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第8話 金髪碧眼の王子様の、表と裏②
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まあ、確かに。
絵本に出てくる白馬の王子様も、常に優美な微笑みを湛え、あの品行方正で美しくいるのは、さすがに大変だし疲れるよね。
ここは、私達の世界の人間の空想から出来た世界。
金髪でいかにも白馬が似合う目の前の王子様も、イメージを他人から押し付けられて、苦労しているのかも知れない。
でも、推しと同じ顔の彼に、冷たくされたら結構傷つく……すん。
そんな私の気持ちとは、お構いなしに3人のイケメンさん達の間で会話が進んでいく。
「そもそも、なんで間違いなんか起こったんだ!?」
「それは」
「聖女は現れなかったのか!?」
「いや」
「じゃあ、なんのためにお前が行ったんだよ」
「悪い」
「悪いじゃないだろう、お前っ!これは……」
「まあまあ、アレクも落ち着いて。レイの言い分も聞こうじゃないか」
「失敗した、それだけだ」
「お前っ、ふざけんな!」
勢いのまま、アレクシス様がファスくんの胸ぐらを掴む。
「あ、あのっ!……」
一方的に責められても、レイファスくんが理由を言わないから、私は堪らず声をあげた。
3人の視線が一気に私に集中する。
「あ……」
急に注目されたら緊張して、思わず俯いてしまった。
「あ、あの……。彼は、悪くないんです。私が、私のお節介で、聖女様がこちらへ来るのを邪魔してしまいました……私が聖女様の代わりに穴に落ちてしまって、すみません。私のせいで、私が、勝手に来ちゃったんです……ごめんなさい……」
震える声で、私は事実を言った。 謝ってすむことじゃないと思うけど、私はもう一度、深々と頭を下げた。
「………………」
沈黙が重たい。
そんな空気を変えてくれたのは、紫アタマで背がスラリと高い、美人なイケメンさんだった。
「さあ、二人とも。レディが困ってますよ。レディ、ミツキと呼ばせていただいても?」
私が顔を上げて彼の顔をみると、彼はにっこりと優しく笑みを浮かべていた。
「……はい」
アレクシス様が大きく息を吐いて言った。
「はあぁ~、おいっ、ミツキ。痛っ!」
ペシッと、紫アタマのイケメンさんが通りすがりにアレクシス様の頭を叩いていく。
「おまっ……」
「アレクは黙ってようかな」
紫アタマのイケメンさんは、にっこり笑みを浮かべながらも、アレクシス様を横目に黙らせる。
彼は、ルーセル・オライオン・ベシエール。まだ20代半ばに見えるけど、この国の宰相らしい。
現在、前国王様は病の闘病のため退位されたばかりで、第一王子であるアレクシス様はまだ完全に王位を継承していないし、国民にも知らされてないけど、いずれこの国の王となるアレクシス様を傍で支えているのが、この二人。
宰相のルーセルさんと側近で近衛騎士団長でもあるレイファスくん。
なぜ、いま、聖女様の力が必要なのかは、なんか濁されてしまったけど、何か大きな秘密があるみたい。
「まあ大丈夫ですよ、二週間後くらいにまた元の世界へ帰る方法はあります」
「あ、ほんとですか?よかった」
「はい。それまでは、ミツキは私達のお客様ということで」
「すみません」
「とりあえず、それまで滞在していただくのは、レイの屋敷でいいですか?」
「は?」
レイファスくんも初めて聞いたようで、めちゃくちゃ動揺している。
「な、ちょっと待て。それは無理だ」
「え?どうしてです?ランドルフ家の屋敷なら、部屋など有り余っているでしょう。姫君が一人や二人、増えたところで……」
「いや、そういう問題では」
これ以上、レイファスくんを困らせたくないし、私は慌てて手を振って辞退を願い出る。
「あ、あの!私なら、大丈夫です。2週間、どこか町の宿にでも泊めていただけたら、大丈夫ですので」
また驚いた顔をした三人に、注目されてしまった。
確かにそろそろ疲れたし、お腹も空いてることに気がついた。そう言えば朝ごはん食べて古書店に行ったきり、結局お昼ごはん食べ損ねてたんだっけ。
もう外はすっかり夜になっている。
「そうですか。城も今はお客様を泊められない状況ですし。それでは……、仕方ありませんね。ミツキは私の屋敷にお越しください」
「はあ!?」
なぜかレイファスくんとアレクシス様が、同時に声をあげた。
ルーセルさんは、にこにこと上機嫌で笑みを浮かべている。
彼の長い紫の髪は絹糸のようにサラサラで、少し気だるげな垂れ目にその瞳はアメジストのようにキラキラとして綺麗だ。ほんと美人。
「私の屋敷には、私のお客様の姫君として、大切にお迎えさせていただきますよ」
「ルーセルさんの?」
「いえ、ミツキ。ルーセルと呼んでください」
「え、あ、わかりました。ルーセルのお屋敷に?」
「はい」
そう言って、彼は胸に右手を当てて、にっこりと微笑んだ。
「では、二人とも。私はこれからミツキとディナーがあるので、帰らせてもらいますよ」
ルーセルが私の傍に歩み寄ろうとすると、私と彼の間にレイファスくんがさっと体を割り込ませてきた。
嫌でも、レイファスくんの逞しい背中が、視界いっぱいに広がった。
「ま、待て!ミツキは俺の屋敷で預かる」
「は?何です、レイ。さっきから待てが多いですね」
犬じゃないんだから…とルーセルがブツブツ言う。
「コイツは俺が面倒をみる」
「レイ。年上のお姉さんに向かって、コイツはダメですよ。いいですか、彼女はこの国にとって大切なお客様なんですからね、丁重に!ですよ」
「ああ、わかってる。では、今日はこれで帰らせてもらう」
そう言うとレイファスくんはくるっと私の方を振り返り、私の手首を掴むと
「行くぞ」
と、ドアのほうへと向かう。
「あ、えっと、失礼します!」
私は引っ張られながら、顔だけ二人のほうへ向けた。
ルーセルさんは相変わらずニコニコと笑って私に手を振り、アレクシス様は何も言わず複雑そうな顔をしたまま、こちらを見ていた。
慌ただしく二人が出ていった扉が閉まると、アレクシスが腕組をしてルーセルのほうへ顔を向けた。
「ルーセル、お前、わざと仕向けただろ」
「さあ、何のことだか」
ルーセルは悪びれるふうでもなく、しらじらしく肩を竦める
「しらばっくれるな。ああ言えば、レイが動くことくらい分かっていただろ」
「ふふん、俺はほんとに彼女を客人としてお迎えしようと思ったけど?」
「何、考えてる?あいつは何者だ?」
「まだ今のところはわからないよ。様子見ってとこかな」
ルーセルはニヤリと片方の口角をあげて、二人が出ていったドアを見つめた。
アレクシスは短くため息をつくと、再び執務机に戻るべく踵を返し言った。
「さあ、聖女を頼れないとなった今、予定変更だ。練り直さなければ」
絵本に出てくる白馬の王子様も、常に優美な微笑みを湛え、あの品行方正で美しくいるのは、さすがに大変だし疲れるよね。
ここは、私達の世界の人間の空想から出来た世界。
金髪でいかにも白馬が似合う目の前の王子様も、イメージを他人から押し付けられて、苦労しているのかも知れない。
でも、推しと同じ顔の彼に、冷たくされたら結構傷つく……すん。
そんな私の気持ちとは、お構いなしに3人のイケメンさん達の間で会話が進んでいく。
「そもそも、なんで間違いなんか起こったんだ!?」
「それは」
「聖女は現れなかったのか!?」
「いや」
「じゃあ、なんのためにお前が行ったんだよ」
「悪い」
「悪いじゃないだろう、お前っ!これは……」
「まあまあ、アレクも落ち着いて。レイの言い分も聞こうじゃないか」
「失敗した、それだけだ」
「お前っ、ふざけんな!」
勢いのまま、アレクシス様がファスくんの胸ぐらを掴む。
「あ、あのっ!……」
一方的に責められても、レイファスくんが理由を言わないから、私は堪らず声をあげた。
3人の視線が一気に私に集中する。
「あ……」
急に注目されたら緊張して、思わず俯いてしまった。
「あ、あの……。彼は、悪くないんです。私が、私のお節介で、聖女様がこちらへ来るのを邪魔してしまいました……私が聖女様の代わりに穴に落ちてしまって、すみません。私のせいで、私が、勝手に来ちゃったんです……ごめんなさい……」
震える声で、私は事実を言った。 謝ってすむことじゃないと思うけど、私はもう一度、深々と頭を下げた。
「………………」
沈黙が重たい。
そんな空気を変えてくれたのは、紫アタマで背がスラリと高い、美人なイケメンさんだった。
「さあ、二人とも。レディが困ってますよ。レディ、ミツキと呼ばせていただいても?」
私が顔を上げて彼の顔をみると、彼はにっこりと優しく笑みを浮かべていた。
「……はい」
アレクシス様が大きく息を吐いて言った。
「はあぁ~、おいっ、ミツキ。痛っ!」
ペシッと、紫アタマのイケメンさんが通りすがりにアレクシス様の頭を叩いていく。
「おまっ……」
「アレクは黙ってようかな」
紫アタマのイケメンさんは、にっこり笑みを浮かべながらも、アレクシス様を横目に黙らせる。
彼は、ルーセル・オライオン・ベシエール。まだ20代半ばに見えるけど、この国の宰相らしい。
現在、前国王様は病の闘病のため退位されたばかりで、第一王子であるアレクシス様はまだ完全に王位を継承していないし、国民にも知らされてないけど、いずれこの国の王となるアレクシス様を傍で支えているのが、この二人。
宰相のルーセルさんと側近で近衛騎士団長でもあるレイファスくん。
なぜ、いま、聖女様の力が必要なのかは、なんか濁されてしまったけど、何か大きな秘密があるみたい。
「まあ大丈夫ですよ、二週間後くらいにまた元の世界へ帰る方法はあります」
「あ、ほんとですか?よかった」
「はい。それまでは、ミツキは私達のお客様ということで」
「すみません」
「とりあえず、それまで滞在していただくのは、レイの屋敷でいいですか?」
「は?」
レイファスくんも初めて聞いたようで、めちゃくちゃ動揺している。
「な、ちょっと待て。それは無理だ」
「え?どうしてです?ランドルフ家の屋敷なら、部屋など有り余っているでしょう。姫君が一人や二人、増えたところで……」
「いや、そういう問題では」
これ以上、レイファスくんを困らせたくないし、私は慌てて手を振って辞退を願い出る。
「あ、あの!私なら、大丈夫です。2週間、どこか町の宿にでも泊めていただけたら、大丈夫ですので」
また驚いた顔をした三人に、注目されてしまった。
確かにそろそろ疲れたし、お腹も空いてることに気がついた。そう言えば朝ごはん食べて古書店に行ったきり、結局お昼ごはん食べ損ねてたんだっけ。
もう外はすっかり夜になっている。
「そうですか。城も今はお客様を泊められない状況ですし。それでは……、仕方ありませんね。ミツキは私の屋敷にお越しください」
「はあ!?」
なぜかレイファスくんとアレクシス様が、同時に声をあげた。
ルーセルさんは、にこにこと上機嫌で笑みを浮かべている。
彼の長い紫の髪は絹糸のようにサラサラで、少し気だるげな垂れ目にその瞳はアメジストのようにキラキラとして綺麗だ。ほんと美人。
「私の屋敷には、私のお客様の姫君として、大切にお迎えさせていただきますよ」
「ルーセルさんの?」
「いえ、ミツキ。ルーセルと呼んでください」
「え、あ、わかりました。ルーセルのお屋敷に?」
「はい」
そう言って、彼は胸に右手を当てて、にっこりと微笑んだ。
「では、二人とも。私はこれからミツキとディナーがあるので、帰らせてもらいますよ」
ルーセルが私の傍に歩み寄ろうとすると、私と彼の間にレイファスくんがさっと体を割り込ませてきた。
嫌でも、レイファスくんの逞しい背中が、視界いっぱいに広がった。
「ま、待て!ミツキは俺の屋敷で預かる」
「は?何です、レイ。さっきから待てが多いですね」
犬じゃないんだから…とルーセルがブツブツ言う。
「コイツは俺が面倒をみる」
「レイ。年上のお姉さんに向かって、コイツはダメですよ。いいですか、彼女はこの国にとって大切なお客様なんですからね、丁重に!ですよ」
「ああ、わかってる。では、今日はこれで帰らせてもらう」
そう言うとレイファスくんはくるっと私の方を振り返り、私の手首を掴むと
「行くぞ」
と、ドアのほうへと向かう。
「あ、えっと、失礼します!」
私は引っ張られながら、顔だけ二人のほうへ向けた。
ルーセルさんは相変わらずニコニコと笑って私に手を振り、アレクシス様は何も言わず複雑そうな顔をしたまま、こちらを見ていた。
慌ただしく二人が出ていった扉が閉まると、アレクシスが腕組をしてルーセルのほうへ顔を向けた。
「ルーセル、お前、わざと仕向けただろ」
「さあ、何のことだか」
ルーセルは悪びれるふうでもなく、しらじらしく肩を竦める
「しらばっくれるな。ああ言えば、レイが動くことくらい分かっていただろ」
「ふふん、俺はほんとに彼女を客人としてお迎えしようと思ったけど?」
「何、考えてる?あいつは何者だ?」
「まだ今のところはわからないよ。様子見ってとこかな」
ルーセルはニヤリと片方の口角をあげて、二人が出ていったドアを見つめた。
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