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7つ館に罪禍は宿る 〜竹一族の記憶(四)〜
十二
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「一矢で5つくらいは除霊できたが、まだまだだな。少しずつやっていたらキリがない」
思ったままのことを報告すると、賢三はわかっていたかのように頷いた。相変わらず、うちの弟は頭が良すぎる。
「本星を引き摺り出すには、それ以外を全て祓うしかない。誘い出した方が早いだろうね」
「確かにそうだな。1箇所に集めてしまえば、鋼の力も借りて祓える。お札を使うか?」
「それも必要だけどーー響」
窓の外から話を聞いていた響は、名前を呼ばれて顔を上げた。変わらず犬のような姿だが、見たままに受け止める相手じゃない。
「一時的に山を乗っ取ることは?」
「大きく出られたでやんすねえ。まあ、1分くらいならできるでやんすよ。確実に祓うことが条件にはなりますけど」
「逃すつもりはないよ。それに、兄さんと鋼なら1分あれば十分だ。でしょ?」
鋼は俺と同時に頷いた。本当、賢三はいい右腕を見つけたものだ。おかげで、俺の除霊の負担まで自然と減る。
「それにしても、一体亡者は何者なんだろうな。七つの大罪ってことは、キリスト教だろう? それに関連する魂か?」
「可能性は高いけど、そうだとしたら殉教したキリシタンかな。ただ、揃った足音が気になる。軍隊のように足並みの揃った足音だから、いわば行進のようなものだ。そう考えると、普通じゃないし・・・・」
その時、賢三のスマートフォンが振動した。揃って画面を覗き込むと、秋子からの電話だった。
『鋼と一樹もそこにいるかい?』
「いるよ。響も一緒」
電話の向こうで息を呑む音が聞こえた。やはり、秋子にも響は。
『まあ、仲間が多いに越したことはないね。
調査の結果、その山では、戦国時代に多くの落武者が命を落としたらしい。ただ、歴史に名前を残すほど大きな戦じゃなかったらしいから、大名の名前はわからない。わかるのは、大勢がそこで凄惨な死を遂げたってことと、当時は少なかったキリシタンだったってことだけ』
「キリシタン・・・・。ああ、だから七つの大罪」
『え?』
聞き返した秋子に賢三は事情を説明した。2人の死人が出たこと、七つの大罪に則って殺害されたこと、お札を貼ったが人為的に破られ、危険が増したことから一刻も早く祓う必要があること・・・・、全てを聞き終えた秋子は、小さくため息をついた。
『思ったより面倒なことになってるようだね。それ以上の面倒が起こらないことを祈ってるよ。あたしにできるのは、ここまでだ』
「十分だよ、ありがとう」
お礼を言った賢三が電話を切ろうとすると、少し慌てた秋子の声が返って来る。
『ああ、ちょっと待って。もう1つ、話しておかなきゃならないことがある』
俺たちは揃って眉を顰めた。嫌な予感がしたからだ。
しかしその時、現場の捜査を終えたらしい刑事たちが俺を手招きした。事情を説明するなら俺の役目だと、父さんが伝えていたのだろう。俺は仕方なくその場を辞し、刑事たちの元へ走った。
「ごめん。兄さんには後で伝えるから、詳しく教えて」
『詳しくというか、言ってしまえば一言で済むことだよ。実はーー』
秋子の発言を聞いた瞬間、賢三様の顔から感情が消えた。ゾッとするほど冷たい視線と表情が、底知れない苛立ちと怒りを物語っていた。
「・・・・へえ。そういうことだったんだ」
『怖い声だね。伸しておこうか?』
「いや、僕がやるよ。君に手を汚させる気はない。報告ありがとう」
先ほどと雲泥の差がある声音に、私たちはそれ以上何も言わなかった。
思ったままのことを報告すると、賢三はわかっていたかのように頷いた。相変わらず、うちの弟は頭が良すぎる。
「本星を引き摺り出すには、それ以外を全て祓うしかない。誘い出した方が早いだろうね」
「確かにそうだな。1箇所に集めてしまえば、鋼の力も借りて祓える。お札を使うか?」
「それも必要だけどーー響」
窓の外から話を聞いていた響は、名前を呼ばれて顔を上げた。変わらず犬のような姿だが、見たままに受け止める相手じゃない。
「一時的に山を乗っ取ることは?」
「大きく出られたでやんすねえ。まあ、1分くらいならできるでやんすよ。確実に祓うことが条件にはなりますけど」
「逃すつもりはないよ。それに、兄さんと鋼なら1分あれば十分だ。でしょ?」
鋼は俺と同時に頷いた。本当、賢三はいい右腕を見つけたものだ。おかげで、俺の除霊の負担まで自然と減る。
「それにしても、一体亡者は何者なんだろうな。七つの大罪ってことは、キリスト教だろう? それに関連する魂か?」
「可能性は高いけど、そうだとしたら殉教したキリシタンかな。ただ、揃った足音が気になる。軍隊のように足並みの揃った足音だから、いわば行進のようなものだ。そう考えると、普通じゃないし・・・・」
その時、賢三のスマートフォンが振動した。揃って画面を覗き込むと、秋子からの電話だった。
『鋼と一樹もそこにいるかい?』
「いるよ。響も一緒」
電話の向こうで息を呑む音が聞こえた。やはり、秋子にも響は。
『まあ、仲間が多いに越したことはないね。
調査の結果、その山では、戦国時代に多くの落武者が命を落としたらしい。ただ、歴史に名前を残すほど大きな戦じゃなかったらしいから、大名の名前はわからない。わかるのは、大勢がそこで凄惨な死を遂げたってことと、当時は少なかったキリシタンだったってことだけ』
「キリシタン・・・・。ああ、だから七つの大罪」
『え?』
聞き返した秋子に賢三は事情を説明した。2人の死人が出たこと、七つの大罪に則って殺害されたこと、お札を貼ったが人為的に破られ、危険が増したことから一刻も早く祓う必要があること・・・・、全てを聞き終えた秋子は、小さくため息をついた。
『思ったより面倒なことになってるようだね。それ以上の面倒が起こらないことを祈ってるよ。あたしにできるのは、ここまでだ』
「十分だよ、ありがとう」
お礼を言った賢三が電話を切ろうとすると、少し慌てた秋子の声が返って来る。
『ああ、ちょっと待って。もう1つ、話しておかなきゃならないことがある』
俺たちは揃って眉を顰めた。嫌な予感がしたからだ。
しかしその時、現場の捜査を終えたらしい刑事たちが俺を手招きした。事情を説明するなら俺の役目だと、父さんが伝えていたのだろう。俺は仕方なくその場を辞し、刑事たちの元へ走った。
「ごめん。兄さんには後で伝えるから、詳しく教えて」
『詳しくというか、言ってしまえば一言で済むことだよ。実はーー』
秋子の発言を聞いた瞬間、賢三様の顔から感情が消えた。ゾッとするほど冷たい視線と表情が、底知れない苛立ちと怒りを物語っていた。
「・・・・へえ。そういうことだったんだ」
『怖い声だね。伸しておこうか?』
「いや、僕がやるよ。君に手を汚させる気はない。報告ありがとう」
先ほどと雲泥の差がある声音に、私たちはそれ以上何も言わなかった。
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