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第3章 崩壊への祭壇
3. 砂鐘の予言
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砂嵐を避け、二人が逃げ込んだのは砂鐘聖堂だった。屋根は崩れ落ち、祭壇には首のない女神像が鎮座している。そこで、一人の老司祭が待っていた。
司祭は、入ってきたグラードを見ても驚かなかった。まるで、世界の終わりが訪れることを最初から知っていたかのように、穏やかに微笑んだ。
「ようこそ、静寂の王よ。そして、その影を歩く者よ」
グラードは司祭を無視し、壁際で座り込んだ。今の彼にとって、静かにしている人間は風景と同じだ。
司祭は、震えるピクスに水差しを差し出した。
「恐れることはない。ここは時と因果の終着点。全ての運命が一度立ち止まる場所だ」
「あんた……何者だ? グラードを知ってるのか?」
ピクスが問うと、司祭は女神像を見上げた。
「私は観測する者だ。……少年よ。お前は気づいているはずだ。あの男は、もう人間ではない。世界そのものが『静寂』を望み、あの男という器を選んだのだ」
司祭の声は、不思議とグラードの静寂に消されずに響いた。
「あの男は最後に、必ず『静寂』を選ぶだろう。自らの命を含めた、完全なる沈黙を。それは誰にも止められない」
「じゃあ、俺はどうすればいいんだよ! 俺も一緒に消えるのか!?」
ピクスが叫ぶ。司祭は、哀れむような、それでいて希望を託すような目でピクスを見た。
「あの男が静寂を選ぶ時……お前だけは、『意味』を選ぶことができる」
「意味……?」
「そうだ。あの男が何のために戦い、何を残して消えたのか。その答えを決める権利は、神ではなく、最後まであの男の背中を見ていたお前だけにある」
司祭の言葉は予言のように重く、ピクスの胸に沈んだ。グラードは眠っている。その寝顔は、かつてないほど苦しげで、悪夢にうなされているようだった。
司祭は、入ってきたグラードを見ても驚かなかった。まるで、世界の終わりが訪れることを最初から知っていたかのように、穏やかに微笑んだ。
「ようこそ、静寂の王よ。そして、その影を歩く者よ」
グラードは司祭を無視し、壁際で座り込んだ。今の彼にとって、静かにしている人間は風景と同じだ。
司祭は、震えるピクスに水差しを差し出した。
「恐れることはない。ここは時と因果の終着点。全ての運命が一度立ち止まる場所だ」
「あんた……何者だ? グラードを知ってるのか?」
ピクスが問うと、司祭は女神像を見上げた。
「私は観測する者だ。……少年よ。お前は気づいているはずだ。あの男は、もう人間ではない。世界そのものが『静寂』を望み、あの男という器を選んだのだ」
司祭の声は、不思議とグラードの静寂に消されずに響いた。
「あの男は最後に、必ず『静寂』を選ぶだろう。自らの命を含めた、完全なる沈黙を。それは誰にも止められない」
「じゃあ、俺はどうすればいいんだよ! 俺も一緒に消えるのか!?」
ピクスが叫ぶ。司祭は、哀れむような、それでいて希望を託すような目でピクスを見た。
「あの男が静寂を選ぶ時……お前だけは、『意味』を選ぶことができる」
「意味……?」
「そうだ。あの男が何のために戦い、何を残して消えたのか。その答えを決める権利は、神ではなく、最後まであの男の背中を見ていたお前だけにある」
司祭の言葉は予言のように重く、ピクスの胸に沈んだ。グラードは眠っている。その寝顔は、かつてないほど苦しげで、悪夢にうなされているようだった。
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