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しおりを挟む始業日のこの日、俺の心とは裏腹に嫌味なくらいの快晴。
少し遠くに見える雲は頼りなくゆっくりと風に流されていた。アレに乗ってここから出られるものならどんなにいいか。なんの意思も持たず風に身を任せるだけの薄い雲はどこへも連れて行ってくれない。そんなものは分かりきってる。
本当なら同中のやつらと同じ高校生活が今日から始まるはずだったのにと、行くはずだった高校への思いを断ち切るに切れず、来たくもなかった校舎、その教室の自分の席で頬杖を突いて窓の外を眺めていた。
校舎に入ってからずっと感じていた不気味なものに胃の辺りが重くなる。春先の今日は気温も低めだというのに手はじっとりと汗が滲んだ。中庭の空間を挟んだ、向こう側の棟から感じるそれは、こちらに対して不躾に投げつけられている。複雑に絡まっているそれはなんとも言えず、背中に粘つく何かが這っているようで初めて味わう気持ち悪さだった。
外を見たくて窓に視線をやるが、そうなるとどうしても異質な何かを意識させられる。仕方なく、オメガ生徒しかいない室内へと意識を移した。
国がアルファとオメガのために金を掛けているだけあって校舎内は常に清掃員がいた。古い校舎だが床も壁も綺麗に整備や清掃がされていたし、この学校へは好きで入学したわけでもないけどそんなところだけは好感が持てた。
「ねぇ、何県から来たの?」
俺の前の奴が振り返り、まん丸の眼を輝かせて話しかけてきた。背も低めで線も細い。普通にいたら男女から可愛いと言われるだろう男子だ。教科書に載っていそうな典型的なオメガの外見である。胸のネームプレートには『1-13』とあった。
入学と共に割り振られオメガクラスだけのそれぞれの番号。
俺は『1-14』。そのまま、オメガクラス1年の14番と言う意味らしい。制服が来た時点で番号だけのネームプレートがご丁寧に縫いつけられていた。自室以外でのネームを外すことは全生徒禁止されている。
その他にも必ず認識票と呼ばれる、ネックレスに銀のプレートがぶら下がったものを必ず付けていなければならなかった。こちらはGPS付きで、対象者の簡単な体調変化も見抜く優れものらしい。このプレートにもⅠ-14とだけ掘られていた。
学校内ではこの番号で呼ばれる。ここでは15年以上も俺と共にあった『羽衣夜詩人』と言う名は要らないらしい。名前は最大の個人情報だからとか。中庭を挟んだ反対の棟にいるアルファ達に名前を知られないようにするためだとか。
知られたくないならもっと違う場所に校舎を建てろと言いたいが、ここは出会いの場でもあるらしいから、その辺はもう好きにしたらと思うしかなかった。
「俺はP県からなんだ。俺の名前……まあ、なんというか、13番なんだけどさ。えーと……呼びたくないけど、仕方ないよな。14番は?」
目の前の13番は困ったように首を傾げて言った。
良かった。番号が名前なんてまるで囚人みたいだし、誰だっていやなはずだ。普通の感覚が嬉しくてようやくほっとした。
「俺はQ県から。番号って、囚人思い出すんだよな。こんなのに慣れる気がしないよ」
「確かに。それに、こんなことになるとも思ってなくて、受験したくないから推薦、と思って三年間必死で勉強したのに無駄になったし」
「俺は受験したけど、合格発表みる前だったから、ちょっと腹が立ったよ」
「受験前にしてほしかったよな」
穏やかそうな少年は、雰囲気も柔らかくてこれはアルファ相手じゃなくてももてそうだなと感じた。
こんな閉鎖空間なんだ、癒しは大事だろう。初見に違和感もなく、こんな状況でも特殊思想を持ってもなく感覚も遠くはなさそうなため、13番と一緒に過ごそうと決めた。
*
運命なんてものは御伽噺。ほぼ自分にとってタイプかどうか、やりたい対象かどうか。一目ぼれでの判断が多い。ここに長くいるうちにそいつらが吐き出すフェロモンを気にし始めるのだ。それは良いものも悪いものも。
食い物にされる気配からは逃れられない。と、自身もオメガでこの学園で番を見つけたという担任、新堂 武伸は感情のない声で言った。
オメガクラスの担任は必ず男性オメガなのだそうだ。
「あんな奴らに屈してはならない。そもそも、アルファに選ばれるのではなく、自分達がアルファを選ぶんだという意識で過ごしなさい。でもまあ、それも発情期が来てしまえば崩れ去るけどね」
淡々と言い放たれ、クラス内に不穏な空気が流れる。
発破を掛けたいのか諦めさせたいのか脅したいのか。未知なる物は恐怖しかないのではと思ってしまいそうになる。
しーんと静まり返る中、「これから全校朝会あるから、ついてこい」と担任のあとにみんなノロノロと付いていく。歩く間、誰も私語をしなかった。シャツの隙間から覗く、首輪のしていない担任の項、番が噛んだだろう傷がそうさせていた。何年もたっているだろうに傷がありありとしている。これを俺達もやらなければならないことなのかと、そのとき初めて現実味が湧いた。
一階の渡り廊下の途中で中庭に出るドアを開け、担任は木々が茂る砂利の中をゆっくりと進む。そう、ゆっくりと。
この中庭に出てからねっとりとした視線を感じてはいたが、進むにつれてそれも酷くなる。値踏みするような上から感じる圧力。家で生活していたときには感じたことのない力をひしひしと感じる。これがアルファのものなのか。薄気味悪い。
なるほど、オメガと診断を受けてもなお自覚がなかったが、アルファのこの圧を感じると言うことはやはり自分はオメガなのだろう。ここにきてようやく少しだけ、ほんの少しだけ納得するものがあった。
「こっち向いてー」
気味の悪い圧とは裏腹に底抜けに明るい声が上から投げられた。
気になって俺を含めた何人かが少しだけ圧を出している方向を見上げれば、「向いてくれたキミにプレゼント!」とオレンジがかった茶色い髪の毛の奴が両腕に抱えていたものをパッと離した。
太陽に当たってキラッと輝く、直径十数センチの大量の輪のようなものが降ってきていた。咄嗟に頭を押さえるが、降ってきた物は俺達にぶつかりながら、軽い音や重い音を立てて地面に落ちていく。そこにいた一年オメガ全員立ち止まってしまった。頭を押さえたまましゃがみこむ者、唖然と上を見ている者と様々だった。ただ担任だけはそんなオメガクラスの生徒を確認するように眺めていただけだった。
何が落ちてきたかと思えば、色とりどりの首輪だった。ここにいるオメガの生徒以上の数。それもオメガ用首輪の一番性能のいいとされているX社のものだ。一つ数万から数十万円もするというのに。ちなみにここへ来るときの必須アイテムとしてもいくつか首輪がカタログに掲載されていたが、俺もこのX社のものを選んだ。少しケチって人生が曲がってしまうのもいやだったから最高グレードのものにした。
「自動ロックだから好きなのはめてね! 鍵は全部俺達が持っているからいつでもはずしてあげるよー」
首輪を投げただろう男の周りにも俺達を嘲笑うように見ている奴らが何人もいた。気味の悪い粘膜がまとわり付く感覚が気持ち悪くて口を押さえて一人先を急いだ。
担任も何を考えているか分からない。
俺達は一体ここでどんな学生生活を送ると言うのだ。
俺が歩き出すと後を付いてくるように何人かの生徒も動き出した。担任はうずくまって動けない生徒に寄り添うように話しかけていた。確かに担任のせいだ。責任とればいい。
全校朝会というのも、その名の通り“全校”だった。つまりアルファもオメガも全員ということだ。
さすがに左右に分けさせられているが、何人かのアルファ達は校長の話しなど聞く耳などないのか、にやけた顔で左側にいる俺達を眺めている。ニ年三年のオメガの先輩達はどこ吹く風だが、一年では気分が悪くなる生徒が五人ほどいた。こんな大勢の、オメガの生徒の倍はいるアルファに出会ったことがないのだから仕方ないかもしれない。ましてや奴らはわざと威圧を掛けてきている。
幸い俺は気分が悪いが倒れるほどではない。
あんな奴らに負けたくない、という気持ちが芽生えていた気がする。そもそも勝ち負けはないかもしれないが、HRで担任が言ったように俺が選ぶ立場であることだけ忘れずにいようと誓った。
一日目は授業もなく、連絡事項と確認作業で終わった。
無事に部屋に着き、ほっと息を吐き出す。金はかかるが一人部屋を選んでよかったと、心底思った。
本当、『オメガ』と告げられてからの一ヶ月。怒涛の一ヶ月だった。
何が悪かったのか。決して何も悪くない。たまたま身に起こったものがオメガと言う性だっただけ。
眼を閉じてその始まりを思い起こした。
*
中学の卒業式、特に悲しさも寂しさもなくクラスメイトにお別れを告げて家に帰ると、小さな駐車場に似あわない黒くてごついセダンが置いてあった。しかも人がギリギリ通れる位の隙間しかない。止めるのも大変だったけど降りるのも大変だっただろうなと眺めながら家に入った。
玄関にも真っ黒くてしゅっとした靴がニ足。仕事できそうな靴は、うちの父親の持っている靴と全然違う。俺もこんな靴の似合う大人になりたいもんだ。
この時は自分の身に降りかかるものなど分かっていないからまだのん気なものだった。
「ただいまー」
廊下から一声だけ、客が来ているらしいからそのまま二階の部屋に直行しようと思ったら母親がリビングから飛び出してきた。
「夜詩! ちょっと来なさい!」
「え、何」
「いいからっ」
卒業を祝うわけでもなく、乱暴に制服の襟元を引っ張られてリビングに引きずりこまれた。先ほどの黒光りの車や靴の持ち主らしき初老の男性等が悠然とソファに腰を掛けていて、さらにその向かいには父も座っていたがなぜか顔面蒼白だった。
なんだ、とうとう何かやらかしたのか。
「ほら、あんたも座りなさい!」
「いてっ。……こんにちは」
客の前だというのに尻をたたかれ、促された。一応挨拶しながら父の横に座った。心なしか父は震えていた気がする。
「こんにちは、羽衣夜詩人くん。説明するより見てもらった方が早いね」
ニ人のうち、白髪混じりの偉そうなおじさんは隣のメガネの神経質そうなおじさんから紙をもらい、俺に渡してきた。
その内容をみて思わず息を呑んだ。
黒い文字の羅列、ほとんどが俺の個人情報だったが、そこに一つだけぽっかりと浮かぶように、ただ一つだけ赤く『Ω』と印字されていた。手の込んだ、何の冗談かと思った。
「……オメガ?」
「そう、本日より国が管理する学校へ入学する手続きを行ってもらいます」
「俺、もう、こ、高校も、決まって、……て」
「白陵高等学校ね。すでに手続きはすんでいるから、君は国の管理する『大国第弐高等学校』へ入学してもらいます。ちなみに全寮制です。四月ニ日までに入寮出来るようお願いします」
「え……」
「第二の性については学校で学んでいるからある程度の知識はあると思うけど、詳しくは先ほどキミの御両親に渡したのでそれを熟読してもらえれば」
信じられない、一体何が、質問はたくさんあるが、目の前のニ人は淡々と何かを話す。慣れているのだろう。しかし自分達はなれているかもしれないが、聞かされるほうはいつだって初めてのはずだ。その辺の配慮もしてくれない人間がいるかもしれない学校なんて行きたくもない。
ニ人が帰ったあと、親子三人でボーゼンとしてしまった。
目の前の使い込まれた木製のテーブルに一億円が綺麗に詰まれて乗っていたから。
支度金と言って渡された一億。振込みするわけでもなく現金で渡されることになるとは夢にも思わない。
確かに『オメガは一億』と言う話はあった。隔離するために支度金として払われるという法案が出来ただけなのだが、それでも億という単位は「宝くじみたい!」 なんて言った記憶もある。意味の分かっていない子供らは年代によって「俺オメガになって一億もらう!」なんて冗談をいい、それに親が「よーし、じゃあその日はお赤飯だな!」という返しまでが流れだ。
顔面蒼白の両親に「赤飯炊く?」と聞いてみたら母親は泣き出して父親は「馬鹿野郎……」と力なく呟かれた。
なんせ、驚いたことには驚いたけど、実際体の変調など感じたこともなく過ごしてきたため実感が何一つない。
『Ω』と印字された紙でしか証明されていないものに、戸惑いのほうが大きくて。
腹を擦って「俺って子供産めるのか」と何気ない一言に敏感に察知した母親は「腹巻!」と言ってリビングを出て行った。
父はずっと項垂れている。悲壮感たっぷりの両親の気持ちは分からない。だって俺はまだ親というものになっていないから。
特にもてた記憶もないし好きになった子もいないから生涯独身と思っていたが、これは強制的にアルファと番わされそうだ。
まだ寒い日が続くから、と母親のお古の腹巻を無理やり巻かれた。
そしてその夜は本当に赤飯が出された。冗談だったんだけど。
書類をみると面倒な決まりごとや支度金から購入して欲しい物品やらカタログやら、頭がパンクしそうになった。そもそも普通の学校ではないらしいから、発情期に関することが重要項目としてずらずらと文章が書かれていた。
しかしまだ来ていない未知の発情より、気になったのは金の面。相部屋月額十五万円、個人部屋月額三十万円。食費などの実費分は入っていない、単なる部屋代のみでの金額。さらに発情中の『お手伝いさんつき隔離部屋への滞在』に一泊(二十四時間)五万円とか、オメガに渡した一億を回収しようとする気満々のようにしか思えなかった。
あと、入学前からつけて欲しいとあるのが貞操帯、つまり首輪だ。アルファとの授業もあるらしいから、必須とのことだ。
首輪のカタログをぺらぺら捲るが数万から数十万と値段はピンキリ。どうせなら一番性能のいいものを購入だ。
ネットで調べて高評価を探し、カタログと照らし合わせるとやはり数十万の一番高いものだった。高くてもいいものであれば間違っても外れることはないだろう。
大国第弐高等科のページを開き、もらった書類に書かれているアカウントと暫定のパスワードを入力した。パスワードは新しいものに変更し、制服やら首輪やら、すべてを注文した。
そして適当に聞いていた第二の性についても教科書やネットをあさって情報の整理をした。そしてこれから行く高校についても。自分のことなのにその性について分からないことだらけだ。
大国第弐高等学校。
通称第弐と呼ばれるそれ。戦前は大国第壱から大国第参まであったが今ではこの第二の性を扱っている第弐しか残っていないらしい。
一から三年までクラスは一組ずつのみ、それも一クラス十から二十人ほどの男子オメガしかいない。女性オメガはほとんどもう現れなくなってしまった。そもそもベータでも男児の出生が六割、女児が四割と変化してきていた。
全員、国から金にモノをいわせて無理やり徴収を掛けられた、オメガだけを集められたクラス。
早熟なオメガは発情期が来たことで発見され、そうそうにここの中等科へと強制入学されるらしい。外部からも遮断され、気がおかしくなる人間だって出てきそうなもんだが、その辺のケアはどうしているのやら。
人口減少と共に、アルファやオメガの数も激減した。まずはオメガからアルファは産まれてもオメガが産まれなくなった。時々何万分の一の確率でベータの夫婦から産まれるのが定石となっていた。
しかしアルファの多くが国を動かしていると言っても過言でないため、オメガを守り、増やすことを第一とした。
間違っても素行の悪いアルファやベータに殺されたり、強制的に番にされたりしないように。とは言うが、なかなかにオメガの人権を無視している。
やることがあるうちはよかった。他を考える余裕もなかったから。
しかしある程度準備も済ませてしまうと色々余計なことを考えてしまう。オメガについて調べれば調べるほど未知だったし。そもそも納得したわけじゃないけど、諦めが強くて仕方なく行く高校だ。
親から離れて暮らすとか、これから変化が現れるだろう性別とか、友達のこととか。春休みで時間はたくさんあった。だから無駄に考えることがたくさんあった。
数日もたつと、ようやく自分の中の感情が渦を巻いて飛び出してきた。友達からの誘いを全部断り、何も言えないでいる。一緒の高校へいく友達もいたのに。でも言わなければ相手もショックをうけるかもしれない。でも言いたくない。言いたくないんだ。
しとしとと涙が静かに流れてくるが、何の涙かも分からない。悲しいのか悔しいのか。寂しいのか辛いのか。
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