練場の外へと連れ出した。

「どうしたんだ?ブルース。」

「リズムは魔術を見たことあるか?」

「えっ!魔術ってあの、火とか出るやつ?」

「あぁ、その魔術だ。」

「昔話でしか聞いた事ないけど、本当にあるのか?」

「あるらしいぞ。しかも見れるんだ!」

「マジで!?どうやって?」

「詳しい話はメロディも呼んでから話すよ。」

俺とリズムとメロディは同い年でよく一緒に行動している仲良しトリオだ。
メロディは俺たちの少し後にこの道場に保護された女の子で孤児だった。
境遇が似ている事もあり、俺たちはすぐに打ち解けた。昔から変わらず3人で遊んでいた。

メロディは裏で薪割りをしていた。
リズムと2人でこっそりとメロディを呼び出す。

「2人揃って、どうしたの?」

「メロディ、今夜、魔術が見られるぞ。」

「えっ、嘘。魔術って本当にあるの?」

「らしいぞ。さっき森で魔術師のおっさんが行き倒れてたんだよ。」

「マジかよ。」

「あぁ、仲間とはぐれて腹減って倒れたらしい。そのおっさんに食べ物を持って行けば、魔術を見せてくれるって言ったんだ。」

「その人は本当に魔術師なの?」

「確かにな、騙されてる可能性もあるよな。」

「うーん。その可能性もあるけど、冒険の話は聞かせてくれるって言ってたし、俺は持って行くつもりだ。」

「冒険の話かぁ!俺も聞いてみたいな。」

「アタシも!」

「よし。じゃあ、こうしよう。」

俺たちは今晩の夕食で持って行けそうな物を3人分持って行く事で決めた。
夕食を素早く済ませ、3人がバラバラに食堂を出る。
こっそりと道場を抜け出し、ノッポ杉の下で落ち合う計画だ。

今夜は干し肉と野菜スープにリンゴとスモモだった。
スープだけ飲んで他は持って食堂を抜け出す。リズムとメロディも上手くやれよ。
俺は自分の竹の水筒を取りに行ってから見つからない様に道場を抜け出す。

そして一足先にノッポ杉へと向かった。
道場の近くで1番背の高い杉の木なので俺たちの目印としてよく使う場所なのだ。

今夜は満月なので夜でも視界には困らないだろう。
少しするとリズムが、その後にメロディがやって来た。

「上手くいったか?」

「あぁ。」

「うん、大丈夫。」

「よし、じゃあ行こうか。おっさんは小川の大岩の所で待ってるはずだ。」

3人で夜の森を抜けていく。
普段から鍛錬や遊びで知り尽くした通り道なので夜でも迷わない。
小川に出て少し上流へ行くと大岩が見えてくる。
しかし、おっさんの姿は見えないな。

大岩まで来たがおっさんはどこ行った?

「おーい、おっさーん!」

「ここで会ったのか?」

「そうなんだけどなぁ。」

「きゃ!」

「食い物ぉ~。。。」

どうやら、おっさんはまた倒れていたらしい。
近くにいたメロディの足を掴んで呻いている。

「あ、おっさん。そんな所にいたのか。」

「えっ、この人が魔術師なの?」

「思ってたのとなんか違うな。」

「だな。おっさん食べ物持って来たよ。」

「おぉおぉお。」

おっさんの前に食べ物を並べて、俺は水筒に小川の水を汲んで来た。

バクバク、ムシャムシャと獣の如く咀嚼するおっさんを3人で眺める。

「これはこれで凄いものを見てる気がするな。」

「うん、ちょっと怖いわ。」

2人はちょっと引いてしまっている様だ。

ゴキュ ゴキュと最後に水を飲み干すおっさん。

「プハーっ 生き返ったぜ。ありがとな坊主たち。」

「これで魔術が使えるのか?おっさん。」

「おう。お兄さんな! 約束だ、見せてやるよ。」

「おぉーやった!」

「魔術を見れるのか!」

「ワクワクするね!」

「それじゃあ、簡単な火の魔術だ。」

おっさんは掌を上に向けて意識を集中した。

「火の精霊の恵みをこの手に ファイア」

ボッっとおっさんの掌の上に小さな火が出た。
小さな火はユラユラと静かに揺らめいている。

「スゲー!本当に火が出たぞ!!」

「すごい、初めて見た!」

「おっさん、本当に魔術師だったんだな。」

「どうだ、凄いだろう?満足したか?」

「えー、もっと見たい!」

「もっと凄いのが見たい!」

「おいおい、ワガママな坊主たちだな。」

「空を飛んでるとこ見たい!」

「空は流石に飛べねぇよ。」

「えぇ~。」

「しょうがねぇな。特別だぞ。少し離れてろ。」

「おぉ~!」

おっさんは深呼吸をして集中している。

「風の剛爪が全てを刻む ドラゴンクロー」

おっさんの手に風が集まると、大岩に向けて振りかぶった。

ゴォー ガギャ ガチン

大岩に大きな爪で引っ掻いた様な巨大な傷が出来た。

「すご。。。」

「マジかよ。。。」

「カッカッカァ どうだ、驚いただろう?」
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