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第一章
9話 お墓参り
しおりを挟むセシルさんとリリアちゃんがこちらに引っ越してくるまで、あと一か月。正式に家族になる日はまだ先だけど、それまでちょくちょく遊びに来るらしい。先日の顔合わせでは何の問題もなく和やかに過ごせたし、私もリリアちゃんと仲良くなれた。これは順調な再婚だと思う。
その日の夜、お父さまが兄と私に問いかけた。
「お前たちから見て、あの人たちはどうだったかい?」
「はい。とても良い方達でしたよ。セシルさんは優しく、リリア嬢も聞き分けのある良い子でした。」
お兄さまは素直にそう答えた。
「クリスティア、お前はどう思う?」
「はい、私も同じように感じておりますわ。リリアちゃんとも仲良くなれそうで安心しました。」
「そうか、それなら良かった。」
お父さまがホッとしたように微笑むのを見て、私も少し安心する。
「今度セシルさんたちが来た時には、エリーゼの墓参りに行くことにした。準備をしておくように。」
「「はい、お父さま(父上)。」」
墓参りの日。
セシルさんとリリアちゃんがやってきて、私たちは一緒に母のお墓へ向かった。道中、リリアちゃんはいつも通り元気いっぱいで、私に話しかけてくる。
「クリスティアおはよう!」
リリアちゃんは嬉しそうに笑いながら手を振る。
「おはようございます、リリア。」
「2人とも仲良くなったのね。」セシルさんが微笑む。
「うん!ママ、クリスティアはね、私と同い年なのに頭が良くて、話してるとすごく楽しいの!」
リリアちゃんがピョンピョン跳ねながらそう言う。
「それは良かったわね。」
「うん!」
「クリスティアちゃん、リリアと仲良くしてくれてありがとうね。」
「いえいえ、こちらこそ仲良くしていただいて感謝しています。」
セシルさんは優しく微笑みながら私を見つめたあと、ふと表情を変えた。
「ふふ、本当に3歳とは思えないほど聡明ね。」
「家で本ばかり読んでいるからですよ。」
「それでも素晴らしいことよ。」
「ありがとうございます。」(恥ずかしいけど褒められるのはやっぱり嬉しい!)
でも、そのときセシルさんが妙に目を細めて、「くっ…可愛いわ…」と小声でつぶやいたのが気になった。
「どうかされましたか?」
「あ、いえ、なんでもないのよ。」
何だか変だな、と思いつつ、お墓に到着。
母のお墓の前に立つと、セシルさんはそっと手を合わせた後、ぽつりぽつりと語り始めた。
「エリーゼ、あなたのおかげで私はまた救われました。でも、良かったのかしら…。ジルバルトさんのこと、本当に大好きだったものね。」
彼女の声が震え始め、目には涙が浮かんでいる。
「私は今でも亡くなった夫が一番よ。でもね、あなたが残していった子供たちを大切にするから…だから…」
そこまで言うと、セシルさんはついに声をあげて泣き始めた。
その姿に私も胸が締め付けられるようで、気づけば目から涙が…。
「うわぁあん、ひっ…うぇっ…。」
私が泣き出すと、それを見たお兄さまやお父さま、さらにはリリアちゃんまでが慌て出す。
「おいクリスティア、大丈夫か?」
「クリスティアちゃん、泣かないで!」
「ううっ、私も泣いちゃうー!」
気づけば全員で抱きついてきて、わけのわからないカオス状態に。
(みんながオロオロする姿が面白くて、いつの間にか涙も引っ込んじゃったけど…これはこれで恥ずかしい!)
こうして、母のお墓参りは涙あり笑いありで幕を閉じた。
その後、セシルさんたちが引っ越してきてから、リリアちゃんに少し変化が現れたのだが…
でも、今はとりあえず仲良く過ごすことが大切よね。これからの日々が、少し楽しみ!
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