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後編
62.仲間との再会(2)
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「って事はイシは呪いを解くために女王と闘うんだな!?」
白銀の言葉にエラは内心戸惑った。
黒目は、エラの呪いが解けない事を知っているのは黒目とエラの二人だけだ、と言ってた。つまり、皆この事を知らないのだ。
ずっと『魔法使いのうろ』で過ごしていた時も針鼠に事実を伝える事がなかった。最初はただの協力関係だと思っていたので言う必要がないと思っていた。しかし、段々針鼠を大切に思う自分の気持ちに気づいてからは言う気になれなくなった。心配をかけたくなかった。
「……そうよ。後、豚にかえられてしまった叔父様達を解放したいし、チビ達の敵討ちもしたい。闘う理由だらけよ。」
「ガハハハッ! そりゃ良い! 心強い味方だ!! よろしく頼むぜ!」
白銀が綺麗なガッツポーズを見せてくる。
「!! ちょ、ちょっと待ってよ! 何当然のように仲間になろうとしてんのよ!」
「?? だって、イシは女王と闘いたいから鼠太郎と協力関係なんだろ?鼠太郎はぜってぇ復讐をやめる男じゃねえ。違うか?」
「違いねえ。」
針鼠は断言した。白銀が大きな手を膝にパチンと叩きつけた。
「おう、やっぱお前はぶれねえな。で、鼠太郎の仲間って事は俺たちの仲間だろ?」
「__っ」
エラは目を大きく見開いた。
白銀だけでなく、神父も蜘蛛も翡翠も弟ドラも真っ直ぐな瞳でエラを見た。彼らはエラ達と共に女王と闘おうとしているのだ。
「待ってよ! 私があなた達を助けたのは別に仲間にしたいからじゃないわ! 針鼠を王にする事はもうできない! 私達は復讐のためだけに闘おうとしているの! これはもう正義の戦いじゃないわ! あなた達はここでおりて真っ当に生きるべきよ。」
「凶悪な指名手配犯達が、真っ当に、どうやって金稼いで生きていくんです?」
「真っ当に……闇の仕事とかして……暮らしてくとか……。」
ブッ!! と弟ドラが吹き出した。蜘蛛もフフッ……と静かに笑っている。
「引き返せる道はとうの昔に過ぎ去ってるんです。ならば最期の時まで信じた道を進むまで。」
神父の言葉に弟ドラも頷いた。
「別に、虎である俺は兄貴の敵をとりてえって思ってる訳じゃねえよ。ただまあ……ここでおりるのは気持ち悪いんだ。やるならとことん暴れてやるぜ。」
「で、でも、……せめて白銀さんや翡翠はやめるべきだわ。翡翠はまだ子供なのよ?」
「なぁに言ってんだよ! ドワーフじゃ、こいつはもう立派な大人だよ! 自分の人生くらい自分で決められる!」
翡翠は無言でコクコク頷いた。子供扱いされたのが不服だったみたいだ。
蜘蛛が立ち上がった。懐から一枚の布を取り出す。針鼠が前につけていたバンダナだ。蜘蛛がずっと持っていたのだ。蜘蛛はバンダナを針鼠の目の前に差し出した。
「リーダー……いや、針鼠。俺の信じる道はずっとあんたにつづいてる。だから、最期まで付き合わせてもらう。」
「_ああ。」
針鼠は差し出されたバンダナを受け取った。
「ようやく針鼠って感じがするぜ。」
「ガハハハ!! それしてねえと知らねえ女みたいだもんな!」
「うっせえよ。……おいお前ら_」
針鼠はバンダナを金髪にまきギュッと後ろで固く結んだ。
「地獄に落ちる覚悟はできてんだろうな。」
針鼠はニンマリと笑った。おう!!と男達は元気の良い返事をする。
盛り上がる男達を尻目に、エラは一人そっとため息をついた。
「……男の人って……。」
「なんだよ。馬鹿って言いてえのか?」
「言っておくがあんたも同じ穴の狢だぞ?」
蜘蛛が言うと彼らは高笑いした。
白銀の言葉にエラは内心戸惑った。
黒目は、エラの呪いが解けない事を知っているのは黒目とエラの二人だけだ、と言ってた。つまり、皆この事を知らないのだ。
ずっと『魔法使いのうろ』で過ごしていた時も針鼠に事実を伝える事がなかった。最初はただの協力関係だと思っていたので言う必要がないと思っていた。しかし、段々針鼠を大切に思う自分の気持ちに気づいてからは言う気になれなくなった。心配をかけたくなかった。
「……そうよ。後、豚にかえられてしまった叔父様達を解放したいし、チビ達の敵討ちもしたい。闘う理由だらけよ。」
「ガハハハッ! そりゃ良い! 心強い味方だ!! よろしく頼むぜ!」
白銀が綺麗なガッツポーズを見せてくる。
「!! ちょ、ちょっと待ってよ! 何当然のように仲間になろうとしてんのよ!」
「?? だって、イシは女王と闘いたいから鼠太郎と協力関係なんだろ?鼠太郎はぜってぇ復讐をやめる男じゃねえ。違うか?」
「違いねえ。」
針鼠は断言した。白銀が大きな手を膝にパチンと叩きつけた。
「おう、やっぱお前はぶれねえな。で、鼠太郎の仲間って事は俺たちの仲間だろ?」
「__っ」
エラは目を大きく見開いた。
白銀だけでなく、神父も蜘蛛も翡翠も弟ドラも真っ直ぐな瞳でエラを見た。彼らはエラ達と共に女王と闘おうとしているのだ。
「待ってよ! 私があなた達を助けたのは別に仲間にしたいからじゃないわ! 針鼠を王にする事はもうできない! 私達は復讐のためだけに闘おうとしているの! これはもう正義の戦いじゃないわ! あなた達はここでおりて真っ当に生きるべきよ。」
「凶悪な指名手配犯達が、真っ当に、どうやって金稼いで生きていくんです?」
「真っ当に……闇の仕事とかして……暮らしてくとか……。」
ブッ!! と弟ドラが吹き出した。蜘蛛もフフッ……と静かに笑っている。
「引き返せる道はとうの昔に過ぎ去ってるんです。ならば最期の時まで信じた道を進むまで。」
神父の言葉に弟ドラも頷いた。
「別に、虎である俺は兄貴の敵をとりてえって思ってる訳じゃねえよ。ただまあ……ここでおりるのは気持ち悪いんだ。やるならとことん暴れてやるぜ。」
「で、でも、……せめて白銀さんや翡翠はやめるべきだわ。翡翠はまだ子供なのよ?」
「なぁに言ってんだよ! ドワーフじゃ、こいつはもう立派な大人だよ! 自分の人生くらい自分で決められる!」
翡翠は無言でコクコク頷いた。子供扱いされたのが不服だったみたいだ。
蜘蛛が立ち上がった。懐から一枚の布を取り出す。針鼠が前につけていたバンダナだ。蜘蛛がずっと持っていたのだ。蜘蛛はバンダナを針鼠の目の前に差し出した。
「リーダー……いや、針鼠。俺の信じる道はずっとあんたにつづいてる。だから、最期まで付き合わせてもらう。」
「_ああ。」
針鼠は差し出されたバンダナを受け取った。
「ようやく針鼠って感じがするぜ。」
「ガハハハ!! それしてねえと知らねえ女みたいだもんな!」
「うっせえよ。……おいお前ら_」
針鼠はバンダナを金髪にまきギュッと後ろで固く結んだ。
「地獄に落ちる覚悟はできてんだろうな。」
針鼠はニンマリと笑った。おう!!と男達は元気の良い返事をする。
盛り上がる男達を尻目に、エラは一人そっとため息をついた。
「……男の人って……。」
「なんだよ。馬鹿って言いてえのか?」
「言っておくがあんたも同じ穴の狢だぞ?」
蜘蛛が言うと彼らは高笑いした。
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