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償い煙は3本と少し 〜竹一族の記憶(六)〜
三
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弟ができて嬉しかった。末っ子だった僕も、兄になれたことが嬉しかった。だけど、
「“零の力”を持っていないだと? 役立たずめ。わざわざ子供を増やした意味がない」
子供を道具としてか見ない清二とかいう老獪は、父と同じ力を持たなかった弟に、そう吐き捨てた。弟に聞こえていないことを祈りながら僕は弟を抱きしめ、怒りを露わにする父の背後に隠れた。
弟が生まれ、奏子さんの覚悟を知った父は、以前よりも鋭い視線で清二を睨んだ。
「何を今更くだらないことを。“零の力”が親から子へ遺伝する確率が低いことくらい、あなたは知っているでしょう。私だって祖父からの覚醒遺伝だったんですから」
「言い訳はいい。とにかく、赤子に何の力もないなんてことになってみろ。お前が何を言おうと家から叩き出してやる」
ーー横暴。わずか5歳の僕の頭の中にも、その言葉が浮かんだ。父は清二が去ると申し訳なさそうな笑みを浮かべて弟の顔を覗き込み、続けて僕を見ながら、すまない、とつぶやいた。
「遊びを邪魔するようなことをしてしまったな」
「父さんが謝ることじゃないよ。・・・・ねえ、四郎、追い出されちゃうの?」
「まさか。そんなことはさせないさ。この子は必ず守る。奏子が命をかけて産んでくれたんだから」
父は奏子さんに恋も愛も抱いていなかった。強いて言うなら、尊敬と友愛、だろうか。恋をしていた奏子さんには気の毒な話だけれど、母がいるから仕方がない。
「・・・・奏子さんは、何で死んじゃったの? 体が弱いわけでも病気をしていたわけでもない・・・・出産で?」
僕の質問に、父は本当に賢いな、と言いながら頭を撫でた。だけど、父は答えを教えてくれなかった。
先日、鋼は四音のために清二が奏子さんを呪い殺したことを伝えたけれど、当時はーー赤子の四音と奏子さんの三味線を屋敷に届けに来た時はーー当人がいることを理由に、話さなかった。だからこそ、当時の僕は不思議に思った。
「どれでもない。だが、本当のことは言えない。言ってしまえば、賢三は自分の力を恨んでしまうかもしれないから」
今思えば、なぜ父の言葉を信じられなかったのだろう、と首を傾げてしまう。だけど当時は、父がまた何か隠しているのだと、清二に言われたのだと、勝手な想像を膨らませた。何とも滑稽な話だ。
何にせよ、僕は兄姉よりも「何で?」の数が多い子供だったので、無茶だとも考えずに、奏子さんの死因を探ることを決意した。
その決意が、最悪を知ることになるとは、知らずに。
「“零の力”を持っていないだと? 役立たずめ。わざわざ子供を増やした意味がない」
子供を道具としてか見ない清二とかいう老獪は、父と同じ力を持たなかった弟に、そう吐き捨てた。弟に聞こえていないことを祈りながら僕は弟を抱きしめ、怒りを露わにする父の背後に隠れた。
弟が生まれ、奏子さんの覚悟を知った父は、以前よりも鋭い視線で清二を睨んだ。
「何を今更くだらないことを。“零の力”が親から子へ遺伝する確率が低いことくらい、あなたは知っているでしょう。私だって祖父からの覚醒遺伝だったんですから」
「言い訳はいい。とにかく、赤子に何の力もないなんてことになってみろ。お前が何を言おうと家から叩き出してやる」
ーー横暴。わずか5歳の僕の頭の中にも、その言葉が浮かんだ。父は清二が去ると申し訳なさそうな笑みを浮かべて弟の顔を覗き込み、続けて僕を見ながら、すまない、とつぶやいた。
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「まさか。そんなことはさせないさ。この子は必ず守る。奏子が命をかけて産んでくれたんだから」
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「・・・・奏子さんは、何で死んじゃったの? 体が弱いわけでも病気をしていたわけでもない・・・・出産で?」
僕の質問に、父は本当に賢いな、と言いながら頭を撫でた。だけど、父は答えを教えてくれなかった。
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