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短編集
短編集01.
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まだリゼットが竜の力の継承者になる前の話。
レオンの朝は早い。
起きてすぐに魔法の鳥から報告などを聞いて返事をする。
着替えて朝食を食べ、騎士団の格好をして城へ向かう。
朝の鍛錬を爽やかに行い、他の兵士たちの相手をしながら、リゼットのことを考える。
幼い頃に婚約したリゼット。そのきっかけをリゼットは忘れてしまったけれど、毎日のように会いに行ってリゼットの笑顔も声も独り占めできる幸せ。
何度、愛の言葉をささやいても、口付けても、顔を赤くして素直に受けいれるリゼットが可愛くて仕方がない。
「……っ!」
不意に剣がレオンの隙をついた。
見やると、黒髪の男が対峙していた。
「レオナード様、片手間に試合をなさらないでください」
その両眼は真摯にこちらを向く。
あと一息で、レオンと互角に戦える強さを持つ彼は、ヴォルターと名乗った。
ミヨソディース出身で、代々王族警護を務めている。彼の親族が王の警護をする姿は何度も見た。
ミヨソディース出身者特有の両眼の色が違う、惹き込まれる瞳をしている。だが、その眼差しは「真面目に相手をしてほしい」と訴えていた。
「ヴォルター、悪かった。では、俺も本気を出す」
「よろしくお願いします」
事実、ヴォルターは他の兵士と比較する間もなく強かった。
剣の扱い、流れるような動き、瞬発力、どれも秀でていた。
しかしーー。
「俺の勝ちだ」
ヴォルターの剣を弾いて、その首に刃先を向けたのはレオンだ。
ヴォルターは悔しがることもなく、また相手をさせてほしいと礼と共に言った。
レオンは「いいだろう」と応えて、握手をする。
何度打ち合っても、彼だけはレオンに挑戦し続ける。
別に他の兵士が弱いわけではない。騎士団の誰もが、国を守るために鍛錬をしている。
通常のモンスター退治などは問題なく解決できる。
しかし、レオンの眼差しはその先を見ていた。
幼い頃に竜になったリゼット。その力の正体を知り、いつか訪れるかもしれない日のために、誰よりも強くなろうと決めた。
しかしひとりではリゼットを守りきれないことも気づいていた。
(……ヴォルターなら)
ヴォルターは騎士団の仕事にも、自身に対しても真面目だ。女の気配もなく、逆もない。友人のジェラルドは、「平等に愛を」と女性なら誰でも口説くけれど、ヴォルターはまったくその気配もなかった。
王族警護の仕事も評価が高い。
(ヴォルターなら、リゼットを任せても良いかもしれない)
もしもの時、レオン自身に何かあった時に、ヴォルターならリゼットを任せたい。
「レオナード様、鍛錬の時間は終わりましたよ」
ヴォルターが時間を告げる。
兵士たちは、レオンの言葉を待っていた。
「ああ、これで朝の鍛錬は終わりだ。それぞれ持ち場に行くように」
「ははっ!」
レオンもタオルで汗を拭い、着替える。昼までにリゼットのところへ行けるだろうか?
机の書類を処理しつつ、時間を見る。
一秒でも早く会いたい。
レオンの朝は早い。
起きてすぐに魔法の鳥から報告などを聞いて返事をする。
着替えて朝食を食べ、騎士団の格好をして城へ向かう。
朝の鍛錬を爽やかに行い、他の兵士たちの相手をしながら、リゼットのことを考える。
幼い頃に婚約したリゼット。そのきっかけをリゼットは忘れてしまったけれど、毎日のように会いに行ってリゼットの笑顔も声も独り占めできる幸せ。
何度、愛の言葉をささやいても、口付けても、顔を赤くして素直に受けいれるリゼットが可愛くて仕方がない。
「……っ!」
不意に剣がレオンの隙をついた。
見やると、黒髪の男が対峙していた。
「レオナード様、片手間に試合をなさらないでください」
その両眼は真摯にこちらを向く。
あと一息で、レオンと互角に戦える強さを持つ彼は、ヴォルターと名乗った。
ミヨソディース出身で、代々王族警護を務めている。彼の親族が王の警護をする姿は何度も見た。
ミヨソディース出身者特有の両眼の色が違う、惹き込まれる瞳をしている。だが、その眼差しは「真面目に相手をしてほしい」と訴えていた。
「ヴォルター、悪かった。では、俺も本気を出す」
「よろしくお願いします」
事実、ヴォルターは他の兵士と比較する間もなく強かった。
剣の扱い、流れるような動き、瞬発力、どれも秀でていた。
しかしーー。
「俺の勝ちだ」
ヴォルターの剣を弾いて、その首に刃先を向けたのはレオンだ。
ヴォルターは悔しがることもなく、また相手をさせてほしいと礼と共に言った。
レオンは「いいだろう」と応えて、握手をする。
何度打ち合っても、彼だけはレオンに挑戦し続ける。
別に他の兵士が弱いわけではない。騎士団の誰もが、国を守るために鍛錬をしている。
通常のモンスター退治などは問題なく解決できる。
しかし、レオンの眼差しはその先を見ていた。
幼い頃に竜になったリゼット。その力の正体を知り、いつか訪れるかもしれない日のために、誰よりも強くなろうと決めた。
しかしひとりではリゼットを守りきれないことも気づいていた。
(……ヴォルターなら)
ヴォルターは騎士団の仕事にも、自身に対しても真面目だ。女の気配もなく、逆もない。友人のジェラルドは、「平等に愛を」と女性なら誰でも口説くけれど、ヴォルターはまったくその気配もなかった。
王族警護の仕事も評価が高い。
(ヴォルターなら、リゼットを任せても良いかもしれない)
もしもの時、レオン自身に何かあった時に、ヴォルターならリゼットを任せたい。
「レオナード様、鍛錬の時間は終わりましたよ」
ヴォルターが時間を告げる。
兵士たちは、レオンの言葉を待っていた。
「ああ、これで朝の鍛錬は終わりだ。それぞれ持ち場に行くように」
「ははっ!」
レオンもタオルで汗を拭い、着替える。昼までにリゼットのところへ行けるだろうか?
机の書類を処理しつつ、時間を見る。
一秒でも早く会いたい。
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