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天羽家嫡男誘拐事件
嫡男失踪
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結局、昨日はお嬢様が公英がいる離れに戻ってくることはなかった。
何かまずいことをしてしまったのだろうか。お嬢様が公英にあんな態度をとるなんて珍しい。お嬢様は公英にとても懐いてくれていると思っていた。少なくとも公英に嫌悪感はなかったはずだった。
このままお嬢様に嫌われてお嬢様のお付きじゃなくなるのは嫌だ。あれ?なぜ僕はお嬢様のお付きじゃなくなるのが嫌なんだろう。仕事はだいぶ覚えてきて、執事長に怒られることが減ってきた。お嬢様のお付きでなくても母屋でも十分働けると思う。
しかし、お嬢様と離れたら公英の立場上、二度とお嬢様とお話出来なくなってしまうかもしれない。それだけはなんとしても避けたい。
公英がそんなことを考えながら天羽家に出勤すると、お屋敷が慌ただしかった。
「何があったのですか?」
走り回ってせっかくのタキシードが汗だくになっている執事長に聞いた。
「幸彦様がいなくなった」
執事長は小さなハンカチで額の汗を拭った。その小さなハンカチでは足りなさそうなので、公英は自分のハンカチを執事長に差し出した。執事長は礼を言うと公英のハンカチを受け取ってくれた。
「幸彦様って、ご嫡男の幸彦様でございますか?」
天羽幸彦。
天羽家のご嫡男で、お嬢様の異母弟である。御年10歳であるが、容姿端麗でしかも文武両道であると評判である。
公英も何度か幸彦様と屋敷ですれ違ったことはあるが、とても美しい方だと思った。その幸彦様が突然いなくなったらしい。公英はなんだか嫌な予感がした。
「そうだ。幸彦様が朝起きて来ないから、メイドが見に行ったら、幸彦様の部屋が荒らされて幸彦様も居なくなっていたそうだ」
「どこに行ってしまったのでしょう?」
「わからない。今、屋敷の者達で探している。お前はお嬢様のそばにいてくれ」
「かしこまりました」
幸彦の名を叫びながら大声で泣いている女性がいる。幸彦の母であり、お嬢様の義母である天羽家の奥方様だ。今日も相変わらず朝っぱらから派手な出で立ちをしている。
公英は奥方様が嫌いだった。奥方様は使用人に対して当たりが強く、公英も何度か叱責されたことがある。そんな気が強い奥方様が泣いている。
奥方様め。ざまあみろ!と思わないでもないが、幸彦はまだ子どもである。幸彦のことはとても心配だった。
そんなことを考えながら、公英はお嬢様のもとに急ぎ足で向かった。
何かまずいことをしてしまったのだろうか。お嬢様が公英にあんな態度をとるなんて珍しい。お嬢様は公英にとても懐いてくれていると思っていた。少なくとも公英に嫌悪感はなかったはずだった。
このままお嬢様に嫌われてお嬢様のお付きじゃなくなるのは嫌だ。あれ?なぜ僕はお嬢様のお付きじゃなくなるのが嫌なんだろう。仕事はだいぶ覚えてきて、執事長に怒られることが減ってきた。お嬢様のお付きでなくても母屋でも十分働けると思う。
しかし、お嬢様と離れたら公英の立場上、二度とお嬢様とお話出来なくなってしまうかもしれない。それだけはなんとしても避けたい。
公英がそんなことを考えながら天羽家に出勤すると、お屋敷が慌ただしかった。
「何があったのですか?」
走り回ってせっかくのタキシードが汗だくになっている執事長に聞いた。
「幸彦様がいなくなった」
執事長は小さなハンカチで額の汗を拭った。その小さなハンカチでは足りなさそうなので、公英は自分のハンカチを執事長に差し出した。執事長は礼を言うと公英のハンカチを受け取ってくれた。
「幸彦様って、ご嫡男の幸彦様でございますか?」
天羽幸彦。
天羽家のご嫡男で、お嬢様の異母弟である。御年10歳であるが、容姿端麗でしかも文武両道であると評判である。
公英も何度か幸彦様と屋敷ですれ違ったことはあるが、とても美しい方だと思った。その幸彦様が突然いなくなったらしい。公英はなんだか嫌な予感がした。
「そうだ。幸彦様が朝起きて来ないから、メイドが見に行ったら、幸彦様の部屋が荒らされて幸彦様も居なくなっていたそうだ」
「どこに行ってしまったのでしょう?」
「わからない。今、屋敷の者達で探している。お前はお嬢様のそばにいてくれ」
「かしこまりました」
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そんなことを考えながら、公英はお嬢様のもとに急ぎ足で向かった。
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