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決戦前 放送直前 異世界テレビ
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「最終確認。カメラスタンバイ」
異世界カメラのコントロールルーム。異世界に送られているカメラはかなり特殊な技術が使われていた。
敵役の怪人達は異世界へのゲートから直接向こうの世界へと送られることになる。
それに対してカメラはこちらの世界とあちらの世界の狭間に漂う。
そうする事で撮影は出来るが物理干渉を受けなくなるのだ。
世界の狭間ではカメラワークも自由自在で、ファイバーズのメンバーに見つかる事も無く、当然破壊される事もない。
そんなとても便利なカメラであるが、フィバーズの日常風景を撮影するカメラは常に動いているものの、戦闘シーンでは元ある数では足りなくなる。日常とは動きの激しさがまるで違うからだ。
そんなわけで戦闘を面白く撮影する為に戦闘用の追加カメラを異世界の狭間に送り込む必要がある。
それが撮影スタッフにとっては戦闘の前準備になるわけだ。
カモノハシのスタッフは馴れた動きで、異次元の隙間に送ったカメラの動作チェックを行う。帰ってきた信号は全機すべて問題無し。
「問題無しでーす」
送り込んだカメラ達はこれまでの撮影でしっかり学習を終えて、今では自動的に撮影を行う。
異世界番組が始まったばかりの昔と比べて一番進化したのはこのカメラと言っても過言ではないかもしれない。
「送り込む怪人の手配は終わっているか?」
作業を見ていたライオンのキリマンがそう話しかけると、作業が一段落したスタッフの一人が答える。
「準備完了したと報告は上がってきてますね。歴代最高数らしいですから、大変だったみたいですよ」
「よし。ブルーの方はどうだ?」
「ええっと、スタンバイ完了してますね」
映し出される映像で確認すると、ブルーは既にスタート地点に立っている様子だった。
いつものように体をほぐす為のストレッチをしている。
「本当に一人でやるつもりなんですね」
現場に一人しか居ないブルーを見てスタッフの誰かがそう呟く。
そう仕向けたのは彼等である。いろいろと裏で手を回し状況が整うようにはした。
とはいえ、異世界テレビの仕様上必ずそうなると決まったものでもなかったが、今回は狙い通りブルーを一人に出来ている。
とはいえ、実際一人で戦うブルーはそんな裏の事情を知る訳も無い。
つまりブルーは本気で一人で戦う覚悟を決めてここに居るのだ。
ブルーは改めて大したものだとスタッフは思った。
「でも最近は他の四人も活躍してたしな……最初期の頃とはやっぱ違うよ」
その言葉にスタッフ達は誰とも無く頷く。最初期のブルーが一人で戦っていたころだって、大きな怪我をさせないように調整はしていたのだ。
「よし、では予定時刻に合わせて怪人の出現を開始だ」
「了解です。そうだ、キリマンさん、この後でみんなで会議室に集まって戦いを見るんですけど、一緒にどうですか?」
一回戦いが始まってしまえば、もう操作する事は殆どない。
カメラも、怪人自身も自動で動く。忙しくなるのはその戦いの後の編集作業だ。
いつもなら怪人がやり過ぎないようにする操作で忙しいが、今回はブルーを殺してしまうのでそうした操作は無しだ。暇だと言っていい。
キリマンとしてもスタッフの皆と一緒に戦いを見るのは素敵な提案だと思ったが、お誘いの言葉には残念そうな表情を浮かべて首を横に振った。
「実はハマンディ局長からも誘われててね」
キリマンのその言葉にスタッフは気の毒そうな表情を浮かべて言った。
「それは……御愁傷様です」
「ははははは、みんなでブルーの戦いを応援しといてくれ」
キリマンはそう言って壁にかかっている時計を見る。戦いの時刻はもう間近に迫っていた。
異世界カメラのコントロールルーム。異世界に送られているカメラはかなり特殊な技術が使われていた。
敵役の怪人達は異世界へのゲートから直接向こうの世界へと送られることになる。
それに対してカメラはこちらの世界とあちらの世界の狭間に漂う。
そうする事で撮影は出来るが物理干渉を受けなくなるのだ。
世界の狭間ではカメラワークも自由自在で、ファイバーズのメンバーに見つかる事も無く、当然破壊される事もない。
そんなとても便利なカメラであるが、フィバーズの日常風景を撮影するカメラは常に動いているものの、戦闘シーンでは元ある数では足りなくなる。日常とは動きの激しさがまるで違うからだ。
そんなわけで戦闘を面白く撮影する為に戦闘用の追加カメラを異世界の狭間に送り込む必要がある。
それが撮影スタッフにとっては戦闘の前準備になるわけだ。
カモノハシのスタッフは馴れた動きで、異次元の隙間に送ったカメラの動作チェックを行う。帰ってきた信号は全機すべて問題無し。
「問題無しでーす」
送り込んだカメラ達はこれまでの撮影でしっかり学習を終えて、今では自動的に撮影を行う。
異世界番組が始まったばかりの昔と比べて一番進化したのはこのカメラと言っても過言ではないかもしれない。
「送り込む怪人の手配は終わっているか?」
作業を見ていたライオンのキリマンがそう話しかけると、作業が一段落したスタッフの一人が答える。
「準備完了したと報告は上がってきてますね。歴代最高数らしいですから、大変だったみたいですよ」
「よし。ブルーの方はどうだ?」
「ええっと、スタンバイ完了してますね」
映し出される映像で確認すると、ブルーは既にスタート地点に立っている様子だった。
いつものように体をほぐす為のストレッチをしている。
「本当に一人でやるつもりなんですね」
現場に一人しか居ないブルーを見てスタッフの誰かがそう呟く。
そう仕向けたのは彼等である。いろいろと裏で手を回し状況が整うようにはした。
とはいえ、異世界テレビの仕様上必ずそうなると決まったものでもなかったが、今回は狙い通りブルーを一人に出来ている。
とはいえ、実際一人で戦うブルーはそんな裏の事情を知る訳も無い。
つまりブルーは本気で一人で戦う覚悟を決めてここに居るのだ。
ブルーは改めて大したものだとスタッフは思った。
「でも最近は他の四人も活躍してたしな……最初期の頃とはやっぱ違うよ」
その言葉にスタッフ達は誰とも無く頷く。最初期のブルーが一人で戦っていたころだって、大きな怪我をさせないように調整はしていたのだ。
「よし、では予定時刻に合わせて怪人の出現を開始だ」
「了解です。そうだ、キリマンさん、この後でみんなで会議室に集まって戦いを見るんですけど、一緒にどうですか?」
一回戦いが始まってしまえば、もう操作する事は殆どない。
カメラも、怪人自身も自動で動く。忙しくなるのはその戦いの後の編集作業だ。
いつもなら怪人がやり過ぎないようにする操作で忙しいが、今回はブルーを殺してしまうのでそうした操作は無しだ。暇だと言っていい。
キリマンとしてもスタッフの皆と一緒に戦いを見るのは素敵な提案だと思ったが、お誘いの言葉には残念そうな表情を浮かべて首を横に振った。
「実はハマンディ局長からも誘われててね」
キリマンのその言葉にスタッフは気の毒そうな表情を浮かべて言った。
「それは……御愁傷様です」
「ははははは、みんなでブルーの戦いを応援しといてくれ」
キリマンはそう言って壁にかかっている時計を見る。戦いの時刻はもう間近に迫っていた。
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