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ピンクこと桃山ちゃんの練習
しおりを挟むわたしにとってファイバーズの皆はすごく不思議な繋がりを持つ人たち。
紅さんと黄野さんは高校生。それまで話した事も無かった。
ミーくんはご近所だし、昔から知ってるけど……ミーくんが中学生になったら疎遠になってしまった。
そして青島さん。親でも、親戚でもない、先生でもない大人の人。
戦うとか、そういうのがわたしにはよくわからなかった。
戦争映画とかもあんまりすぎじゃないし、喧嘩なんてした事も無い。
ミーくんは力持ちで、わたしが虐められていたときに助けてくれた。心強かったけど、でもわたしが一緒に戦ったりできるか不安だった。
そんなわたしに青島さんは言った。
『大丈夫。危ない事はさせないからね』
そう言って危なくない戦い方を教えてくれた。
『今から、緑川くんと桃山ちゃんには罠の作り方を教えます』
そう言って教えてくれたのは爆弾の取り扱い方。
『青島さん。罠って、卑怯じゃないですか?』
『あはははは、なにをおっしゃるウサギさん。派手に火花があがるんだ。ああえっと……派手だよ?』
青島さんはそう言って困ったように笑った。
ミーくんはそれに不満そうだったけど、わたしはそうは思わなかった。だってわたしは力も弱いし、根性も無い。
ミーくんみたいに大人を投げ飛ばしたりする事も出来ないから。戦うのは怖い。異世界人の人たちが怖い。
異世界の人たちは人を動けなくする変なの体から出してて、わたしたち五人以外じゃ戦えないらしい……けど、わたしは怖い。
青島さんはわたしの為に、ミーくんを爆弾班にしたんだと思う。
わたし一人だったら、たぶん怖がっちゃう。せめてミーくんの足を引っ張らないように頑張らないといけない。
『桃山ちゃん、怖がるっていうのは悪い事じゃないんだよ』
怖がるわたしに青島さんはそう教えてくれた。
『昔の人はケガを怖がったんだ。今よりずっと医療が発展してなかったからね。でも獲物を捕らなくちゃ生きて行けなかった。だからすごく考えて考えて、武器を作って、罠を作った。自分達の力の無さを知恵でカバーしようと思ったんだ』
『……罠も?』
『そう。怖がるってことは考えることにつながる。どうすれば良いか、考えて、考えて、実行する。そう出来るから、怖がる事は悪くないんだよ』
なるほどと思った。わたしは多分クラスの中でも一番の恐がりだけど、それで役に立てるなら良いと思った。
『恐怖を捨てずに、安心出来るように行動する事。それが大事なんだ』
恐がりのわたしに出来る戦い方を青島さんは教えてくれた。
「準備できました!」
わたしは声を出す。C4のセットを終えて、雷管をセットして、遠隔ユニットへの接続もちゃんとできた。
「おお、なかなか早いね……うん、大丈夫そうだ」
青島さんがセットしたわたしの爆弾をみて、笑顔で頷いてくれる。
「ばっちりだよ。さあ、みんな離れて、離れて」
青島さんの声に従って離れた場所に行って、準備終了。
「じゃあ、桃山ちゃん、やってみようか!」
「はい!」
わたしは頷いて、手に持ったレバーの安全装置を外す。
そして押し込んだ。
ドカーンと音がして、練習用に準備してもらった車がゴロゴロと吹き飛んだ。
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