2度目の人生は、公爵令嬢でした

第一章

７話 再婚相手が…え、あれこない？そうですか

さあ、今日はお父さまの再婚相手とその娘さんがいらっしゃる日。お昼頃に到着すると聞いていたので、朝はゆっくり準備を進めることにしました。

コンコン。
「失礼いたします。お目覚めですか、クリスティア様。」

「うん、起きてるわよ。だって今日はお父さまの再婚相手の方とお会いするのですもの。楽しみだわ。」
顔を洗いながら、ちょっとだけ背筋を伸ばしてみる。今日は、いつもより少しだけ大人っぽく振る舞ってみたい気がする。

「そうですか。それはようございました。」
マリアは優しく微笑みながら、私の髪を丁寧に整えてくれる。

「ありがとう、マリア。」

支度を終え、食堂に向かうと、お父さまとお兄さまがもう席に着いていました。

「おはようございます、お父さま、お兄さま。」
「「おはよう、クリスティ。」」

席に着こうとしたその時、お父さまがぽつりと告げました。
「クリスティ、今日お相手が来れないことになった。だが、エリーゼの両親がいらっしゃることになったよ。」

「そうなのですね…でも、おじいさまとおばあさまがいらっしゃるのね！」
一気に気分が高まります。

「そうだよ。久しぶりだな。」

「今日はいいこと尽くめですね！」

お父さまとお兄さまが笑顔でうなずくのを見て、嬉しさがさらに膨らみました。

食事を終え、少ししてから玄関が騒がしくなりました。どうやらおじいさまとおばあさまが到着したようです。

「ようこそいらっしゃいました、シルバール侯爵夫妻。」

「おいおい、また他人行儀な挨拶をしているな。」
おじいさまは大きな声で笑いながら手を振っています。おばあさまも、優しげな笑みを浮かべながらお父さまを見上げています。

「もっと砕けた言葉で話してもいいと言っているだろう。」

「いえ、ですが……」

「いいではないか。なぁ、ナンシー？」

「ええ、わたしたちは義理とはいえ、あなたの親なのですからね。」

お父さまは困った顔をしながらも、静かに頭を下げました。
「ありがとうございます。それでは……お二人とも、どうぞお入りください。」

祖父母に挨拶をするため、私とお兄さまは並んで立ちました。

「お祖父さま、お祖母さま、お久しぶりです。」
「おじいさま、おばあさま、お久しぶりです！」

「おお、２人とも久しぶりだな。」
おじいさまは目を細めて笑いながら、お兄さまの肩を軽く叩きました。
「リュカ、勉学や剣術に熱心だと聞いているぞ。立派な息子だな！」

「ありがとうございます！もっと頑張ります！」
お兄さまがまっすぐ答えると、おじいさまは満足げに頷きます。

「そうか。それならこれをやろう。」
そう言って取り出されたのは、銀色に輝く美しい剣でした。

「！！」
お兄さまの目が輝きます。

「これは我が家に伝わる剣の一つだ。まだ若いお前には少し早いかもしれんが、努力の証として贈ろう。」

「ありがとうございます！大切にします！」

お兄さまは嬉しそうに剣を抱えています。そんな姿を見ると、私も何だか胸が温かくなりました。

「クリスティ、お前にも何か欲しいものがあるか？」
おじいさまが私に優しく問いかけます。

「はい、おじいさま。本をいただけますか？うちにある本は難しいものが多いので、初歩的な魔道書が欲しいです。」

「ほほう。初歩的な魔道書とな？クリスティ、お前は本当に賢い子だな。」
おじいさまは満面の笑みで頷いてくださいました。

「では、適したものを用意しておこう。お前も頑張るのだぞ。」

「ありがとうございます、おじいさま！」

そのやり取りを見ていたおばあさまが、小声でぽつりとつぶやきます。
「ああ、なんて可愛いのかしら……」

おばあさま、その声、私にも聞こえておりますよ？

午後は家族みんなでお茶を飲みながら、のんびりとした時間を過ごしました。おじいさまとおばあさまの朗らかな笑い声が響く中、気づけば再婚相手が来るという明日への期待で胸が高鳴っていました。

果たして、どんな人たちが新しい家族になるのかしら？
明日が待ちきれない一日でした。