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5話 追手
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砂嵐は、僕の予測通り十九時まで続いた。日は完全に落ち、その日僕らは進むのを諦めてそのまま横になった。
朝起きると、よく窒息しなかったなと思うほど魔導人形輸送車は砂に包まれていた。それでも外に出て砂をどける程の量でもなく、ヤス兄が魔力回転機関に火を灯すと砂を押し退けて動きはじめた。輸送車といっても軍用車だ馬力が違う、砂の中から這い出ると昨日までの砂嵐とは打って変わり、強い日差しが照りつける晴天だ。
「完全に砂嵐が止んじゃったな、なあトマ……そろそろ追手が来るんじゃないのか?」
「どうだろう分からないよ。建物は燃やしてきたし物取りで動いてくれれば助かるんだけど、僕らの死体がない時点で裏切ったのはバレちゃうだろうね、放置遺跡に向かったことまでは分からないと思うけど」
「大変だったもんなー追跡ビーコン全部外すの」
ヤス兄を地下牢から運んだ後に、僕とザインの二人で輸送車や亀こと〇三式に付けられていた位置確認用のビーコンを手分けして外した。
反政府組織だって馬鹿じゃない、この広い砂漠で行方不明者が出た場合、人よりも装備が回収出来るようにと追跡用ビーコンが仕込んである。せいぜい一キロ以内まで近づかなければ探知出来ないような精度の物だがないよりはましだ。
素直に追跡を諦めてくれれば助かるのだけど、僕らを逃がした責任を、監督者であるグルーノ=ヤーシスは追及されるだろう。そう簡単には諦めてはくれないだろうな。
追跡用ビーコンはすべて外したとはいえ、僕らを探し出す人工遺物がある可能性も捨てきれない。
今は少しでも先に進まないと。
砂漠の中にはオアシスと呼ばれる幾つかの水源がある。昔はその大半は地下水によるものだったのだが、現存するオアシスのほとんどは古代人が残した人工遺物を利用して人為的に作られたものだ。
ここ砂漠の町ユフィテリアも、そんな人為的に作られたオアシスにある町である。
ユフィテリアは『千の蜘蛛』と呼ばれる反政府組織の拠点でもある。この町を利用するのは、千の蜘蛛の少年兵を指揮する監督者と呼ばれる大人たちと、さらに上位に者たち、反政府組織と取引をするブローカーやディーラーやバイヤーなどだ。彼らが扱う品は、武器や燃料や食料だけではなく人間すらも売買する。商品の中には、トマたちのような少年兵も含まれていた。
「おいグルーノ、最近随分と景気が良いみたいじゃないか、奇跡を起こすガキのお陰で儲かってるんだって……たまには奢ってくれてもいいんじゃねーのか」
「馬鹿を言うな、出世したわけでもないのに、なぜ同じ監督者に酒を奢らなきゃならないんだ。奢るなら美人の姉さんを選ぶよ」
グルーノ=ヤーシスは、店主の立つカウンターの前に何枚かの札を置くと店を出た。
砂嵐の影響もあり、予定より長くユフィテリアの町に足止めされてしまった。
気掛かりなのは、地下牢に放置したヤス=マリノルトのことだ。餓えて死ぬのはいいんだが、死んだ後時間が経つと臭くてたまらない匂いがする。死体の片付けをガキどもに任せることが出来れば楽なんだが、十五を迎えて卒業した後のことはヒミツにしなければならない。面倒だが死体を片付ける人間を雇うか……。
グルーノ=ヤーシスは駐車場へと向かった。
通常の車に比べて大きなタイヤを付けた、サンドバギーと呼ばれる砂漠専用車両が並ぶ。グルーノは運転席の座るとハンドルの前に右手を近づけて聖痕を浮かべた。エンジンに火が灯る。魔法機械の動力は、燃料を燃やして動力を得る内燃機関ではなく、魔力を秘めた魔石を用いて回転力を生む魔力回転機関である。火を灯すという言い回しは、人工遺物の解明が進む以前に石炭を用いた機関を使っていた頃の名残だ。
グルーノは自動運転機能をONにして小屋につくまで仮眠をとった。
どれくらいの間眠っていたのだろう。目を開ける。サンドバギーは目的地に到着して止まっていた。しかし、目の前にあるのは他と変わらない砂の海。
グルーノは車から降りて外に出た。砂に埋まる長距離通信を可能にする折れた鉄塔を見つけた。ここは間違いなく第百五十三小隊のベースキャンプ地だ。
グルーノは鉄塔の位置から予測して建物があったであろう場所を掘り返した。焼け落ちた建物の残骸。……正規軍が砂嵐に紛れて奇襲をかけたのか……そんな想いが過ぎる。
冷静になれたのは日々の心構えの賜物だろう、いかに少年兵たちに戦いを任せて自分は高みの見物とはいえ、少年兵たちを戦場に運ぶのはグルーノの仕事だ。常に前線に身を置いてきたという自負もある。自分の思い込みに頼って動くのではなく、まずは上に連絡すべきだと判断した。
サンドバギーに設置されていた通信装置を使う、倒れていても鉄塔は機能しているようだ。
それから三時間ほど時が過ぎ、複数台の車両が現場に到着した。『千の蜘蛛』の調査部隊である。
「お前が第百五十三小隊監督グルーノ=ヤーシスか、一時間もすれば謎も解けるはずだ。その間に話をしよう」
千の蜘蛛調査部隊隊長マッティア=ボローティ。切れ長の目と高身長、肌はバルガス王国人特有の黄色みがかった色だが、髪はこの国には珍しい黒に似た色をした長髪だ。
その冷たい目に見られると呼吸をするのすら忘れてしまいそうになる。グルーノは調査部隊の車両の中無言で待った。
「グルーノ=ヤーシス、君はミスを犯したようだ。地下牢にいたヤス=マリノルトはいなかったよ、第百五十三小隊に預けていたダージル二機と魔導人形輸送車、十五丁ものライフル型魔導銃をまんまと子供たちに盗まれてしまったようだ。丁寧に追跡ビーコンもすべて外されていた……この失態をどう償うんだいグルーノ=ヤーシス。人工遺物による洗脳は絶対ではないと君も知っていただろう」
「マッティア=ボローティ様、私にチャンスをいただけないでしょうか?あの馬鹿どもを捕らえて殺して盗まれた兵器を回収してみせます」
「ふむ、だがグルーノ=ヤーシス、君にはもう第百五十三小隊はないのだ。どうするんだい」
「友人がおります。第八九小隊に協力を要請します。マッティア=ボローティ様、逃げた子供たちの行き先を教えてもらえないでしょうか」
「君は随分と厚かましいのだな、いいいだろう情報が揃い次第占わせよう」
「占いですか……」
「ああ、人工遺物を使ったよく当たる占いだよ。追跡ビーコンを外した程度で逃げられると勘違いするガキにはお仕置きをしないと、そうだろうグルーノ=ヤーシス」
「へい……必ずやガキどもの首を持ってまいります」
マッティア=ボローティは、逃げ出した第百五十三小隊を追うためにグルーノ=ヤーシスに二人の部下を貸し出した。
朝起きると、よく窒息しなかったなと思うほど魔導人形輸送車は砂に包まれていた。それでも外に出て砂をどける程の量でもなく、ヤス兄が魔力回転機関に火を灯すと砂を押し退けて動きはじめた。輸送車といっても軍用車だ馬力が違う、砂の中から這い出ると昨日までの砂嵐とは打って変わり、強い日差しが照りつける晴天だ。
「完全に砂嵐が止んじゃったな、なあトマ……そろそろ追手が来るんじゃないのか?」
「どうだろう分からないよ。建物は燃やしてきたし物取りで動いてくれれば助かるんだけど、僕らの死体がない時点で裏切ったのはバレちゃうだろうね、放置遺跡に向かったことまでは分からないと思うけど」
「大変だったもんなー追跡ビーコン全部外すの」
ヤス兄を地下牢から運んだ後に、僕とザインの二人で輸送車や亀こと〇三式に付けられていた位置確認用のビーコンを手分けして外した。
反政府組織だって馬鹿じゃない、この広い砂漠で行方不明者が出た場合、人よりも装備が回収出来るようにと追跡用ビーコンが仕込んである。せいぜい一キロ以内まで近づかなければ探知出来ないような精度の物だがないよりはましだ。
素直に追跡を諦めてくれれば助かるのだけど、僕らを逃がした責任を、監督者であるグルーノ=ヤーシスは追及されるだろう。そう簡単には諦めてはくれないだろうな。
追跡用ビーコンはすべて外したとはいえ、僕らを探し出す人工遺物がある可能性も捨てきれない。
今は少しでも先に進まないと。
砂漠の中にはオアシスと呼ばれる幾つかの水源がある。昔はその大半は地下水によるものだったのだが、現存するオアシスのほとんどは古代人が残した人工遺物を利用して人為的に作られたものだ。
ここ砂漠の町ユフィテリアも、そんな人為的に作られたオアシスにある町である。
ユフィテリアは『千の蜘蛛』と呼ばれる反政府組織の拠点でもある。この町を利用するのは、千の蜘蛛の少年兵を指揮する監督者と呼ばれる大人たちと、さらに上位に者たち、反政府組織と取引をするブローカーやディーラーやバイヤーなどだ。彼らが扱う品は、武器や燃料や食料だけではなく人間すらも売買する。商品の中には、トマたちのような少年兵も含まれていた。
「おいグルーノ、最近随分と景気が良いみたいじゃないか、奇跡を起こすガキのお陰で儲かってるんだって……たまには奢ってくれてもいいんじゃねーのか」
「馬鹿を言うな、出世したわけでもないのに、なぜ同じ監督者に酒を奢らなきゃならないんだ。奢るなら美人の姉さんを選ぶよ」
グルーノ=ヤーシスは、店主の立つカウンターの前に何枚かの札を置くと店を出た。
砂嵐の影響もあり、予定より長くユフィテリアの町に足止めされてしまった。
気掛かりなのは、地下牢に放置したヤス=マリノルトのことだ。餓えて死ぬのはいいんだが、死んだ後時間が経つと臭くてたまらない匂いがする。死体の片付けをガキどもに任せることが出来れば楽なんだが、十五を迎えて卒業した後のことはヒミツにしなければならない。面倒だが死体を片付ける人間を雇うか……。
グルーノ=ヤーシスは駐車場へと向かった。
通常の車に比べて大きなタイヤを付けた、サンドバギーと呼ばれる砂漠専用車両が並ぶ。グルーノは運転席の座るとハンドルの前に右手を近づけて聖痕を浮かべた。エンジンに火が灯る。魔法機械の動力は、燃料を燃やして動力を得る内燃機関ではなく、魔力を秘めた魔石を用いて回転力を生む魔力回転機関である。火を灯すという言い回しは、人工遺物の解明が進む以前に石炭を用いた機関を使っていた頃の名残だ。
グルーノは自動運転機能をONにして小屋につくまで仮眠をとった。
どれくらいの間眠っていたのだろう。目を開ける。サンドバギーは目的地に到着して止まっていた。しかし、目の前にあるのは他と変わらない砂の海。
グルーノは車から降りて外に出た。砂に埋まる長距離通信を可能にする折れた鉄塔を見つけた。ここは間違いなく第百五十三小隊のベースキャンプ地だ。
グルーノは鉄塔の位置から予測して建物があったであろう場所を掘り返した。焼け落ちた建物の残骸。……正規軍が砂嵐に紛れて奇襲をかけたのか……そんな想いが過ぎる。
冷静になれたのは日々の心構えの賜物だろう、いかに少年兵たちに戦いを任せて自分は高みの見物とはいえ、少年兵たちを戦場に運ぶのはグルーノの仕事だ。常に前線に身を置いてきたという自負もある。自分の思い込みに頼って動くのではなく、まずは上に連絡すべきだと判断した。
サンドバギーに設置されていた通信装置を使う、倒れていても鉄塔は機能しているようだ。
それから三時間ほど時が過ぎ、複数台の車両が現場に到着した。『千の蜘蛛』の調査部隊である。
「お前が第百五十三小隊監督グルーノ=ヤーシスか、一時間もすれば謎も解けるはずだ。その間に話をしよう」
千の蜘蛛調査部隊隊長マッティア=ボローティ。切れ長の目と高身長、肌はバルガス王国人特有の黄色みがかった色だが、髪はこの国には珍しい黒に似た色をした長髪だ。
その冷たい目に見られると呼吸をするのすら忘れてしまいそうになる。グルーノは調査部隊の車両の中無言で待った。
「グルーノ=ヤーシス、君はミスを犯したようだ。地下牢にいたヤス=マリノルトはいなかったよ、第百五十三小隊に預けていたダージル二機と魔導人形輸送車、十五丁ものライフル型魔導銃をまんまと子供たちに盗まれてしまったようだ。丁寧に追跡ビーコンもすべて外されていた……この失態をどう償うんだいグルーノ=ヤーシス。人工遺物による洗脳は絶対ではないと君も知っていただろう」
「マッティア=ボローティ様、私にチャンスをいただけないでしょうか?あの馬鹿どもを捕らえて殺して盗まれた兵器を回収してみせます」
「ふむ、だがグルーノ=ヤーシス、君にはもう第百五十三小隊はないのだ。どうするんだい」
「友人がおります。第八九小隊に協力を要請します。マッティア=ボローティ様、逃げた子供たちの行き先を教えてもらえないでしょうか」
「君は随分と厚かましいのだな、いいいだろう情報が揃い次第占わせよう」
「占いですか……」
「ああ、人工遺物を使ったよく当たる占いだよ。追跡ビーコンを外した程度で逃げられると勘違いするガキにはお仕置きをしないと、そうだろうグルーノ=ヤーシス」
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