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7つ館に罪禍は宿る 〜竹一族の記憶(四)〜
六
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「賢三様から、この山に来てお2人の手助けをするよう言われたのでやんす。山のことには詳しいから、って」
「根回しが早いな。何はともあれ助かったよ」
一樹様は土埃を払いながらそう言った。いつのまにか手に持っていた弓矢は消えておりーー流石と言うべきか、1つも傷は負っていないーー焦っている様子はない。
「山を一通り見てるよな? 歩きながら教えてくれ、響」
「ここはおらの山ではありませんから、全てがわかるわけではないでやんす。ただ、大勢の魂が漂っているのは間違いないかと」
「魂・・・・。この山で大勢人が死んだってことか?」
「はい。まあ、山や海を始めとした自然では人間が多く命を落としているので、魂が漂っていること自体は珍しくないでやんす。問題は、漂っている魂の全てが、凄まじい怨念を抱いていることでして」
「怨念・・・・。狂骨、ではないか。この山に水脈はあるが井戸はないはずだ」
「流石は鋼でやんす。その通り。この山にいるのは妖怪ではなく、強い怨念を持った大勢の人間の魂。祓うには一苦労するでやんす」
怨念か、と一樹様がつぶやいた。人間に思いを寄せられる彼にとっては、少し思うところはあるだろう。だが、仮に今回の事件が怨念によるものだとした場合、なぜそんなことをしたのかが気になる。人間の体を乗っ取って山を出ようとしたとも考えられるが、1人の体に収まるとは思えない。
「妖怪じゃなくて人間の魂なら、害をなすほどに多くの魂が漂っている理由があるはずだ。調べないといけないな」
一瞥を向けられたので、私はすぐさま応じた。
「賢三様は出立の前に、秋子へこの山のことを調べるよう頼んでおります。そう時間を置かずに情報が来るかと」
「そうか。やっぱり賢三は根回しがいいな」
笑顔で言われるが、そのくらいのことをして来たと確信されていたはずだ。ぶつかることも多いお2人だが、その分、お互いのことをよく理解されている。どう動くべきか、確認する必要がないほどに。
やがて、視界の先に館が見えてくると、響は踵を返しながら言った。
「人間が大勢いるみたいでやんすね。おらは一先ず失礼しやす。呼ばずとも必要があれば参じますから、ご心配なく」
そう言って、響は山中へ駆けて行った。犬のような姿で、一見子供と思うが、その実、彼は私より遥かに年上だ。いつから山にいるのかは定かではない。あの姿が本当の姿なのかも。ただ、賢三様は何かを勘付いておられる。口に出さないのは、あの方らしい行動だ。
賢三は俺たちが飛び出した時と同じ場所で待っていた。呆れたような視線を投げかけ、命があって何より、などと軽口を飛ばしてくる。
「響に会ったでしょ。何て?」
「強い怨念を持つ、大勢の人間の魂が山にいるそうだ。正体は不明だが、祓うのは面倒だな」
「そう。まあ、除霊そのものは兄さんに任せるけど、少し話したいことがある。宿泊者に話を聞いて推測したこと・・・・。一言で言ってしまえば、この殺人が、まだ終わらないっていう根拠の話」
「根回しが早いな。何はともあれ助かったよ」
一樹様は土埃を払いながらそう言った。いつのまにか手に持っていた弓矢は消えておりーー流石と言うべきか、1つも傷は負っていないーー焦っている様子はない。
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「はい。まあ、山や海を始めとした自然では人間が多く命を落としているので、魂が漂っていること自体は珍しくないでやんす。問題は、漂っている魂の全てが、凄まじい怨念を抱いていることでして」
「怨念・・・・。狂骨、ではないか。この山に水脈はあるが井戸はないはずだ」
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怨念か、と一樹様がつぶやいた。人間に思いを寄せられる彼にとっては、少し思うところはあるだろう。だが、仮に今回の事件が怨念によるものだとした場合、なぜそんなことをしたのかが気になる。人間の体を乗っ取って山を出ようとしたとも考えられるが、1人の体に収まるとは思えない。
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一瞥を向けられたので、私はすぐさま応じた。
「賢三様は出立の前に、秋子へこの山のことを調べるよう頼んでおります。そう時間を置かずに情報が来るかと」
「そうか。やっぱり賢三は根回しがいいな」
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やがて、視界の先に館が見えてくると、響は踵を返しながら言った。
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