50 / 87
第6章
5
しおりを挟む
「あのぉ、よろしいでしょうか?」
「なんだ」
ちょっとぶっきらぼうに聞こえたのはきっと、照れ隠しもあるのだろう。
「殿下、心配をおかけして申し訳ありません。でも私はもう大丈夫です。ちょっと睡眠不足だったみたいで、そんな大したことじゃないんです」
「倒れたのだから大したことだ。いや、仕事量を管理できていなかった上司の失態だな」
「いえっ!そうではなくって……そうだ!それより、どうして急に国王陛下夫妻を招いたパーティを開催することになったのか教えてください。いつも先を見据えて行動なさる殿下が決断を先延ばしにしたのにも理由があるのですか?」
さっきのロランさんのお小言から考えるに、きっとこのパーティの可能性は予測できたのだろう。でもクライブ殿下がそれを決断しなかったせいで、準備期間が短すぎて無理が生じているのだ。確かにロランさんの言う通り、いつもの殿下らしくない。
この際、そのあたりの理由も聞いてしまおうと思っただけだったのに、殿下もロランさんもポカンとした顔をした。
「ーーーなんの話だ」
「いやだから、殿下がパーティ開催の決定を先延ばしにした理由ですよ。先程、ロランさんもおっしゃっていたじゃないですか」
「だから、なんの話だ?」
なぜだか話が通じない。困った私がロランさんに視線を移すと、彼は片手で顔を覆って項垂れていた。
「ロラン、さん?」
「いや、なるほど……そうですか。その理解をなさった、と。リディアさんが聡明で優秀なのは知っていましたが、想像力も逞しいとは知りませんでした」
しかも大きく息を吐き出しながら、ほめているのか貶しているのかよく分からないことを言う。
「ロラン、分かってくれたか」
「そうですね。殿下の行動を肯定するつもりはありませんが、ご苦労は理解しました。なかなかに難しい」
「ああ。想像力が逞しいのも考えものだ」
「いやこれは、想像力の逞しさではなく、その方向性が問題なのではないか、と」
「そうだな。それが正しい」
更にはそれに同調した殿下と何やら頷き合っている。会話が進むごとに自分が褒められていないのだけは理解できた私がもう一度口を挟もうとした時、デジャブのような音がした。
「なんだ」
ちょっとぶっきらぼうに聞こえたのはきっと、照れ隠しもあるのだろう。
「殿下、心配をおかけして申し訳ありません。でも私はもう大丈夫です。ちょっと睡眠不足だったみたいで、そんな大したことじゃないんです」
「倒れたのだから大したことだ。いや、仕事量を管理できていなかった上司の失態だな」
「いえっ!そうではなくって……そうだ!それより、どうして急に国王陛下夫妻を招いたパーティを開催することになったのか教えてください。いつも先を見据えて行動なさる殿下が決断を先延ばしにしたのにも理由があるのですか?」
さっきのロランさんのお小言から考えるに、きっとこのパーティの可能性は予測できたのだろう。でもクライブ殿下がそれを決断しなかったせいで、準備期間が短すぎて無理が生じているのだ。確かにロランさんの言う通り、いつもの殿下らしくない。
この際、そのあたりの理由も聞いてしまおうと思っただけだったのに、殿下もロランさんもポカンとした顔をした。
「ーーーなんの話だ」
「いやだから、殿下がパーティ開催の決定を先延ばしにした理由ですよ。先程、ロランさんもおっしゃっていたじゃないですか」
「だから、なんの話だ?」
なぜだか話が通じない。困った私がロランさんに視線を移すと、彼は片手で顔を覆って項垂れていた。
「ロラン、さん?」
「いや、なるほど……そうですか。その理解をなさった、と。リディアさんが聡明で優秀なのは知っていましたが、想像力も逞しいとは知りませんでした」
しかも大きく息を吐き出しながら、ほめているのか貶しているのかよく分からないことを言う。
「ロラン、分かってくれたか」
「そうですね。殿下の行動を肯定するつもりはありませんが、ご苦労は理解しました。なかなかに難しい」
「ああ。想像力が逞しいのも考えものだ」
「いやこれは、想像力の逞しさではなく、その方向性が問題なのではないか、と」
「そうだな。それが正しい」
更にはそれに同調した殿下と何やら頷き合っている。会話が進むごとに自分が褒められていないのだけは理解できた私がもう一度口を挟もうとした時、デジャブのような音がした。
115
あなたにおすすめの小説
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】
いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。
陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々
だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い
何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ
【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない
櫻野くるみ
恋愛
伯爵家の長女、エミリアは前世の記憶を持つ転生者だった。
手のかからない赤ちゃんとして可愛がられたが、前世の記憶を活かし類稀なる才能を見せ、まわりを驚かせていた。
大人びた子供だと思われていた5歳の時、18歳の騎士ダニエルと出会う。
成り行きで、父の死を悔やんでいる彼を慰めてみたら、うっかり気に入られてしまったようで?
歳の差13歳、未来の騎士団長候補は執着と溺愛が凄かった!
出世するたびにアプローチを繰り返す一途なダニエルと、年齢差を理由に断り続けながらも離れられないエミリア。
騎士団副団長になり、団長までもう少しのところで訪れる愛の試練。乗り越えたダニエルは、いよいよエミリアと結ばれる?
5歳で出会ってからエミリアが年頃になり、逃げられないまま騎士団長のお嫁さんになるお話。
ハッピーエンドです。
完結しています。
小説家になろう様にも投稿していて、そちらでは少し修正しています。
【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど
monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。
でも、なんだか周りの人間がおかしい。
どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。
これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?
公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。
痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。
お嬢様の悩みは…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴッドハンドで世界を変えますよ?
**********************
転生侍女シリーズ第三弾。
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる