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湖
「あの……ルシアン様」
「喋っていないで、手を動かせ」
「……」
「逃げたぞ! 何をしているんだ! 君は本当にノロマだな」
「……」
クレールは震える手で水中の魚を掴んだ。
魚はツルリと逃げてしまう。
「おい、ノロマ」
「もう嫌です。ルシアン様とお出かけだと思って、ほんのちょっとだけ……ほんのちょっとだけ楽しみにしていたのに、こんなこんな……」
クレールとルシアン様は湖の中にいた。
しかも、素手で魚を捕っている。
ジミーがきれいに整えてくれたクレールの髪もぐしょぐしょになってしまった。
湖に着くと同時にクレールはルシアン様から作業着と長靴を渡され、着替えるように言われたのだ。
「今日のミッションは外来生物調査だ。最近、我が国で他国の魚を放流する輩がいるらしい。外来生物は元々我が国にいる在来生物に影響を与えるから駆除しなくてはならない」
「ルシアン様は仕事熱心ですね……お休みなのに」
「君は魚を捕るのが上手かっただろう?」
「何年前の話をしているんですか!?」
ルシアン様の中では幼いクレールの印象で時が止まっているのかもしれない。
今のクレールには魚を素手で捕まえるのは生理的に無理だ。
「よいしょ」
ルシアン様は大きな魚を素手で捕まえて、得意げに笑っている。なかなかワイルドな男になったものだ。昔のルシアン様は魚なんて触れないと泣いていたのに。
「ルシアン様、せめて網をください!」
「軟弱者め」
ダメだ。ルシアン様は完全に鬼畜宰相モードに入っている。
「ルシアン様、鎖が邪魔で魚を捕まえられません」
「気合だ。気合でなんとかしろ」
「あの……一応、私は女性なのですが……」
「仕事では男女関係ないだろう?」
「はぁ、そうですけど……でも、ずっと水中にいると男性より冷えやすいんですよね……泣き言なのは分かるのですが……」
クレールが顔を真っ青にして震えていると、ルシアン様は目を見開いた。
「君、陸に上がれ」
「えっ?」
「少し休憩しよう」
ルシアン様はクレールを抱きかかえると、陸まで連れて行ってくれた。
ルシアン様の体温が作業着越しに伝わってくる。
意外とルシアン様も優しい所があるんだなぁとクレールは感心した。
「ほら、飲め」
ルシアン様が水筒からお茶を入れてくれた。
「あ、ありがとうございます……」
「気が付かなくて、悪かったな」
「ルシアン様が悪かった訳では……」
「クレール」
ルシアン様がクレールの頬を両手で包み込んだ。
ルシアン様の美しい青い瞳がクレールの動揺した表情を映している。
「ほっぺが冷えているな」
「そ、そうですか?」
「風邪を引かなければ良いが……」
「ち、近いです」
クレールはルシアン様から視線をそらし、顔が真っ赤になった。
「ちょっと暖まったな」
ルシアン様は意地悪そうに笑うと、クレールの額を指で弾いた。
「喋っていないで、手を動かせ」
「……」
「逃げたぞ! 何をしているんだ! 君は本当にノロマだな」
「……」
クレールは震える手で水中の魚を掴んだ。
魚はツルリと逃げてしまう。
「おい、ノロマ」
「もう嫌です。ルシアン様とお出かけだと思って、ほんのちょっとだけ……ほんのちょっとだけ楽しみにしていたのに、こんなこんな……」
クレールとルシアン様は湖の中にいた。
しかも、素手で魚を捕っている。
ジミーがきれいに整えてくれたクレールの髪もぐしょぐしょになってしまった。
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「ルシアン様は仕事熱心ですね……お休みなのに」
「君は魚を捕るのが上手かっただろう?」
「何年前の話をしているんですか!?」
ルシアン様の中では幼いクレールの印象で時が止まっているのかもしれない。
今のクレールには魚を素手で捕まえるのは生理的に無理だ。
「よいしょ」
ルシアン様は大きな魚を素手で捕まえて、得意げに笑っている。なかなかワイルドな男になったものだ。昔のルシアン様は魚なんて触れないと泣いていたのに。
「ルシアン様、せめて網をください!」
「軟弱者め」
ダメだ。ルシアン様は完全に鬼畜宰相モードに入っている。
「ルシアン様、鎖が邪魔で魚を捕まえられません」
「気合だ。気合でなんとかしろ」
「あの……一応、私は女性なのですが……」
「仕事では男女関係ないだろう?」
「はぁ、そうですけど……でも、ずっと水中にいると男性より冷えやすいんですよね……泣き言なのは分かるのですが……」
クレールが顔を真っ青にして震えていると、ルシアン様は目を見開いた。
「君、陸に上がれ」
「えっ?」
「少し休憩しよう」
ルシアン様はクレールを抱きかかえると、陸まで連れて行ってくれた。
ルシアン様の体温が作業着越しに伝わってくる。
意外とルシアン様も優しい所があるんだなぁとクレールは感心した。
「ほら、飲め」
ルシアン様が水筒からお茶を入れてくれた。
「あ、ありがとうございます……」
「気が付かなくて、悪かったな」
「ルシアン様が悪かった訳では……」
「クレール」
ルシアン様がクレールの頬を両手で包み込んだ。
ルシアン様の美しい青い瞳がクレールの動揺した表情を映している。
「ほっぺが冷えているな」
「そ、そうですか?」
「風邪を引かなければ良いが……」
「ち、近いです」
クレールはルシアン様から視線をそらし、顔が真っ赤になった。
「ちょっと暖まったな」
ルシアン様は意地悪そうに笑うと、クレールの額を指で弾いた。
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