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最終話
しおりを挟む今井視点
αとして自信がなかったという深町がαでよかったと言う。今井がΩでいてくれたから自分はαでよかったと。それを言うなら、自分の方こそだと思う。Ωであるため出会えたのだろう。
甘ったるい雰囲気は自分をどろどろにしてくれた。だから「噛んで」なんて言うつもりもなかったものが口から飛び出した。
自分で言っておいてびっくりしたが、それは深町も一緒のようだった。それがさらに恥ずかしさを煽り、思わず顔を隠した。本心であるがために後悔はない。
項を触られてまた思っても見ないことを言ってしまった。「待って」と。
あくまで主導権は今井にあるとでも言いたいのだろうか、深町は素直に今井の言葉に従った。しかしそんなことは望んでいない。自分の言葉など無視して項を噛んで欲しかった。
咄嗟に出た言葉は本気ではない、それを深町も知っているはずだろうに意地悪なのかなんなのか、従順なフリをしている。
うつ伏せになっているおかげで深町のペニスをこれでもかと締め付けているのが自分でも分かる。ましてや自分自身はベッドと自分の腹の間で擦れてまたイきそうになっていた。
待つ、と言った深町はしきりに項を撫でている。以前は必死で堪えてなんとかなったが、今はただ恥ずかしいだけで堪える必要もなかったのだと思い直した。
深町も自分の中のものを見せてくれたのだ。自分だって素直にならなければとも思う。
「りく、りく、」
「うん、好きだよ。もっと呼んで」
自分も好きだと、喘ぎに紛れてうわ言の様に呟いた。
正面から抱きつきたいがこの体勢ではできない。背後から小刻みに揺さぶられ、這い上がる快感にシーツをぎゅっと握った。
「ああ、してっ、お願いっ、りく、……あっ、」
今井の声に反応するように後ろから聞こえる荒くなった息に興奮してくれているのだと知る。それと同時に今までにないくらい強く、深町のフェロモンが全身を包んだ。頭に靄がかかったように思考が鈍くなって快感だけを追ってしまう。今までゆっくりとした腰の動きは激しさをまし、ギリギリまで引き抜いては奥まで抉るよう腰を打ちつけてきた。腹の内側を擦られるたび、中を突かれるたび、ダラダラとだらしなく白濁が漏れ出した。
「あ、うっ、んっ、んんっ、っりく!」
喘いでいると強い力で首根っこを押さえつけられる。遠慮のない力だったが不思議と怖さなど感じなくただただ早くと願った。誰にも見せてこなかった、どんなΩの発情期に出会っても見せることなくきた深町のαとしての本能。それが初めて今井の前で姿を現すことが出来た。
そして項に息がかかった瞬間、全身が粟立ち、望んでいたその瞬間は痛みとともに全身が痺れたような快感も襲った。意識が飛びそうになる。同時に深町が達し、今井の中に熱い精を放った。
自然と零れた涙はうれし涙。
「……みのる、顔みたい」
まだ萎えていないペニスを抜かれて体を仰向けにされた。
唇に触れるだけのキスをくれ、深町はパッと花開くように笑った。
「涙でぐちゃぐちゃ」
なにがおかしいのか分からないが人の泣き顔を見て深町は心底嬉しそうに笑いながら言った。自分で思っている以上にひどい泣き顔なのだろう。笑われて悔しさがないこともないがそれでもこの人にだったら色々な自分を見せてもいいのだろうと思える。
だいたい、セックスでよがり狂っている姿など何度も見られているんだ。今更泣き顔くらい。いや、先程も酷い泣き顔は見せていたからすでに恥ずかしいことなどないかもしれない。
「大好きだよ、みのる」
泣きすぎて返事は出来なかったが両手を伸ばして抱きしめた。
自分達はまだ学生だし、これからのことは分からないけど、なにがあったとしてもきっと深町ならなんとかしれくれるはず。そう言ってくれた。
信じて一緒に生きていけたら何よりも幸せだろう。
おわり
****************
あと一話、後日の話がおまけであります。
ここまでありがとうございました。
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