王子に溺愛された、平凡な少女の話

ハルノ

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第四章

31.

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※恋愛的に辛い箇所があるかもー(注意書きです)

 リゼットは、ルーの話を聞くことにしたが、あまりにも衣服がボロボロなため、先に着替えをするようお願いした。
 とはいえ、リゼットに貸し出せる服はなく、ヴォルターが貸してくれた。
 2人とも背丈が似ているので、サイズは問題なかった。

「ルーは、今までどうしていたのですか。レオンからの手紙を、わたくしに届けてくれた後はレオンのところへ戻ったのですか?」
「はい、あの後からは別行動をしていました。それと、もう一つ、急ぎで伝えたいことがあります」
「何でしょうか?」
「レオン様と東の国の姫 ――フィオーレ様との婚約が決まりました」
「え、ええ?あの……レオンは東の国の人質ではないのですか?」

 リゼットが動揺するが、ルーは話を続ける。
 ヴォルターとジェラルドは、どうしものかと顔を見合わせる。もう隠せないので、とりあえず話を聞くことにした。

 ルーは明日か明後日には、東の国から船が到着すると言った。
 その船にはレオンとフィオーネが乗っている。フォルトデリア国王に婚約の了承を得て、結婚式の日取りを決めるのだと言った。

「……随分、急ですね。ルーはどうしてその情報を得られたのですか?」
「ええ、レオナード様から連絡があったのです」
「レオンと連絡を取ることができるのですか?」

 ルーは首を振った。
 レオンからしか発信できない。しかも、その方法は2人だけの機密だと言った。

「ルー……」
「私のことはルーだけで構いません、ヴォルター様」
「ああ、ありがとう。ルーはどうしてレオナード様を助けてほしいと、リゼットに願うのだ。国王や他の者に、頼れるものはいないのか?」
 
 ルーはまた首を振った。

「リゼット様じゃないと駄目なのです。レオナード様を止められるのは、リゼット様しかいません」
「レオンは、この婚約を願っていないということでしょうか?」
「本心はそうだと思っています。ただ、直接会ってみないとわからないのです」

 リゼットはヴォルターとジェラルドを見る。
 2人とも、リゼットの言わんとしたことを汲み取った。

「私たちも、もちろん同行します」
「リゼット様、港は僕の庭みたいなものです。ご安心ください」
「ありがとうございます。一刻も早く旅立ちしょう」

 リゼットはマノンを呼び、港に行く用意をお願いする。
 ミヨゾティースから港のあるローザルゴサまで、馬車で急いでも半日はかかる。王都を通り過ぎて、反対方向になるのだ。
 日暮れまでに港町に着き、明日朝一番の船には間に合いたい。

「しかし、リゼット様は屋敷以外に泊まることは初めてではないでしょうか?」
「ええ、そうですけど……」
「もし良ければ、僕の港の屋敷を使いますか?港町の宿は、貴族向けもありますが、少々不安があります」
「ジェラルド様、ありがとうございます」
「では屋敷のものに部屋の用意など連絡しますね、着いたらすぐにでも休めます」

 ジェラルドは部屋の外に行き、魔法の鳥を飛ばす用意を始めた。
 その間に、マノンと使用人が荷物を詰め込み終わる。着替えなどあったのだが、手早く終わらせたようだった。

 リゼットが着替えている間に、ヴォルターとジェラルドも交互に用意をする。
 他の騎士団の兵士も、数人を選び同行させる。残ったものはミヨゾティースの屋敷の警護を指示する。
 ウルリッヒが不在となったが、リゼットを狙っている者がいなくなった訳でない。警戒は続けたかった。

 アルフォンは辺境伯の城に向かっているため、そちらにも連絡を取る。
 こうして慌ただしく準備を終えて、出発をした。

 馬車にはリゼットとマノン、ヴォルターが乗り込む。ルーとジェラルド、他の兵士はそれぞれ馬に乗って周囲を囲んだ。

 ローザルゴサまでの道のりは長く、途中何度か休憩をした。
 半日ほどで、港が見え、ジェラルドの屋敷に到着する。馬車から降りると、湖では感じなかった潮の匂いがした。海の匂いだ。

 石造りの屋敷は、ローザルゴサが一望できる高台にあった。
 ジェラルドが案内する部屋は、見たことがない調度品が多かった。

「リゼット様、気に入っていただけましたか?」
「ええ、こんな素敵な部屋を使ってもいいのですか?」
「もちろんです、最上級の客間です。リゼット様に使っていただけるなんて、僕は誇りに思います」
「最上級……」

 リゼットが戸惑うと、ヴォルターはジェラルドの脇腹を小突いた。痛いと言うのを無視して、話を続ける。

「リゼットが、伯爵の娘だからですよ。まだ慣れないかもしれませんが、ジェラルドの父も伯爵です」
「それだけじゃないんだけど……」
「ジェラルド様、お気遣いありがとうございます」

 リゼットがにっこり笑ってお礼を言う。ジェラルドが何か言おうとしたが、ヴォルターが制した。
 
「リゼット、明日朝の船から待つなら今日は早めに寝たほうが良いです」
「わかりました」

 ヴォルターは部屋の警護を兵士に頼み、ジェラルドと退室する。
 ルーも警護をしたいと言われるが、明日に備えてもらうことにした。
 そうして、2人で話し合った結果、リゼットとヴォルターが一緒に食事を取ることになった。その間はジェラルドが仮眠をとる。
 ヴォルターは明け方のジェラルドと交代して、仮眠をとる予定だ。

「ヴォルターと食事を一緒に過ごすことは、初めてですね」
「ええ、ジェラルドが警護についてから、時間に余裕ができました」

 食後のお茶を飲みながら、ゆっくりと会話をする。

「リゼットに謝らなければなりません」
「はい……?」

 ティーカップを置き、ヴォルターが視線を合わせる。

「レオナード様とフィオーレ様の婚約のことです」
「……。ヴォルターも知っていたのですか?」
「はい。申し訳ありません」
「いつからですか?」
「……ジェラルドが来た時に ――」
「わたくしだけ知らなかったのですね」

 リゼットはヴォルターの言葉に重ねて、理由を問う。
 ヴォルターは、リゼットが涙を見せるかと思った。しかし、その目はヴォルターを捉えて、答えを待っていた。

「リゼットが傷つくと判断し、伝えませんでした。レオナード様のこととなると、動揺されていますので、この事もしばらくは黙っているつもりでした」
「そうでしたか……ですが、今後は嘘はつかないで欲しいのです。わたくしは、貴方を信頼しています。どうか、ヴォルターもわたくしのことを信頼してください」
「……わかりました」

 リゼットが両手、ヴォルターの手に重ねた。ふいにリゼットの指輪に触れ、その痺れが弱まっていることに気がつく。
 ヴォルター自身が痺れに慣れたのか、それとも ――。

「リゼット、もし、レオナード様が他の人と結婚をすることになったら、どうしますか?」
「フィオーレ様とだったら、歓迎しなくてはいけませんね」

 リゼットが笑う、けれどもその顔は憂いも込められていた。
 フォルトデリアが、レオナードが望むのなら、リゼットには関与できないと思った。

「では、どうして泣くのですか?」
「泣いてなどいません……っ!」

 否定するリゼットの目には、溢れるものがあった。ヴォルターはリゼットのそばに寄り、それを指で掬った。

「では、これは、塩水か何かだと?」

 それをぺろりと舐める。

「ヴォ、ルター……え、え?」
「……どうしたのですか」
「え、あの、なんだかいつものヴォルターと違うような」
「ああ、そうです。私は少しばかり怒っているのです」

 リゼットが「どうして」と言いかけるが、ヴォルターが抱き寄せた。
 その腕の中に、リゼットが包み込まれる。

「どうしてリゼットを泣かせることばかりするのか、レオナード様にも怒っているのです」
「も……?」
「ええ。私自身にも怒っています」
「わたくしにも?」
「ええ、でもリゼットには ――」

 ヴォルターの顔が近づく。腕のなかで、それを止められない。
 リゼットの額の髪を撫で寄せ、軽く唇が触れた。すぐに離れるが、吐息がかかってくすぐったい。 

 ヴォルターは淋しそうに目を逸らし、腕を離した。
 リゼットは口付けられたところから、全身が熱くなるのを感じた。

「リゼットの幸せを、私は願っています」
「はい……」
「では、もう部屋へ戻りましょうか」

 ヴォルターが扉を開けると、ジェラルドが立っていた。

「ヴォルター、交代するぞ」
「あ、ああ。早いな」
「顔が赤いけど、部屋の中は暑いか?」
「は!?」

 ジェラルドはリゼットの顔も見て、2人に何かあったのだと勘付いた。
 ジェラルドの首に手を回して、引きずるように引っ張り出す。

「リ、リゼットも部屋へ。ここは空気が良くないようです。戻りましょう」
「……はい」

 その後はジェラルドが先に部屋の警護についた。
 リゼットは先に聞いていた話と違っていたけれど、一度ヴォルターと離れて、胸の動悸と高揚を収めたかったので助かった。

「で、何があったのですか?」

 扉越しに、ジェラルドが話しかけてくる。ヴォルターに言い含められたことを無視するらしい。
 リゼットは、ぼんやり先程のことを思い返していたので、ドキッとした。

「あの、ええと……」

 何を話すか、話さないか、そもそもあの瞬間のことなのか、リゼットの思考がぐるぐる回る。
 ジェラルドは、大きくため息をついた。

「ヴォルターもリゼット様も、もどかしすぎ。もっと素直に恋愛したらいいのに」
「恋愛ですか?」

 この感情が恋愛だと言うのかと、リゼットは驚いた。
 レオンにも、キスされるとドキドキする。でもそれは羞恥のドキドキかと思っていた。

「リゼット様は、誰にキスされてもドキドキするんですか?僕でも?」
「……いいえ」

 そんなこと、レオンにも言われたとふいに思い出す。でも、あの時もレオン以外は考えたことなかった。
 じゃあ、ヴォルターへのドキドキはどういうことだろうか。
 ジェラルドがまた質問をする。

「誰でも良いのではないのですね。ヴォルターとはどうですか?」
「どうって……」
「恋愛ですよ。キスされても嫌じゃなかったのでしょう」
「見ていたのですか!?」

 リゼットが焦ると、ジェラルドがけらけら笑った。
 どうして笑われるのか、リゼットにはわからなかった。けれど、ヴォルターが前に言っていたことを思い出す。

「わたくしはからかわれていますか?」
「リゼット様は素直だなぁ。からかっていませんよ、カマをかけたのです。キスはしたのですね、ああ良かった」
「え、カマ?良かったとは何が……」
「リゼット様が、ヴォルターに好意を示している兆候ですよ」
「わたくしが……ヴォルターを……」

 リゼットは両手で顔を隠した。部屋のなかで独りなのだけど、意味を理解した。

「僕は、ヴォルターの味方なんですよ。ヴォルターの背中を押したい、蹴り上げてでもあいつの願いを叶えたい。リゼット様に、あいつの好意に気がついて欲しかった。婚約者候補になったのだから、それを活用して欲しいとも思った」
「……そう、ですか」
「ええ。リゼット様も、ヴォルターのこと好きに ――ぐっ」

 ジェラルドが話終わる前に、ドサっと倒れる音がした。
 そして、扉をノックする音が続く。
 リゼットは息を飲んだ。

「リゼット様、ルーです。ご安心ください」
「ルー?どうして」
「この者の話し声が、通路に響いて煩いのです」
「そんなに大声ではなかったでしょう」
「私は耳が良いので、遠くても聞こえます」
「そうですか、あの、ジェラルド様は無事ですか?」

 ああ、とルーが呟いて足元を見下ろす。
 ジェラルドは床に転がっていたが、そのうち気がつくと思った。リゼットにそう伝えると、安堵する声がする。

「とりあえず、私がここにいますから、リゼット様は早くお休みください。随分と夜更になりましたよ」
「わかりました」

 リゼットは冷えた肩を抱いて、ベッドに入る。
 少し考え事をしたが、深く眠りについた。

 ◇◇◇

 翌日、顔にあざをつけたジェラルドに謝罪される。
 あの後、ヴォルターにも大変叱られたと伝えた。

「まさか、聞こえていたのですか?」

 ヴォルターの寝室は通路の奥だ。聞こえなかったと、首を振って否定した。

「ほとんど話は聞こえていませんが、2度ほどジェラルドの笑う声がしたので、何かあったのだろうと思いました。それに、交代の時にはルーがジェラルドの代わりに警護をしていたので、ジェラルドを叱ったのです」
「そうですか……」

 少し困惑した顔のリゼットに、ヴォルターも謝る。

「ヴォルターが謝る必要はないでしょう?」
「いいえ、警護の任務中に気を緩めさせたのは、私にも原因があります。ジェラルドだけを責めないでください」
「責めていませんし、ヴォルターも悪いと思いません」

 ヴォルターが「ありがとうございます」と笑う。それなりに友人の心配はしていたようだった。

 早めの食事をとり、港へ向かう。
 朝一番の船は、まもなく港に到着する。馬車で港町の入り口まで降り、後は徒歩で船着場まで向かう。
 ルーは先に港に着いて、様子を伺っていた。

「リゼット様、朝一番の船にどうやら乗っているようです」

 ルーが到着したリゼットに声をかける。
 リゼットは普段用のブルーのドレスを着て、ハーフアップで編みこんだ髪にレオンからの髪飾りをつけていた。
 髪飾りが目立ちそうだったが、周りに着飾った貴婦人が多く、大丈夫そうだと思った。その人たちも、東の国からの帰国者や、客人を出迎えているようだった。

「あの船ですかね」

 ジェラルドが指差すほうに、大型の客船があった。ゆっくりと船着場に近づいている。
 ロープが船から投下されて、作業着を着た男たちがロープを引き、船を着岸させようとしている。
 数十分かかり、合図があると、船から橋が降りる。船内の人々が、船から次々と降りる。

 レオンの姿が見え、リゼットが思わず身を乗り出そうとする。
 しかし、その名を呼ぶことはできなかった。
 レオンは隣の女性に視線を向けていた。その腕は、女性にしがみつかせて、もうひとつの手はその細腰を支えていた。

「あれがフィオーレ様か」

 ヴォルターが呟いた。ヴォルターがリゼットの肩を抱く。
 リゼットがレオンに視線を向けていることも、その心中も悟る。

 レオンはフィオーレをエスコートし、迎えの馬車に乗り込んだ。そして、リゼットに気がつかないまま、馬車は出発した。

 他に乗船していた人々が、迎えの人たちと再会の会話を楽しむ声が聞こえる。
 そのなかには、あの2人の船内の様子を教える者もいた。

「フォルトデリアのレオナード様と、東の国のフィオーレ様が婚約だってさ」
「船内でも2人はずっと一緒だったよな、俺もあんな良い男になりたいよ」

 がはがは笑う男性に、女性も羨ましがる。

「私だって、レオナード様みたいな男性に甘く口説かれたいわよ。だって部屋も同室だって話じゃない」
「ええ、それってもう?」
「どうなんだろうね、でももう結婚目前なんでしょう。今回も国王に結婚の日取りの相談だって噂じゃないか」

 ああだ、こうだと話す人々に、リゼットはめまいがした。
 ヴォルターが背を押し、移動を促す。

「そう言えば、レオナード様の婚約者って前にもいたよな。フィオーレ様に比べたら ――」

 リゼットは最後まで聞かずに、その場から走り出した。
 ヴォルターがすぐに追い、腕を掴んで止まる。

「リゼット、あれは噂です、真に受けては ――」
「わかっています、ただの噂です!真実とは限らない。でも、レオンの姿は本物でしょう?」

 あの姿だけは真実だと思った。
 レオンが、他の女性に微笑みかける姿に、嘘を感じなかった。

「王都の屋敷に戻りましょう。私にもうできることがあるか、わからないけど……」
「わかりました」

 ヴォルターは、ジェラルドに魔法の鳥を飛ばして、先に王都へ向かうことと、マノンも連れてきてほしいと伝える。
 リゼットの腕を離したら、たった1人ででも向かいそうだと思った。
 留めていた馬車に乗り、王都へ向かうよう告げる。
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