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撫でられて
坂本春介
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一体何だったのだ。
身体を撫でられてから私は少し気味が悪くなって、挨拶もそこそこにスーツや靴の事も気にせずそそくさとその店を後にした。
数日は頭の中を駆け巡っていたこの事柄も、忙しい毎日を送るにつれてどんどんと頭の隅へと追いやられて行かざるを得なかったと言えよう。
しかし、それからの私は会社での成績上位に加え私には勿体ない程の彼女が出来、臨時収入で借金返済など正に順風満帆な人生を送る事となる。
周りの人からはよく丸くなったねと言われる様になり、初めは少し違和感を抱いていたその言葉も段々と言われ慣れていった。
そして数年が経ち、私はまた仕事であの街へ降り立つこととなる。
偶然にもまた急に雨に降られてしまい、妻が誕生日プレゼントに、とオーダーしてくれたスーツを汚さないためにも近場の古本屋へと駆け込んだ。
ふむ…何か見覚えのあるような本屋だな。
以前にも来たことがあっただろうか?
ハンカチでスーツの雨を拭きながら店内を見渡してみると店主と目が合い、ああアンタか、いらっしゃいと声をかけられ会釈を交わす。
どうやら私に見覚えがあると言うことは以前にも…と、そこまで考えて私は一連の流れを思い出した。
「随分まぁるくなったね」
は…。
この人は何を言っているのだろう。私と会うのは二度目のくせに何がわかると言うのだ。
「あの、どういう意味でしょうか。確かに結婚して少し太りましたが、そこまで肥えたという事も無いでしょう」
「いや、違う。…今のアンタになら見せてもいいな。ちょっとこっちへ来てくれ」
ちょいちょいと手招きされて私は店主の方に近寄る。
そこで私はとんでもない事実を受け入れさせられるのだった。
身体を撫でられてから私は少し気味が悪くなって、挨拶もそこそこにスーツや靴の事も気にせずそそくさとその店を後にした。
数日は頭の中を駆け巡っていたこの事柄も、忙しい毎日を送るにつれてどんどんと頭の隅へと追いやられて行かざるを得なかったと言えよう。
しかし、それからの私は会社での成績上位に加え私には勿体ない程の彼女が出来、臨時収入で借金返済など正に順風満帆な人生を送る事となる。
周りの人からはよく丸くなったねと言われる様になり、初めは少し違和感を抱いていたその言葉も段々と言われ慣れていった。
そして数年が経ち、私はまた仕事であの街へ降り立つこととなる。
偶然にもまた急に雨に降られてしまい、妻が誕生日プレゼントに、とオーダーしてくれたスーツを汚さないためにも近場の古本屋へと駆け込んだ。
ふむ…何か見覚えのあるような本屋だな。
以前にも来たことがあっただろうか?
ハンカチでスーツの雨を拭きながら店内を見渡してみると店主と目が合い、ああアンタか、いらっしゃいと声をかけられ会釈を交わす。
どうやら私に見覚えがあると言うことは以前にも…と、そこまで考えて私は一連の流れを思い出した。
「随分まぁるくなったね」
は…。
この人は何を言っているのだろう。私と会うのは二度目のくせに何がわかると言うのだ。
「あの、どういう意味でしょうか。確かに結婚して少し太りましたが、そこまで肥えたという事も無いでしょう」
「いや、違う。…今のアンタになら見せてもいいな。ちょっとこっちへ来てくれ」
ちょいちょいと手招きされて私は店主の方に近寄る。
そこで私はとんでもない事実を受け入れさせられるのだった。
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