25年目の花畑の下には秘密が埋まっている〜探偵ごっこがお好きな見捨てられたお嬢様は見習い執事に愛される〜

八朔バニラ

文字の大きさ
33 / 46
天羽家嫡男誘拐事件

嫡男失踪

しおりを挟む
 結局、昨日はお嬢様が公英がいる離れに戻ってくることはなかった。
 何かまずいことをしてしまったのだろうか。お嬢様が公英にあんな態度をとるなんて珍しい。お嬢様は公英にとても懐いてくれていると思っていた。少なくとも公英に嫌悪感はなかったはずだった。
 このままお嬢様に嫌われてお嬢様のお付きじゃなくなるのは嫌だ。あれ?なぜ僕はお嬢様のお付きじゃなくなるのが嫌なんだろう。仕事はだいぶ覚えてきて、執事長に怒られることが減ってきた。お嬢様のお付きでなくても母屋でも十分働けると思う。
 しかし、お嬢様と離れたら公英の立場上、二度とお嬢様とお話出来なくなってしまうかもしれない。それだけはなんとしても避けたい。
 公英がそんなことを考えながら天羽家に出勤すると、お屋敷が慌ただしかった。

「何があったのですか?」

 走り回ってせっかくのタキシードが汗だくになっている執事長に聞いた。

「幸彦様がいなくなった」

 執事長は小さなハンカチで額の汗を拭った。その小さなハンカチでは足りなさそうなので、公英は自分のハンカチを執事長に差し出した。執事長は礼を言うと公英のハンカチを受け取ってくれた。

「幸彦様って、ご嫡男の幸彦様でございますか?」

 天羽幸彦あまばゆきひこ
 天羽家のご嫡男で、お嬢様の異母弟である。御年10歳であるが、容姿端麗でしかも文武両道であると評判である。
 公英も何度か幸彦様と屋敷ですれ違ったことはあるが、とても美しい方だと思った。その幸彦様が突然いなくなったらしい。公英はなんだか嫌な予感がした。

「そうだ。幸彦様が朝起きて来ないから、メイドが見に行ったら、幸彦様の部屋が荒らされて幸彦様も居なくなっていたそうだ」

「どこに行ってしまったのでしょう?」

「わからない。今、屋敷の者達で探している。お前はお嬢様のそばにいてくれ」

「かしこまりました」

 幸彦の名を叫びながら大声で泣いている女性がいる。幸彦の母であり、お嬢様の義母である天羽家の奥方様だ。今日も相変わらず朝っぱらから派手な出で立ちをしている。
 公英は奥方様が嫌いだった。奥方様は使用人に対して当たりが強く、公英も何度か叱責されたことがある。そんな気が強い奥方様が泣いている。
 奥方様め。ざまあみろ!と思わないでもないが、幸彦はまだ子どもである。幸彦のことはとても心配だった。
 そんなことを考えながら、公英はお嬢様のもとに急ぎ足で向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

24hポイントが0だった作品を削除し再投稿したらHOTランキング3位以内に入った話

アミ100
エッセイ・ノンフィクション
私の作品「乙女ゲームのヒロインに転生、科学を駆使して剣と魔法の世界を生きる」がHOTランキング入り(最高で2位)しました、ありがとうございますm(_ _)m この作品は2年ほど前に投稿したものを1度削除し、色々投稿の仕方を見直して再投稿したものです。 そこで、前回と投稿の仕方をどう変えたらどの程度変わったのかを記録しておこうと思います。 「投稿時、作品内容以外でどこに気を配るべきなのか」の参考になればと思いますm(_ _)m

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

アルファポリス底辺ユーザーのポイント・スコア記録。鼻で笑いたい方は是非ご覧ください。他、涙ぐましいポイ活の記録とか。

筑前煮
エッセイ・ノンフィクション
タイトル通りです。ド底辺ユーザーのスコアなどを載せています。その他アンケートサイトなどで稼いだ実績などを、備忘録も兼ねて淡々とのせます。

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

処理中です...