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42首目に潜む待ち人 〜竹一族の記憶(三)〜
十一
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「いや、武士って男だよな?」
図書館を出て沈む夕陽を眺めながら、四音は開口一番にそう言った。私は目を瞬かせ、基本的にはそうね、と答える。四音は詰め寄るように続けた。
「幽霊だって男だろ? 貴族と武士は、確かに身分が違うけど、男同士なわけで・・・・」
言葉に詰まる四音を見て、私は何を言いたいのか理解した。思わず吹き出し、あのね、と声を上げる。
「男色は別に現代だけの話じゃないの。昔も男色はあったし、源平合戦の摂関家には、現代でも有名な男色の人物はいる。江戸時代には陰間と言って男色を売った男娼もいた。だから、仮にそうだとしても、別に変なことではないのよ」
四音は感慨深そうに頷いた。この話を聞いて、そんな反応をする人は少ない気がする。
「あ、いや、別に悪いとかそういうことを言うつもりはないんだ。ただ、平安時代くらいの恋愛って、男女が和歌をやり取りしているってイメージが強くて」
「わかっているわ。無理もないことよ。それに、ただの憶測でしかないもの。貴族と武士の血縁者の女性が・・・・って話もなくはないしね」
結果から言えば、幽霊の男が何者で誰に大きな感情を向けていたかはーーわからない。もちろん、四音の力で過去の音を聴くことはできる。だけど、やりすぎは禁物。あまりに過去へ触れすぎれば、戻れなくなる可能性があるから。
「姉さん、俺もう1回やってみようか? 何かわかるかも」
「言うと思ったけれど、今回はダメよ。依頼を受けたのは一応私だし、調査に付き合わせた以上、それ以上を手伝ってもらう気はないわ。早く終わらせて、観光にでも勤しみましょう」
そう。そのくらいが丁度いい。私は、幽霊や怪異の過去に必要以上に踏み込む気はない。“こちら側”の世界の平安を保つため、できる限りのことをするだけ。どれだけ奇怪な力を保とうとも、人間であることに変わりはないのだから。
「先に夕食を取ってから祓いに行きましょう。終わったらぐっすり眠って、明日はいよいよ観光よ」
「ああ。頼りにしてるよ、姉さん」
図書館を出て沈む夕陽を眺めながら、四音は開口一番にそう言った。私は目を瞬かせ、基本的にはそうね、と答える。四音は詰め寄るように続けた。
「幽霊だって男だろ? 貴族と武士は、確かに身分が違うけど、男同士なわけで・・・・」
言葉に詰まる四音を見て、私は何を言いたいのか理解した。思わず吹き出し、あのね、と声を上げる。
「男色は別に現代だけの話じゃないの。昔も男色はあったし、源平合戦の摂関家には、現代でも有名な男色の人物はいる。江戸時代には陰間と言って男色を売った男娼もいた。だから、仮にそうだとしても、別に変なことではないのよ」
四音は感慨深そうに頷いた。この話を聞いて、そんな反応をする人は少ない気がする。
「あ、いや、別に悪いとかそういうことを言うつもりはないんだ。ただ、平安時代くらいの恋愛って、男女が和歌をやり取りしているってイメージが強くて」
「わかっているわ。無理もないことよ。それに、ただの憶測でしかないもの。貴族と武士の血縁者の女性が・・・・って話もなくはないしね」
結果から言えば、幽霊の男が何者で誰に大きな感情を向けていたかはーーわからない。もちろん、四音の力で過去の音を聴くことはできる。だけど、やりすぎは禁物。あまりに過去へ触れすぎれば、戻れなくなる可能性があるから。
「姉さん、俺もう1回やってみようか? 何かわかるかも」
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そう。そのくらいが丁度いい。私は、幽霊や怪異の過去に必要以上に踏み込む気はない。“こちら側”の世界の平安を保つため、できる限りのことをするだけ。どれだけ奇怪な力を保とうとも、人間であることに変わりはないのだから。
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「ああ。頼りにしてるよ、姉さん」
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