24 / 51
第23話『模倣』
しおりを挟む
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「…ここが……」
そこは大きなビルだった。
「ここって…あの超有名な実力派俳優の賀川を生んだ芸能事務所じゃねぇか!!!」
賀川…世界的に有名な俳優だ。あの人の映画は数知れず。テオス…そんな人と知り合いなんてヤバすぎだろ…
事務所の中では沢山の俳優や女優が練習をしていた。
「…もしかしてトシジ…?」
「は…はい!!」
後ろから声をかけられた。振り向くと厳つい人が立っていた。
「話は聞いてる…俳優になりたいんだって?」
「あ…はい!」
「俺は…まぁ…ここの監督みたいなもんだ」
「俺はトシジです!」
「…まぁ、とりあえずどんなもんか見たいから、こっち来て」
俺は個室へ案内され、台本のようなものを渡された。
「…最初はその台本の通りにセリフを読んでみて」
「いきなりっすか」
「まぁ…どんなもんか見たいから…」
俺は言われた通り台本に目を通しながら、読んだ。台本の内容は二人の囚人の男の会話だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なぁ、なんで俺たちがこんなことしないといけないんだろうな」
「仕方ないだろ、俺たちは罪を犯したんだ。罪と向き合わないといけないんだ」
「だけど、こんな事アリかよ。労働ってレベルじゃねぇぞ」
「今は耐えるんだ、脱獄の決行まで」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…終わりました」
俺は厳つい人を見て言った。
「……どうだった?…やってみて」
「全然駄目ですね」
そんな時、ドアが開いた。そこには中性的な顔立ちの男の人が立っていた。見たことのある顔だ。
「竹内さん、この子がトシジ?」
「…ああ、さっき来たから《プリズンブレイカー》の台本を読んでもらってたんだ」
「あぁ…アレですか…」
「…トシジ君…この人は賀川君だ」
あの賀川…実際で見るととてもカッコいいなぁ…
「…ト…トシジです!」
「そんな堅苦しい感じにしなくていいよ…それで…どうだったんですか?…トシジ君は」
すると、竹内さんは俺の方を見て言った。
「……足りない」
「…あぁ…そういうことですね」
「…え?」
「……それでは…次は体を動かしてもらおう」
竹内さんがリモコンのボタンを押した。すると、テレビから映像が流れてきた。
「…実際に演技をしてもらう」
テレビには映画のワンシーンが映されていた。セリフもついている。俺は見よう見まねでやってみることにした。
「…あぁ、愛しいジュリア、君はこの海の向こうにいる、だけど、僕は必ず君を迎えに行くよ」
「…終わりました」
「…トシジ君、君の演技力はわかった………君は既に演技の力は持っている」
「え!?」
「…しかし…足りない…さっきも言ったが。それはこの賀川君に教えてもらうといい」
「…あ……分かりました」
そう言って竹内さんは部屋を出ていった。
「…なんか…あります?」
「……じゃあ、君に足りないものを言うよ!……それは………感情……君は無機質なの。機械に話させているように、君には感情が無いんだ」
無機質……感情が無い…さっぱり分からん…
「…君のは……模倣だ。演技ではない」
「模倣…」
「うん、演技というのはその名の通り、演じることだ。なりきることだね」
「…はぁ…」
正直よく分からないまま話を聞いていた。
「…一回僕がやってみるよ。まずは、台本読みだよね」
そう言って、賀川さんは少し離れた所に立った。そして、話し始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なぁ…なんで俺たちがこんなことしないといけないんだろうな…」
『仕方ないだろ…俺たちは罪を犯したんだ。罪と向き合わないといけないんだ…』
「だけど…こんな事アリかよ!労働ってレベルじゃねぇぞ!!」
『今は耐えるんだ…!…脱獄の決行まで』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…おぉ~!」
俺は拍手をした。まるで、人格が入れ替わったような…
「…ありがとう!…それじゃあ、次は演技か」
賀川さんは再び深呼吸したあと、演じ始めた。
「…あぁ…!…愛しいジュリア…君はこの海の向こうにいる…だけど!…僕は必ず君を迎えに行くよ…!」
「…スッゲ…」
俺はただ眺めているだけだった。正直、目の前にキャラクターがいると錯覚してしまう程だ。
「…まぁ…こんな感じかな…」
「どうやってんすか!?」
「…まぁ慣れもあるけど……君の場合は心を掴むだけだ」
「心を掴む…?」
「うん。ハッキリ言って君は初めてとは思えない演技が上手い。ただ、感情が無いだけ!」
傷つくなぁ……
「…だけど……全く演技ができない人に教えるよりも…君みたいなタイプに教える方が難しいんだよなぁ…」
「ど…どうすればいいんすか!?」
「…丁度次に僕たちはリハをするんだ。それを見てみたら?…やっぱりその方が早いと思うから…」
ということで、俺は賀川さんのリハーサルを見ることにした。再びさっきの部屋に戻ってきた。そこには人が集まっている。そして、賀川さんが皆に言った。
「…それじゃあ…リハーサルやろうか」
「…ここが……」
そこは大きなビルだった。
「ここって…あの超有名な実力派俳優の賀川を生んだ芸能事務所じゃねぇか!!!」
賀川…世界的に有名な俳優だ。あの人の映画は数知れず。テオス…そんな人と知り合いなんてヤバすぎだろ…
事務所の中では沢山の俳優や女優が練習をしていた。
「…もしかしてトシジ…?」
「は…はい!!」
後ろから声をかけられた。振り向くと厳つい人が立っていた。
「話は聞いてる…俳優になりたいんだって?」
「あ…はい!」
「俺は…まぁ…ここの監督みたいなもんだ」
「俺はトシジです!」
「…まぁ、とりあえずどんなもんか見たいから、こっち来て」
俺は個室へ案内され、台本のようなものを渡された。
「…最初はその台本の通りにセリフを読んでみて」
「いきなりっすか」
「まぁ…どんなもんか見たいから…」
俺は言われた通り台本に目を通しながら、読んだ。台本の内容は二人の囚人の男の会話だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なぁ、なんで俺たちがこんなことしないといけないんだろうな」
「仕方ないだろ、俺たちは罪を犯したんだ。罪と向き合わないといけないんだ」
「だけど、こんな事アリかよ。労働ってレベルじゃねぇぞ」
「今は耐えるんだ、脱獄の決行まで」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…終わりました」
俺は厳つい人を見て言った。
「……どうだった?…やってみて」
「全然駄目ですね」
そんな時、ドアが開いた。そこには中性的な顔立ちの男の人が立っていた。見たことのある顔だ。
「竹内さん、この子がトシジ?」
「…ああ、さっき来たから《プリズンブレイカー》の台本を読んでもらってたんだ」
「あぁ…アレですか…」
「…トシジ君…この人は賀川君だ」
あの賀川…実際で見るととてもカッコいいなぁ…
「…ト…トシジです!」
「そんな堅苦しい感じにしなくていいよ…それで…どうだったんですか?…トシジ君は」
すると、竹内さんは俺の方を見て言った。
「……足りない」
「…あぁ…そういうことですね」
「…え?」
「……それでは…次は体を動かしてもらおう」
竹内さんがリモコンのボタンを押した。すると、テレビから映像が流れてきた。
「…実際に演技をしてもらう」
テレビには映画のワンシーンが映されていた。セリフもついている。俺は見よう見まねでやってみることにした。
「…あぁ、愛しいジュリア、君はこの海の向こうにいる、だけど、僕は必ず君を迎えに行くよ」
「…終わりました」
「…トシジ君、君の演技力はわかった………君は既に演技の力は持っている」
「え!?」
「…しかし…足りない…さっきも言ったが。それはこの賀川君に教えてもらうといい」
「…あ……分かりました」
そう言って竹内さんは部屋を出ていった。
「…なんか…あります?」
「……じゃあ、君に足りないものを言うよ!……それは………感情……君は無機質なの。機械に話させているように、君には感情が無いんだ」
無機質……感情が無い…さっぱり分からん…
「…君のは……模倣だ。演技ではない」
「模倣…」
「うん、演技というのはその名の通り、演じることだ。なりきることだね」
「…はぁ…」
正直よく分からないまま話を聞いていた。
「…一回僕がやってみるよ。まずは、台本読みだよね」
そう言って、賀川さんは少し離れた所に立った。そして、話し始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…なぁ…なんで俺たちがこんなことしないといけないんだろうな…」
『仕方ないだろ…俺たちは罪を犯したんだ。罪と向き合わないといけないんだ…』
「だけど…こんな事アリかよ!労働ってレベルじゃねぇぞ!!」
『今は耐えるんだ…!…脱獄の決行まで』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…おぉ~!」
俺は拍手をした。まるで、人格が入れ替わったような…
「…ありがとう!…それじゃあ、次は演技か」
賀川さんは再び深呼吸したあと、演じ始めた。
「…あぁ…!…愛しいジュリア…君はこの海の向こうにいる…だけど!…僕は必ず君を迎えに行くよ…!」
「…スッゲ…」
俺はただ眺めているだけだった。正直、目の前にキャラクターがいると錯覚してしまう程だ。
「…まぁ…こんな感じかな…」
「どうやってんすか!?」
「…まぁ慣れもあるけど……君の場合は心を掴むだけだ」
「心を掴む…?」
「うん。ハッキリ言って君は初めてとは思えない演技が上手い。ただ、感情が無いだけ!」
傷つくなぁ……
「…だけど……全く演技ができない人に教えるよりも…君みたいなタイプに教える方が難しいんだよなぁ…」
「ど…どうすればいいんすか!?」
「…丁度次に僕たちはリハをするんだ。それを見てみたら?…やっぱりその方が早いと思うから…」
ということで、俺は賀川さんのリハーサルを見ることにした。再びさっきの部屋に戻ってきた。そこには人が集まっている。そして、賀川さんが皆に言った。
「…それじゃあ…リハーサルやろうか」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる