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第3章 崩壊への祭壇
4. 逆流の処刑場
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聖堂を出た二人を待っていたのは、最後の罠だった。罅割れ平原。大地に巨大な亀裂が走り、そこから逆流する風が噴き出している異常地帯。
そこに、奴がいた。全身の包帯を新調し、さらに禍々しいオーラを纏った《逆巻きのソルガ》。そして、彼の周囲には再集結した白鎖団の本隊が展開していた。だが、その瞳は虚ろだ。おそらくソルガの巻き戻しの中に囚われ、弾丸として利用されているのだろう。
「ヒャハハ! 待ってたぜ、静寂の旦那! そして小僧! ここがお前らの墓場だ!」
ソルガが両手を広げる。その背後で、巨大な遺物『時喰らいの反響』が駆動音を上げ、平原全体を包む結界を展開した。
「ここは俺の腹の中だ。『五秒巻き戻しの連続領域』……ここじゃあ、死ぬことすら許されねえ。永遠に殺され続ける処刑場だ!」
空間が歪む。白鎖団が一斉に襲いかかってくる。グラードが斧を振るい、敵を粉砕する。だが、次の瞬間には敵は無傷で戻り、再び襲ってくる。
「終わりがない……!」
ピクスは絶望した。これは前の戦いとは違う。ソルガはグラードを倒そうとしていない。「閉じ込めよう」としているのだ。無限に続く殺戮のループの中にグラードを封じ込め、その精神が摩耗して自壊するのを待つ作戦だ。
グラードの静寂が荒ぶる。イラつき、焦り、咆哮する獣のように、無差別に周囲を破壊し始める。しかし、壊しても壊しても、五秒後には元通りになる。
「ヒヒッ! どうだ! お前の大好きな静寂なんて、永遠に来ないぜ!」
ソルガの高笑いが響く。グラードの瞳から、理性の光が完全に消えた。侵蝕段階が、限界点──第五段階──へと近づいていく。
ピクスは見た。グラードの体が、内側からの圧力でひび割れ、そこから黒い霧のようなものが噴き出しているのを。限界だ。このままでは、グラード自身が爆発して消滅する。
(俺に……何ができる? 俺はただの観客じゃないのか?)
その時。白鎖団の矢が、殺戮の嵐を縫ってピクスの足を貫いた。
「が、ぁっ……!」
ピクスが倒れ込む。その悲鳴が、グラードの耳に届いた──のかどうかは分からない。だが、グラードはピクスの方を向いた。その虚ろな瞳が、ピクスを映す。
そして、終わりの時が動き出す。
そこに、奴がいた。全身の包帯を新調し、さらに禍々しいオーラを纏った《逆巻きのソルガ》。そして、彼の周囲には再集結した白鎖団の本隊が展開していた。だが、その瞳は虚ろだ。おそらくソルガの巻き戻しの中に囚われ、弾丸として利用されているのだろう。
「ヒャハハ! 待ってたぜ、静寂の旦那! そして小僧! ここがお前らの墓場だ!」
ソルガが両手を広げる。その背後で、巨大な遺物『時喰らいの反響』が駆動音を上げ、平原全体を包む結界を展開した。
「ここは俺の腹の中だ。『五秒巻き戻しの連続領域』……ここじゃあ、死ぬことすら許されねえ。永遠に殺され続ける処刑場だ!」
空間が歪む。白鎖団が一斉に襲いかかってくる。グラードが斧を振るい、敵を粉砕する。だが、次の瞬間には敵は無傷で戻り、再び襲ってくる。
「終わりがない……!」
ピクスは絶望した。これは前の戦いとは違う。ソルガはグラードを倒そうとしていない。「閉じ込めよう」としているのだ。無限に続く殺戮のループの中にグラードを封じ込め、その精神が摩耗して自壊するのを待つ作戦だ。
グラードの静寂が荒ぶる。イラつき、焦り、咆哮する獣のように、無差別に周囲を破壊し始める。しかし、壊しても壊しても、五秒後には元通りになる。
「ヒヒッ! どうだ! お前の大好きな静寂なんて、永遠に来ないぜ!」
ソルガの高笑いが響く。グラードの瞳から、理性の光が完全に消えた。侵蝕段階が、限界点──第五段階──へと近づいていく。
ピクスは見た。グラードの体が、内側からの圧力でひび割れ、そこから黒い霧のようなものが噴き出しているのを。限界だ。このままでは、グラード自身が爆発して消滅する。
(俺に……何ができる? 俺はただの観客じゃないのか?)
その時。白鎖団の矢が、殺戮の嵐を縫ってピクスの足を貫いた。
「が、ぁっ……!」
ピクスが倒れ込む。その悲鳴が、グラードの耳に届いた──のかどうかは分からない。だが、グラードはピクスの方を向いた。その虚ろな瞳が、ピクスを映す。
そして、終わりの時が動き出す。
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