ディミオルゴ=プリェダーニエ

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第23話『模倣』

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「…ここが……」

そこは大きなビルだった。

「ここって…あの超有名な実力派俳優の賀川を生んだ芸能事務所じゃねぇか!!!」

賀川…世界的に有名な俳優だ。あの人の映画は数知れず。テオス…そんな人と知り合いなんてヤバすぎだろ…






事務所の中では沢山の俳優や女優が練習をしていた。

「…もしかしてトシジ…?」
「は…はい!!」

後ろから声をかけられた。振り向くと厳つい人が立っていた。

「話は聞いてる…俳優になりたいんだって?」
「あ…はい!」
「俺は…まぁ…ここの監督みたいなもんだ」
「俺はトシジです!」
「…まぁ、とりあえずどんなもんか見たいから、こっち来て」

俺は個室へ案内され、台本のようなものを渡された。

「…最初はその台本の通りにセリフを読んでみて」
「いきなりっすか」
「まぁ…どんなもんか見たいから…」

俺は言われた通り台本に目を通しながら、読んだ。台本の内容は二人の囚人の男の会話だ。
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「…なぁ、なんで俺たちがこんなことしないといけないんだろうな」
「仕方ないだろ、俺たちは罪を犯したんだ。罪と向き合わないといけないんだ」
「だけど、こんな事アリかよ。労働ってレベルじゃねぇぞ」
「今は耐えるんだ、脱獄の決行まで」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…終わりました」

俺は厳つい人を見て言った。

「……どうだった?…やってみて」
「全然駄目ですね」

そんな時、ドアが開いた。そこには中性的な顔立ちの男の人が立っていた。見たことのある顔だ。

「竹内さん、この子がトシジ?」
「…ああ、さっき来たから《プリズンブレイカー》の台本を読んでもらってたんだ」
「あぁ…アレですか…」
「…トシジ君…この人は賀川君だ」

あの賀川…実際で見るととてもカッコいいなぁ…

「…ト…トシジです!」
「そんな堅苦しい感じにしなくていいよ…それで…どうだったんですか?…トシジ君は」

すると、竹内さんは俺の方を見て言った。

「……足りない」
「…あぁ…そういうことですね」
「…え?」
「……それでは…次は体を動かしてもらおう」

竹内さんがリモコンのボタンを押した。すると、テレビから映像が流れてきた。

「…実際に演技をしてもらう」

テレビには映画のワンシーンが映されていた。セリフもついている。俺は見よう見まねでやってみることにした。

「…あぁ、愛しいジュリア、君はこの海の向こうにいる、だけど、僕は必ず君を迎えに行くよ」

「…終わりました」

「…トシジ君、君の演技力はわかった………君は既に演技の力は持っている」
「え!?」
「…しかし…足りない…さっきも言ったが。それはこの賀川君に教えてもらうといい」
「…あ……分かりました」

そう言って竹内さんは部屋を出ていった。

「…なんか…あります?」
「……じゃあ、君に足りないものを言うよ!……それは………感情……君は無機質なの。機械に話させているように、君には感情が無いんだ」

無機質……感情が無い…さっぱり分からん…

「…君のは……模倣だ。演技ではない」
「模倣…」
「うん、演技というのはその名の通り、演じることだ。なりきることだね」
「…はぁ…」

正直よく分からないまま話を聞いていた。

「…一回僕がやってみるよ。まずは、台本読みだよね」

そう言って、賀川さんは少し離れた所に立った。そして、話し始めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なぁ…なんで俺たちがこんなことしないといけないんだろうな…」
『仕方ないだろ…俺たちは罪を犯したんだ。罪と向き合わないといけないんだ…』
「だけど…こんな事アリかよ!労働ってレベルじゃねぇぞ!!」
『今は耐えるんだ…!…脱獄の決行まで』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…おぉ~!」

俺は拍手をした。まるで、人格が入れ替わったような…

「…ありがとう!…それじゃあ、次は演技か」

賀川さんは再び深呼吸したあと、演じ始めた。

「…あぁ…!…愛しいジュリア…君はこの海の向こうにいる…だけど!…僕は必ず君を迎えに行くよ…!」

「…スッゲ…」

俺はただ眺めているだけだった。正直、目の前にキャラクターがいると錯覚してしまう程だ。

「…まぁ…こんな感じかな…」
「どうやってんすか!?」
「…まぁ慣れもあるけど……君の場合は心を掴むだけだ」
「心を掴む…?」
「うん。ハッキリ言って君は初めてとは思えない演技が上手い。ただ、感情が無いだけ!」

傷つくなぁ……

「…だけど……全く演技ができない人に教えるよりも…君みたいなタイプに教える方が難しいんだよなぁ…」
「ど…どうすればいいんすか!?」
「…丁度次に僕たちはリハをするんだ。それを見てみたら?…やっぱりその方が早いと思うから…」

ということで、俺は賀川さんのリハーサルを見ることにした。再びさっきの部屋に戻ってきた。そこには人が集まっている。そして、賀川さんが皆に言った。

「…それじゃあ…リハーサルやろうか」










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