4 / 7
第4話
しおりを挟む「俺も魔術を使いたい!」
「俺も俺も!」
「アタシも使ってみたい。」
「おいおい、坊主たちは武闘家だろ?」
「そうだけど、使ってみたいんだもん!」
「俺たちじゃ使えないのかな?」
「うーん、魔術の才があれば使えるだろうが、武闘家は魔力を別の使い方をしているかならなぁ。」
「別の使い方?どう言う事?」
「武闘家は闘気とかオーラとか使うだろ?あれは魔力と一緒だよ。魔術はその力を精霊に捧げているんだよ。」
「へぇー、そうなんだ。じゃあ俺たちにも魔術の才ってのがあれば使えるんだ?」
「使い方の感覚が分かれば使えるんじゃないか?」
「おぉー!魔術の才があるかなんて、どうやって調べられるの?」
「ふむ、なら俺が診てやろう。」
おっさんは俺の背中に手を当てた。
そのままおっさんは黙っている。
「これだけで分かるの?」
「ふむ、坊主には魔術の才はないな。」
「えー!そうなの?」
「あぁ。さっき、お前さんの体に各属性の魔力を流してみた。魔術の才があれば才のある属性の魔力が循環して俺に戻って来るんだがな。お前さんからは全部ダメだった。」
「マジかよ。。。」
俺はショックで自失した。
「次は俺も診てよ!」
おっさんがリズムの背中に手を当てる。
「ほうほう。なるほどな。」
「どうだった?」
「ふむ、お前さんは火と風に才があるな。」
「おぉ!マジで?やった!」
「そっちの嬢ちゃんも診てやろうか?」
「うん。」
ビビり気味のメロディの背中におっさんが手を当てると微妙に震えている。
「なんと!」
急におっさんがデカイ声を上げたもんだからメロディがビックリして固まっている。
「嬢ちゃんは全属性持ちだな!いやぁ、武闘家にしとくのは勿体無いな。」
「マジかよ、スゲーなメロディ。」
「いいなぁ。。。」
「全属性って珍しいの?」
「あぁ、魔術の才のある者の中でも一握りだな。俺もそんな全属性持ちなんだかな、ハッハッハッ!」
「くそ~、俺だって魔術を使いたい!」
「坊主には才がないからなぁ。才がないとその属性の精霊を感じ取れないんだよ。だから使えないんだがな。」
俺がガックシ肩を落としていると。
「そうか、これなら坊主にも使えるかもな。」
「え!? どれどれ?」
「俺はあまり詳しくないが魔術陣ってやつだ。見てろ。」
おっさんが木の枝で地面に何かを描き出した。簡単な図形の組み合わせだ。
「これはファイアの魔術陣だ。これにイメージを持って魔力を流すと。」
ボッっと火が出た。
「こんな感じで魔術を発動させる事が出来る。」
「へぇー、凄いね!これなら俺にもできるかな?」
「魔力の操作やイメージが重要だが練習すればできるだろう。」
「やってみても良い?」
「ああ、すぐには無理だろうがな。」
俺は木の枝でおっさんの描いた魔術陣を真似して描いて突いてみる。
しかし何も反応しない。
「まぁ、最初はそんなもんだ。」
「んー、練習してみる!」
「おっちゃん、俺たちにも何か教えてよ。」
「だから、俺はお兄さんだ。まぁ、そうだな、こっちの坊主たちは才があるから魔力を高める訓練法を教えてやろう。」
「やったぜ!」
「簡単な訓練だ。精神を落ち着かせて、指先に意識を集中させる。魔力が集まると指先が淡く光る。それを維持させるんだ。」
「へぇー、やってみよ。」
「私もやってみる。」
「魔力も使い込めば体力と同じで増えていくからな。魔力を扱えるようになれば自然と精霊を感じ取れるようになるさ。」
「あーダメだ。魔術陣が全然反応しないぞ!」
「魔力を流すのもコツがいるからな。坊主もこの訓練をやった方がいいぞ。」
2人は真剣な顔で指先を見つめている。
「慣れればこんな使い方もできるぞ。」
おっさんの指先が淡く光り、空中に魔術陣を描くと、光の魔術陣が出来上がった。
おっさんが指先で軽く触れると、先程と同じ様に火が出た。
「おー!何それカッコいい!」
「ハッハッハッ、すぐに消えてしまうし、1回しか発動させられないが、どこにでも描けるから便利だぞ。」
「指先に魔力を集めるんだっけ?」
「ああ、そのままイメージを持って魔術陣を描けば魔力を流しているのと同じ効果になるんだよ。」
俺は指先に意識を集中させる。
俺は武術の鍛錬でもフィジカルなものよりも瞑想などメンタルなものが得意だった。
師範にもあと少しで身体活性を会得できるだろうと言われている。
「む~~~ おっ!」
俺の指先が淡く光り出した。
「おっ、坊主は魔力操作のセンスが良いな。」
俺は集中を切らさないようにして、さっき見た火をイメージして魔術陣を描く。
「描けた。」
「おぉ、坊主やるな! 消える前に発動させてみろ。」
「うん!」
魔力を集中させた指先で恐る恐る触れてみる。
ボッ
「火が出たーーーー!!!」
「ブルース、すごい!」
「スゲー!俺もやってみてぇー!」
「ハッハッ、これは驚いたね。いきなりここまでできるとは。魔力操作のセンスに魔力量も多いとみえる。本当に才が無いのが悔やまれるな。」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる