せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月

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第8章

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どうにか状況分析をしようと頭を巡らせている間に会話は進んでいたらしい。

親子のピリつく空気に会場は水を打ったような静けさだ。先輩の本当の身分を知って驚いた生徒も沢山いるはずなのに、誰も声を上げない。その空気の中、父と娘は真っ向から意見を交わす。

「大切な娘だ。私は娘の意思を無視した人生を送らせるつもりはない。とはいえ、王族の責務は親子の情とは別のものだ。例え娘が幸せになれずとも国と民の為に決心しなければならない事はあるし、王女として生きてきた娘にもそれに応える責務がある。それが王族というものだ」

「仰ることは分かります。私もその考え方には同意してもいます。王族である以上、個人の幸せよりも国と民の幸せを優先すべきだと。でも、やり方は一つではないと申し上げているのです。他国や自国の有力者に嫁ぐこと以外にも、王女として国民のために働く道はあり、私はそれを見つけたのです」

「お前の見つけたやり方が婚姻よりも国のためになると、どうして言い切れる。それが分かるのは何年も先の話だ」

「そうです!だからこそ、婚姻が有効かも分からない」

「では、何をすると言うのだ」

「民の暮らしを支えます。子供たちに教育を、女性達に生きるすべを。それは将来国力を上げることに必ず繋がります」

「ーーーそれは結婚してもできることではないのか?」

「不可能でしょう。他国へ嫁げば、出身国の為に働くことは難しい。自国の誰かに嫁いでも積極的に働き、成果を上げることは貴族間の力の均衡を考えればすべきではないでしょう」

「では未婚のまま、王族として務めると?」

「それも好ましいとは言えないでしょう。兄君が王位を継いでなお、先代王の娘が王城から国政にまつわることに口出しするのは権威も分散を呼びます」

「では、どうすると?」

「神殿に入ります。神職としてではなく、神殿を管理するものとして。そこで自らの責務を果たします」

「ーーーほお」

最後のやりとりに言葉にしない意味が沢山含まれていたことは私にも分かった。
父娘が沈黙したまま視線を交わし合ったのがその証拠だろう。

「あいわかった。好きにするがよい。縁談の話もこちらから断っておく」

厳しい表情に微かに笑みを混ぜて父王が声を発したのはしばらく経ってからだった。その答えに深々と腰を折り頭を下げたエルフリーデ先輩を一瞥した後、国王陛下と共に貴賓席へと下がっていった。

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