12 / 22
馬車
馬車が止まった反動で、頭を打ちそうになったクレールをルシアン様が抱きかかえてくれた。
クレールはまるでルシアン様の宝物にでもなったような錯覚を覚えた。
「大丈夫か? クレール」
「あ、はい……」
ルシアン様が熱っぽい瞳でクレールを見つめている。あれ、ルシアン様ってこんな目でクレールを見つめてくる人だっけ。
ルシアン様と言えば、意地悪な目しか印象がない。
クレールはこんな風に甘く自分を見つめてくる人を知らない。
このひとはルシアン様にとても似ているが、ルシアン様とは別人なのだろうか。
「どこもぶつけていないか?」
「……大丈夫です」
「荒っぽい運転だな」
「何か横切ったのでしょうか?」
「この辺りは魔獣が多いからな」
「あの……ルシアン様、離してくれませんか?」
「……またクレールが頭をぶつけたら困る」
ルシアン様はクレールを強く抱きしめた。
クレールは戸惑いながらもルシアン様の背に腕を回した。
「クレール……」
「ルシアン様……」
ルシアン様の自分より高い体温が懐かしくて気持ちよくて、クレールはうとうとしてきた。
そういえば昔はよくルシアン様と一緒にお昼寝をしていたことをクレールは思い出した。ルシアン様と一緒に眠ると安心して眠れた気がする。
「俺はずっと君のことが……」
ルシアン様がクレールの頬に優しく触れる。そのまま、ルシアン様の手はクレールの鎖骨まで滑らせた。
ルシアン様の顔がクレールの顔に近づいてくる。
クレールはルシアン様の熱っぽい青い瞳から目を離せなかった。
「……」
ルシアン様は続きを言わずにクレールをただ見つめている。クレールは鎖骨に置かれたルシアンの熱に身体を拘束されたみたいに身動きがとれなくなった。
「ルシアン様?」
ガタンと馬車が止まった。
「おい、ノロマ。いつまで寝ているんだ。着いたぞ」
クレールが目をこすりながら馬車の外を見ると、ルシアン様がすでに馬車から降りて爽やかに笑っていた。
もしかしたら、クレールは少しの間眠っていたのかもしれない。クレールには先ほどの出来事がどこから現実なのかどこから夢なのか判断がつかなかった。
クレールはまるでルシアン様の宝物にでもなったような錯覚を覚えた。
「大丈夫か? クレール」
「あ、はい……」
ルシアン様が熱っぽい瞳でクレールを見つめている。あれ、ルシアン様ってこんな目でクレールを見つめてくる人だっけ。
ルシアン様と言えば、意地悪な目しか印象がない。
クレールはこんな風に甘く自分を見つめてくる人を知らない。
このひとはルシアン様にとても似ているが、ルシアン様とは別人なのだろうか。
「どこもぶつけていないか?」
「……大丈夫です」
「荒っぽい運転だな」
「何か横切ったのでしょうか?」
「この辺りは魔獣が多いからな」
「あの……ルシアン様、離してくれませんか?」
「……またクレールが頭をぶつけたら困る」
ルシアン様はクレールを強く抱きしめた。
クレールは戸惑いながらもルシアン様の背に腕を回した。
「クレール……」
「ルシアン様……」
ルシアン様の自分より高い体温が懐かしくて気持ちよくて、クレールはうとうとしてきた。
そういえば昔はよくルシアン様と一緒にお昼寝をしていたことをクレールは思い出した。ルシアン様と一緒に眠ると安心して眠れた気がする。
「俺はずっと君のことが……」
ルシアン様がクレールの頬に優しく触れる。そのまま、ルシアン様の手はクレールの鎖骨まで滑らせた。
ルシアン様の顔がクレールの顔に近づいてくる。
クレールはルシアン様の熱っぽい青い瞳から目を離せなかった。
「……」
ルシアン様は続きを言わずにクレールをただ見つめている。クレールは鎖骨に置かれたルシアンの熱に身体を拘束されたみたいに身動きがとれなくなった。
「ルシアン様?」
ガタンと馬車が止まった。
「おい、ノロマ。いつまで寝ているんだ。着いたぞ」
クレールが目をこすりながら馬車の外を見ると、ルシアン様がすでに馬車から降りて爽やかに笑っていた。
もしかしたら、クレールは少しの間眠っていたのかもしれない。クレールには先ほどの出来事がどこから現実なのかどこから夢なのか判断がつかなかった。
あなたにおすすめの小説
姉の婚約者に愛人になれと言われたので、母に助けてと相談したら衝撃を受ける。
佐藤 美奈
恋愛
男爵令嬢のイリスは貧乏な家庭。学園に通いながら働いて学費を稼ぐ決意をするほど。
そんな時に姉のミシェルと婚約している伯爵令息のキースが来訪する。
キースは母に頼まれて学費の資金を援助すると申し出てくれました。
でもそれには条件があると言いイリスに愛人になれと迫るのです。
最近母の様子もおかしい?父以外の男性の影を匂わせる。何かと理由をつけて出かける母。
誰かと会う約束があったかもしれない……しかし現実は残酷で母がある男性から溺愛されている事実を知る。
「お母様!そんな最低な男に騙されないで!正気に戻ってください!」娘の悲痛な叫びも母の耳に入らない。
男性に恋をして心を奪われ、穏やかでいつも優しい性格の母が変わってしまった。
今まで大切に積み上げてきた家族の絆が崩れる。母は可愛い二人の娘から嫌われてでも父と離婚して彼と結婚すると言う。
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
幼馴染と夫の衝撃告白に号泣「僕たちは愛し合っている」王子兄弟の関係に私の入る隙間がない!
佐藤 美奈
恋愛
「僕たちは愛し合っているんだ!」
突然、夫に言われた。アメリアは第一子を出産したばかりなのに……。
アメリア公爵令嬢はレオナルド王太子と結婚して、アメリアは王太子妃になった。
アメリアの幼馴染のウィリアム。アメリアの夫はレオナルド。二人は兄弟王子。
二人は、仲が良い兄弟だと思っていたけど予想以上だった。二人の親密さに、私は入る隙間がなさそうだと思っていたら本当になかったなんて……。
【完結】孤高の皇帝は冷酷なはずなのに、王妃には甘過ぎです。
朝日みらい
恋愛
異国からやってきた第3王女のアリシアは、帝国の冷徹な皇帝カイゼルの元に王妃として迎えられた。しかし、冷酷な皇帝と呼ばれるカイゼルは周囲に心を許さず、心を閉ざしていた。しかし、アリシアのひたむきさと笑顔が、次第にカイゼルの心を溶かしていき――。
仮面王の花嫁
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
皇帝の命令で、側室となった私の運命
佐藤 美奈
恋愛
フリード皇太子との密会の後、去り行くアイラ令嬢をアーノルド皇帝陛下が一目見て見初められた。そして、その日のうちに側室として召し上げられた。フリード皇太子とアイラ公爵令嬢は幼馴染で婚約をしている。
自分の婚約者を取られたフリードは、アーノルドに抗議をした。
「父上には数多くの側室がいるのに、息子の婚約者にまで手を出すつもりですか!」
「美しいアイラが気に入った。息子でも渡したくない。我が皇帝である限り、何もかもは我のものだ!」
その言葉に、フリードは言葉を失った。立ち尽くし、その無慈悲さに心を打ちひしがれた。
魔法、ファンタジー、異世界要素もあるかもしれません。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。