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第二章
12.
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レオンが夕刻に帰っても、ヴォルターはリゼットの屋敷に残った。
リゼットが警護に慣れるためと、屋敷内の者とやりとりがあるため、慣らし期間がはじまったのだった。
今は部屋の外で、いつもいる兵士と警護の打ち合わせをしている。
あの事件以降、普段はレオンの警護を担当する兵士が交代でついていたが、ヴォルターのように専属ということはなかった。
また、今までは夜間だけ寝室前を警護していたので、四六時中、同じ人がそばにいることはレオン以外だと初めてだ。
兵士たちは、みな寡黙で、会話をしたこともなかったことを思い返す。
もちろん、それは警護が任務なので、リゼット自身は軽々しく話しかけてはいけなかったのだと思った。
リゼットはマノンにお茶を淹れてもらいゆっくりと飲む。リラックス効果のあるハーブティだ。香りがとても落ちつく。
「お嬢様、今日は人疲れしていませんか?」
「マノン、気遣いありがとう。少しだけ緊張しているけれど、もう大丈夫よ」
リゼットはティーカップを置く。
マノンはリゼットの髪を優しく梳いた。ゆるく三つ編みをして、サイドに流す。
「それにしても、この銀髪はどうしようもないのですね。王宮魔術師は、この髪のことを存じているのかしら?」
「染めてもすぐ取れましたものね。お嬢様が気にされているのに、申し訳ないです」
「マノンのせいではないわ。それに、お母様の姿を見たら、私もいずれ銀髪になるのだと思ったわ」
リゼットの母、ディーは青い髪と金色の目をしていた。
リゼットの幼少期、母はリゼットと同じ フォレストグリーンの目をしていた。髪の色だって、青色ではなく明るいオレンジだった。
竜の力が影響しているそうだが、それは遺伝して同じ髪や瞳の色になるわけでないようだ。
リゼットは疑問が残ったが、それよりも目の前の書物に目を通さなければいけなかった。
レオンの出立前に、二人で王宮魔術士のところへ向かう約束をした。
それも明日。急ではあったが、レオンの都合に合わせると仕方がない。
その前に、少しでも魔法の理解をしたいと思い、読書の時間を作ったのだ。
「お嬢様、あまり遅くまで根を詰めないでくださいね」
「ええ、初級魔法の本を一冊だけ読むわ」
手に取ったのは他に比べて、厚みのない書物。魔法の五大元素の初級知識が書いてある。学院生向けの本のようだった。
フォルトデリアでは、5歳から15歳までの10年間、それぞれの都市の学院にかよう。どの都市でも共通した教育をしていたが、魔法に関しては「魔力があるもののみ」の特別授業だった。
リゼットは学院の時点では、魔力値が少なかったため、その授業を受けることはなかった。
こうして、今になって勉強することになるとは、思ってもいなかった。
「……でも、とても興味深いわ」
五大元素は水火風地雷。
自然のエネルギーとほぼ変わりないものを、人の手と魔力で生み出すのだ。
あっという間に一冊読み終えて、もう一冊手を伸ばすとマノンが止めた。
「お約束のお時間ですよ?」
「ああ、そうだったわ。すっかり面白くて」
「そうでしょうね。私が声をかけても、聞こえていませんでしたもの」
「それは、ごめんなさい」
「ヴォルター様がドアの外で待っていますわ」
「え、ごめんなさい。マノン、わたくしを止めてくれてもよかったのよ」
リゼットは慌てて立ち上がる。
マノンはにっこり笑って、ドアの前に向かい、少し扉を開けた。
「ヴォルター様は、終わってからで良いとお話しされたので。……ヴォルター様、お待たせしました」
扉の向こうからヴォルターの声がする。部屋には入らないようだ。
「ありがとうございます。警護の交代をしましたので、そのお声かけでした。また、明日の夕刻からもお伺いしますことをお伝えします」
リゼットは少し開いた扉から、ヴォルターを覗く。
すぐにヴォルターから焦る声がした。
「お止めくださいませ。レオナード様から、夜は緊急時以外はリゼット様の姿を見ないようにと命じられています」
「どうして?」
「どうしてって……」
ヴォルターは言葉を続けられず、頭の中の言葉を整理する。
「レオナード様からの命ですので、リゼット様と軽率に接触を禁じられています」
「軽率ですか」
「この扉を開けることは軽率だと、他の兵士から聞いております」
「ああ、だからわたくしと目も合わさず、話もしてくれなかったのですね」
リゼットは嫌われていたわけでないと知り、ホッとした。
「そういう事ですので、リゼット様は扉を閉めておやすみください」
「わかりました。ヴォルター様もどうか……」
「その先の言葉は結構です」
どうして?と聞く前に、扉は固く閉ざされた。その後は、気配を消したかのように静かになった。
「レオンの命とは何かしら?」
「きっと大事にしている証なのではないでしょうか?」
マノンがフォローする。
リゼットはレオンが命じたのは警護だけでなかったことに、疑問を持った。でも、きっとレオンなりの考えがあるのだろう。
書物もマノンが片付けてしまう。リゼットに早く休むよう促して、マノンはお茶のワゴンを運び出て行く。
マノンの声で扉が開き、またすぐに固く閉められる。
リゼットはベッドに潜り込み、目を瞑った。
いつもと違う雰囲気に、少し寝つきが悪かったが、日付が変わる前には寝入っていた。
◇◇◇
翌日、マノンの声で起床する。
「お嬢様、朝ですよ。レオナード様がまもなく到着されますよ」
「ええ、もう起きるわ」
リゼットはゆっくり上体を起こす。
瞼が重い。
マノンに手伝ってもらい、紺色でレースが少ないドレスを身につける。
靴はヒールではなく、膝丈の皮ブーツ。乗馬や運動しやすい衣装で、王宮魔術士の制服のように、動きやすさを重視している。
「お嬢様、昨日はちゃんとおやすみできましたか?少し顔色が……」
「ええ、寝付くのは遅かったけれど、眠れたわ」
「そうですか?もし体調が悪くなったら、早めにレオナード様にお話してくださいね」
リゼットは「わかったわ」といつも通り返事をする。
化粧をしてもらう、疲れが見えないようにとマノンはケアもしてくれた。
そして髪を結ってもらう。銀髪が隠れるように、リボンを一緒に編み込んだ。外では帽子も着用するので、髪の色については気が付かれないだろう。
扉の外では、レオンが立っていた。その背後にヴォルターが控えている。
「リゼット、今日も綺麗だ」
「ありがとうございます、レオン」
手にキスをして、キラキラした目でレオンが見つめる。そして、リゼットの頬に触れた。
「いつもより化粧をしてさらに美しさが際立っているけれど、少し疲れているかい?」
「いえ、大丈夫ですわ」
リゼットは微笑んだ。
レオンは「無理はしないようにね」と伝える。
「ヴォルターの警護はどうだい?」
「ええと、気になることはなかったです」
「それはどういう?」
「レオンが、大事にしてくださっているとわかりました」
「……っ!ヴォルター何を話したんだい?」
ヴォルターは真面目な表情で答えた。
「レオナード様が命じた通りです」
「命じた通り?」
「リゼット様の部屋に緊急時以外は立ち入らない、レオナード様のいないところで声をかけない、レオナード様よりリゼット様と親密にならない、あとは……っ」
まだいくつかの命があっただろうが、レオンがヴォルターの口を手で押さえたので、続かなかった。
「レオン……?」
リゼットがじーっとレオンを見つめる。
「リゼットのいないところで、ヴォルターと話し合いたい」
「私もレオナード様にお伝えしたいことがあります。どうか時間をください」
ヴォルターの口を抑える手が離れた。レオンはリゼットを見る。
「10分だけ待っていてくれないか。マノン、客間を貸してくれ」
マノンは返事をすると、案内する。リゼットは、部屋に戻り椅子に腰かけた。
終わり次第、マノンが呼びに来てくれるだろう。
ヴォルターの任務は、レオンが討伐を終えて到着するまでの間。
日程は3日程と言っていたが、延期する可能性もある。
レオンの話し方と、ヴォルターから聞いたことを足すと、レオンは他の人にリゼットと近づいてほしくないらしい。
それは、事件のせいなのだろうか。
それとも、以前からなのだろうか。
レオンを信じているけれど、あまりにも守られすぎている自分に、リゼットは気がついていた。
リゼットはぼんやりと思いふける。
しばらくして、扉のノック音の後、マノンの声がする。
「お嬢様、お待たせしました。お二人が戻りましたよ」
「わかったわ、今行きます」
扉を開けると、レオンが立っていて、後ろにヴォルターが控えていた。
「リゼット、待たせたな」
「いいえ、大丈夫です」
レオンが手を差し出し、リゼットはその手の上に自分の手を乗せる。ヴォルターはそれを確認すると、
「では、私はここで失礼します。また夕刻参ります」
と下がった。一晩、警護をしたのだから、仮眠をするのだろうとリゼットは思った。
王宮までは馬車で向かう。
馬車に乗り込むと、レオンはリゼットに腕輪を差し出した。
「これは王宮魔術士の敷地へ入るための道具だ。これば無いと、魔法で弾かれるから無くさないように身につけてくれ」
「わかりました」
「コツがいるから、俺がつけるよ」
そう言われて、左手首を差し出す。
レオンが手首に腕輪をつけると、腕輪がほのかに光った。
「これを開発したのは、リゼットの父上だよ」
「これをお父様が?」
「複製できないような技術があるそうだ」
「お父様のお仕事の成果なのですね」
家では全然仕事の話をしないので、ひとつ父のことを知ることができて、リゼットは幸せな気持ちになった。
「他にもあるのだけど、魔法も魔術士も、魔道具も、機密が多いからね。リゼットがその辺りに触れることがあれば、教えるよ」
「レオン、ありがとうございます」
王宮までの道のり、腕輪の話から、魔法の初級講座の確認に移って、レオンが先生役をしていたら、あっという間だった。
リゼットが警護に慣れるためと、屋敷内の者とやりとりがあるため、慣らし期間がはじまったのだった。
今は部屋の外で、いつもいる兵士と警護の打ち合わせをしている。
あの事件以降、普段はレオンの警護を担当する兵士が交代でついていたが、ヴォルターのように専属ということはなかった。
また、今までは夜間だけ寝室前を警護していたので、四六時中、同じ人がそばにいることはレオン以外だと初めてだ。
兵士たちは、みな寡黙で、会話をしたこともなかったことを思い返す。
もちろん、それは警護が任務なので、リゼット自身は軽々しく話しかけてはいけなかったのだと思った。
リゼットはマノンにお茶を淹れてもらいゆっくりと飲む。リラックス効果のあるハーブティだ。香りがとても落ちつく。
「お嬢様、今日は人疲れしていませんか?」
「マノン、気遣いありがとう。少しだけ緊張しているけれど、もう大丈夫よ」
リゼットはティーカップを置く。
マノンはリゼットの髪を優しく梳いた。ゆるく三つ編みをして、サイドに流す。
「それにしても、この銀髪はどうしようもないのですね。王宮魔術師は、この髪のことを存じているのかしら?」
「染めてもすぐ取れましたものね。お嬢様が気にされているのに、申し訳ないです」
「マノンのせいではないわ。それに、お母様の姿を見たら、私もいずれ銀髪になるのだと思ったわ」
リゼットの母、ディーは青い髪と金色の目をしていた。
リゼットの幼少期、母はリゼットと同じ フォレストグリーンの目をしていた。髪の色だって、青色ではなく明るいオレンジだった。
竜の力が影響しているそうだが、それは遺伝して同じ髪や瞳の色になるわけでないようだ。
リゼットは疑問が残ったが、それよりも目の前の書物に目を通さなければいけなかった。
レオンの出立前に、二人で王宮魔術士のところへ向かう約束をした。
それも明日。急ではあったが、レオンの都合に合わせると仕方がない。
その前に、少しでも魔法の理解をしたいと思い、読書の時間を作ったのだ。
「お嬢様、あまり遅くまで根を詰めないでくださいね」
「ええ、初級魔法の本を一冊だけ読むわ」
手に取ったのは他に比べて、厚みのない書物。魔法の五大元素の初級知識が書いてある。学院生向けの本のようだった。
フォルトデリアでは、5歳から15歳までの10年間、それぞれの都市の学院にかよう。どの都市でも共通した教育をしていたが、魔法に関しては「魔力があるもののみ」の特別授業だった。
リゼットは学院の時点では、魔力値が少なかったため、その授業を受けることはなかった。
こうして、今になって勉強することになるとは、思ってもいなかった。
「……でも、とても興味深いわ」
五大元素は水火風地雷。
自然のエネルギーとほぼ変わりないものを、人の手と魔力で生み出すのだ。
あっという間に一冊読み終えて、もう一冊手を伸ばすとマノンが止めた。
「お約束のお時間ですよ?」
「ああ、そうだったわ。すっかり面白くて」
「そうでしょうね。私が声をかけても、聞こえていませんでしたもの」
「それは、ごめんなさい」
「ヴォルター様がドアの外で待っていますわ」
「え、ごめんなさい。マノン、わたくしを止めてくれてもよかったのよ」
リゼットは慌てて立ち上がる。
マノンはにっこり笑って、ドアの前に向かい、少し扉を開けた。
「ヴォルター様は、終わってからで良いとお話しされたので。……ヴォルター様、お待たせしました」
扉の向こうからヴォルターの声がする。部屋には入らないようだ。
「ありがとうございます。警護の交代をしましたので、そのお声かけでした。また、明日の夕刻からもお伺いしますことをお伝えします」
リゼットは少し開いた扉から、ヴォルターを覗く。
すぐにヴォルターから焦る声がした。
「お止めくださいませ。レオナード様から、夜は緊急時以外はリゼット様の姿を見ないようにと命じられています」
「どうして?」
「どうしてって……」
ヴォルターは言葉を続けられず、頭の中の言葉を整理する。
「レオナード様からの命ですので、リゼット様と軽率に接触を禁じられています」
「軽率ですか」
「この扉を開けることは軽率だと、他の兵士から聞いております」
「ああ、だからわたくしと目も合わさず、話もしてくれなかったのですね」
リゼットは嫌われていたわけでないと知り、ホッとした。
「そういう事ですので、リゼット様は扉を閉めておやすみください」
「わかりました。ヴォルター様もどうか……」
「その先の言葉は結構です」
どうして?と聞く前に、扉は固く閉ざされた。その後は、気配を消したかのように静かになった。
「レオンの命とは何かしら?」
「きっと大事にしている証なのではないでしょうか?」
マノンがフォローする。
リゼットはレオンが命じたのは警護だけでなかったことに、疑問を持った。でも、きっとレオンなりの考えがあるのだろう。
書物もマノンが片付けてしまう。リゼットに早く休むよう促して、マノンはお茶のワゴンを運び出て行く。
マノンの声で扉が開き、またすぐに固く閉められる。
リゼットはベッドに潜り込み、目を瞑った。
いつもと違う雰囲気に、少し寝つきが悪かったが、日付が変わる前には寝入っていた。
◇◇◇
翌日、マノンの声で起床する。
「お嬢様、朝ですよ。レオナード様がまもなく到着されますよ」
「ええ、もう起きるわ」
リゼットはゆっくり上体を起こす。
瞼が重い。
マノンに手伝ってもらい、紺色でレースが少ないドレスを身につける。
靴はヒールではなく、膝丈の皮ブーツ。乗馬や運動しやすい衣装で、王宮魔術士の制服のように、動きやすさを重視している。
「お嬢様、昨日はちゃんとおやすみできましたか?少し顔色が……」
「ええ、寝付くのは遅かったけれど、眠れたわ」
「そうですか?もし体調が悪くなったら、早めにレオナード様にお話してくださいね」
リゼットは「わかったわ」といつも通り返事をする。
化粧をしてもらう、疲れが見えないようにとマノンはケアもしてくれた。
そして髪を結ってもらう。銀髪が隠れるように、リボンを一緒に編み込んだ。外では帽子も着用するので、髪の色については気が付かれないだろう。
扉の外では、レオンが立っていた。その背後にヴォルターが控えている。
「リゼット、今日も綺麗だ」
「ありがとうございます、レオン」
手にキスをして、キラキラした目でレオンが見つめる。そして、リゼットの頬に触れた。
「いつもより化粧をしてさらに美しさが際立っているけれど、少し疲れているかい?」
「いえ、大丈夫ですわ」
リゼットは微笑んだ。
レオンは「無理はしないようにね」と伝える。
「ヴォルターの警護はどうだい?」
「ええと、気になることはなかったです」
「それはどういう?」
「レオンが、大事にしてくださっているとわかりました」
「……っ!ヴォルター何を話したんだい?」
ヴォルターは真面目な表情で答えた。
「レオナード様が命じた通りです」
「命じた通り?」
「リゼット様の部屋に緊急時以外は立ち入らない、レオナード様のいないところで声をかけない、レオナード様よりリゼット様と親密にならない、あとは……っ」
まだいくつかの命があっただろうが、レオンがヴォルターの口を手で押さえたので、続かなかった。
「レオン……?」
リゼットがじーっとレオンを見つめる。
「リゼットのいないところで、ヴォルターと話し合いたい」
「私もレオナード様にお伝えしたいことがあります。どうか時間をください」
ヴォルターの口を抑える手が離れた。レオンはリゼットを見る。
「10分だけ待っていてくれないか。マノン、客間を貸してくれ」
マノンは返事をすると、案内する。リゼットは、部屋に戻り椅子に腰かけた。
終わり次第、マノンが呼びに来てくれるだろう。
ヴォルターの任務は、レオンが討伐を終えて到着するまでの間。
日程は3日程と言っていたが、延期する可能性もある。
レオンの話し方と、ヴォルターから聞いたことを足すと、レオンは他の人にリゼットと近づいてほしくないらしい。
それは、事件のせいなのだろうか。
それとも、以前からなのだろうか。
レオンを信じているけれど、あまりにも守られすぎている自分に、リゼットは気がついていた。
リゼットはぼんやりと思いふける。
しばらくして、扉のノック音の後、マノンの声がする。
「お嬢様、お待たせしました。お二人が戻りましたよ」
「わかったわ、今行きます」
扉を開けると、レオンが立っていて、後ろにヴォルターが控えていた。
「リゼット、待たせたな」
「いいえ、大丈夫です」
レオンが手を差し出し、リゼットはその手の上に自分の手を乗せる。ヴォルターはそれを確認すると、
「では、私はここで失礼します。また夕刻参ります」
と下がった。一晩、警護をしたのだから、仮眠をするのだろうとリゼットは思った。
王宮までは馬車で向かう。
馬車に乗り込むと、レオンはリゼットに腕輪を差し出した。
「これは王宮魔術士の敷地へ入るための道具だ。これば無いと、魔法で弾かれるから無くさないように身につけてくれ」
「わかりました」
「コツがいるから、俺がつけるよ」
そう言われて、左手首を差し出す。
レオンが手首に腕輪をつけると、腕輪がほのかに光った。
「これを開発したのは、リゼットの父上だよ」
「これをお父様が?」
「複製できないような技術があるそうだ」
「お父様のお仕事の成果なのですね」
家では全然仕事の話をしないので、ひとつ父のことを知ることができて、リゼットは幸せな気持ちになった。
「他にもあるのだけど、魔法も魔術士も、魔道具も、機密が多いからね。リゼットがその辺りに触れることがあれば、教えるよ」
「レオン、ありがとうございます」
王宮までの道のり、腕輪の話から、魔法の初級講座の確認に移って、レオンが先生役をしていたら、あっという間だった。
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