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Case58.幽霊屋敷で出会った男⑥
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その話を聞いた時、驚かざるを得なかった。いくら必要ぬこととは言え、あまりに大胆が過ぎる行動だったからだ。
簡単にバレるじゃないか。
そう思ったし、お2人も後から漏らしていた。犯人も理解しているはずだった。それでも、無茶な行動に及んだ。
バレると分かっていながらも、行動を起こして、人の命を奪う。私には、到底理解できなかったし、したくなかった。
ーカイリ『幽霊屋敷で出会った男』第6章ー
※
「小夜さんが・・・⁉︎」
海里は咄嗟にスマートフォンを取り出し、電話帳にある小夜の名前を押した。
『今度はあなた? 言うべきことは全部玲央に話したわ。これ以上、何が聞きたいの?』
気怠げと苛立ちが混ざるな声だったが、海里は構わず尋ねた。
「・・・・本当ですか?」
『え?』
「立石香織さんがあなたの家にいたことが、本当かと聞いているんです」
電話の向こうで深い溜息が聞こえた。小夜は、先ほどよりも苛立ちを募らせながら答える。
『仮に私が嘘をついて、何かメリットがあるの? 私は、自分の両親と叔父を貶めたけど、それは与えられるべき罰を与えるため。何の情もない、血も繋がっていない義理の従妹のために、嘘をつくなんてことはしないわ』
血が繋がっていないとはどういうことなのか。聞きたかったが、苛立ちに気押されて海里は聞けなかった。家や上流階級の面倒ごとに、もう関わりたくないという、強い意志が滲んでいた。
海里が何か言おうと口を開くと、彼女は声を大にして言った。
『江本さん。私は、確かに頭が良いと言われて来たわ。父親譲りの頭脳で、天才だとね。でも、私はそれを得だと思ったことは1度もない。寧ろ最悪。上流階級の人間たちが、都合よく生きるためだけに利用され続ける頭脳なんて、無い方がマシだと何度思ったことか』
過去に何があったのか。そんなことは聞かずとも分かった。家を嫌っていた小夜が、拒めなかった理由も。
小夜は続ける。
『私は、あなたのように嬉々として事件には挑まないし、事件の話なんて聞きたくないし、推理もしたくない。それが分かったら、必要以上に関わらないで』
※
その頃、玲央は立石晋一の住む別宅に到着していた。かなりの獣道で、車で登れる所ではなかったので、彼は山の中腹に駐車をし、別宅に向かっていた。
こんな所に人が? 俺でも登るのがしんどいのに、高齢者がこんな山を登っているのか? 何だか、妙だな。
10分ほど山道を登ると別宅が現れた。本宅とは違い、全てが木で作られたログハウス。巨大だが、どこか古ぼけており、周囲の木々は手入れが行き届いていないのか、雑草が茂り、花も枯れていた。植木鉢は割れ、物置も錆びている。とても資産家の別宅とは思えないみすぼらしさだった。
不思議に思いながらも玲央は玄関へ行き、インターホンを鳴らした。
「ごめんください。警察です。立石晋一さん、いらっしゃいますか」
返事はなかった。ドアノブに手をかけた彼は、鍵が開いていることに気がつく。嫌な予感がして、もう1度インターホンを鳴らした。
「やっぱり返事がない。入ってみるしかないか」
玲央は扉を開け、ゆっくりと中に入った。物音はせず、明かりもついていない。少し歩くスピードを早めて玄関を通り過ぎ、1階にある大部屋ーー恐らくリビングーーに入った。スマートフォンの明かりで部屋を照らしたが、そこには誰もいなかった。カーテンも閉められており、日光がわずかに差し込んでいる。
「1階には誰もいない・・・となると、2階かな」
先に庭にいるかどうかを確認しようとカーテンを開けたが、やはり誰もいなかった。玲央は仕方なく玄関まで戻り、玄関扉の左手にある階段を登った。
2階の部屋を隈なく探したが、やはり人の気配はなかった。
「本当に誰もいない・・・人が住んでいないのか? いや、でも・・・・」
「誰だ!」
もう一度降りようかと考えていると、背後から怒鳴り声が聞こえた。同時に別宅の電気が付き、背後に立っていた人物の姿が顕になる。年をとった男が1人、立っていた。
玲央は愛想笑いを浮かべて口を開く。
「突然申し訳ありません。警視庁の者です。インターホンを押しても返事がなかったので、何か事件に巻き込まれているのかと思いまして、鍵が空いていたので入らせて頂きました」
不機嫌な顔をしていた男だったが、玲央の言葉に納得したのか、柔らかい声を出す。
「ああ・・少し森に行っていたんだ。玄関は、閉め忘れていたみたいだね」
「そうだったんですね。早とちりしてしまい、大変申し訳ありません」
「いえいえ。ああ・・・自己紹介がまだでしたね。私が、立石家先代当主・立石晋一です。まあ実際は、死んだ妻が家を盛り立てていたんですが」
落ち着いた雰囲気のある、優しげな老人だった。足腰がしっかりしているのか杖も付かず、顔のしわも決して深くない。前髪が長く両目はほとんど隠れており、口元にある豊かな白い髭が、電灯に照らされて眩かった。
「あなたが・・・あ、申し遅れました。警視庁捜査一課の東堂玲央です」
玲央は警察手帳を見せながらそう言った。晋一は優しく微笑み、「どうぞおかけ下さい」と言って2階の一室にあるソファーを指し示した。
「わざわざありがとうございます。少しお話ししたいことがあるのですが、お時間、大丈夫ですか?」
座って尋ねると、晋一も正面に座り、鷹揚に頷いた。
「構いませんよ」
「ありがとうございます。
ではまず・・・お孫さんの正さんが亡くなったはご存知ですか?」
「はい・・・。文雄から連絡がありました」
晋一は俯き、軽く目を閉じた。玲央は悔やみの言葉を口にし、続ける。
「我々警察は、今回の事件を殺人事件として捜査しています。そして、ご家族の中の誰かが犯人であると、ほぼ確信しています」
玲央の言葉に晋一は目を開け、重々しく頷いた。
「・・・・そうですか。つまり、事情聴取にお越しになったと」
「はい」
「正直なお方だ。しかし不思議ですね。私がここに住んでいることは、あまり知られていない。文雄たちが話しましたか?」
「とあるお方からの情報提供です。名前は伏せますが」
晋一は笑った。彼は、情報提供者が小夜であることを見抜いているのだ。当然、玲央も分かっていたが、構わず続けた。
「正さんの死因などはお聞きしていると思いますので、少し話を変えます」
「どうぞ」
「1年前、奥方である立石鈴香さんが亡くなられましたね。その時の様子について、お伺いしたいのですが」
その言葉に、晋一は笑みを消した。彼はどこか芝居がかった悲しげな表情を浮かべる。
「お話しすることなど限られていますよ。妻は、老衰で呆気なく逝ってしまった。ただそれだけです」
「では、鈴香さんが娘である風香さんに殺されたという噂は知っていますか?」
沈黙が流れた。しばらくして、晋一の笑い声が聞こえる。肩を揺らし、終いには腹を抱えて笑った。
玲央は、何も言わずに言葉を待った。
「面白い噂ですね。娘が妻を・・・? 確かに不仲でしたが、殺人などできはしませんよ。仮にできたとしてもーー後処理をするのは無理でしょう」
“後処理”。その言葉に、玲央の胸が騒いだ。まさかと思い、眉を顰める。
晋一はふっと笑った。
「そう怖い顔をしないでください。あくまで例え話ですよ。まあ、真実だった場合・・・・共犯者が現れるかもしれませんが」
そう言った晋一は、不気味な笑みを浮かべていた。玲央は落ち着いて尋ねる。
「何か知っているんですか? 鈴香さんが亡くなった件について」
「いいえ? 何も。私は、自分の意見を述べただけです」
すると突然、晋一はゆっくりと立ち上がった。隣の部屋に行き、何かを探し出すような音が聞こえた後、布に包んだ何かを持って戻ってくる。
「昨日、本宅に立ち寄ったら、面白いものを見つけまして」
そう言いながら、晋一は机に置いた物体の布を取った。
布に包まれていたのは拳銃だった。綺麗に磨かれており、錆びているようには見えない。銃弾も装填されているようだった。玲央は銀色に光る拳銃を見つめつつ、呟く。
「物置に置いてあったんですね」
「よくご存知で。調べられましたか?」
「少し。しかし、なぜこんな物を私に?」
晋一は玲央の質問には答えず、黙って拳銃を手に取った。迷うことなくセーフティを解除し、玲央に銃口を向ける。彼は微かに眉を動かしたが、身動きはしなかった。
全く動じない玲央を見据えつつ、晋一は口を開く。
「生憎、使える物がこれしかなかったんですよ。邪魔者を消す便利な道具がね。本当はナイフが良かったのですが、全て錆びてしまっていて」
玲央はしばらく沈黙を貫き、やがて小声で尋ねた。
「・・・・俺を殺してどうしたいの?」
「今言った通りです。邪魔者を殺す。素性の知れぬ探偵と、警察と、除霊師。全員を。そして、それら全てを霊がやったことにすればいい。そうすれば、この事件は終わる」
その言葉を聞いた瞬間、玲央は目を見開いた。自分たちを殺すという宣言ではなく、晋一が犯した、1つの“ミス”に気がついたのだ。それに気がついた瞬間、玲央は思わず笑みをこぼした。不審に思った晋一は、当然ながら眉を顰めた。
「何を笑っている?」
「笑いたくもなるよ。こんな巧妙な手を使うなんてね」
「巧妙な手? 何のことだ? 私はお前を殺すだけだ。くだらぬ希望は捨てろ」
玲央は笑みを崩さなかった。彼の顔には、いつも通りの優しげでありながら、どこか怪しい笑みがあった。彼は晋一を見据えたまま、言葉を続ける。
「君がここまで凶暴な人間とは思わなかったよ。本当、第一印象なんて当てにならないね。
君は家族を支配下に置くために殺人を犯したんだ。そうだろう? 立石晋一・・・・いや、立石文雄」
簡単にバレるじゃないか。
そう思ったし、お2人も後から漏らしていた。犯人も理解しているはずだった。それでも、無茶な行動に及んだ。
バレると分かっていながらも、行動を起こして、人の命を奪う。私には、到底理解できなかったし、したくなかった。
ーカイリ『幽霊屋敷で出会った男』第6章ー
※
「小夜さんが・・・⁉︎」
海里は咄嗟にスマートフォンを取り出し、電話帳にある小夜の名前を押した。
『今度はあなた? 言うべきことは全部玲央に話したわ。これ以上、何が聞きたいの?』
気怠げと苛立ちが混ざるな声だったが、海里は構わず尋ねた。
「・・・・本当ですか?」
『え?』
「立石香織さんがあなたの家にいたことが、本当かと聞いているんです」
電話の向こうで深い溜息が聞こえた。小夜は、先ほどよりも苛立ちを募らせながら答える。
『仮に私が嘘をついて、何かメリットがあるの? 私は、自分の両親と叔父を貶めたけど、それは与えられるべき罰を与えるため。何の情もない、血も繋がっていない義理の従妹のために、嘘をつくなんてことはしないわ』
血が繋がっていないとはどういうことなのか。聞きたかったが、苛立ちに気押されて海里は聞けなかった。家や上流階級の面倒ごとに、もう関わりたくないという、強い意志が滲んでいた。
海里が何か言おうと口を開くと、彼女は声を大にして言った。
『江本さん。私は、確かに頭が良いと言われて来たわ。父親譲りの頭脳で、天才だとね。でも、私はそれを得だと思ったことは1度もない。寧ろ最悪。上流階級の人間たちが、都合よく生きるためだけに利用され続ける頭脳なんて、無い方がマシだと何度思ったことか』
過去に何があったのか。そんなことは聞かずとも分かった。家を嫌っていた小夜が、拒めなかった理由も。
小夜は続ける。
『私は、あなたのように嬉々として事件には挑まないし、事件の話なんて聞きたくないし、推理もしたくない。それが分かったら、必要以上に関わらないで』
※
その頃、玲央は立石晋一の住む別宅に到着していた。かなりの獣道で、車で登れる所ではなかったので、彼は山の中腹に駐車をし、別宅に向かっていた。
こんな所に人が? 俺でも登るのがしんどいのに、高齢者がこんな山を登っているのか? 何だか、妙だな。
10分ほど山道を登ると別宅が現れた。本宅とは違い、全てが木で作られたログハウス。巨大だが、どこか古ぼけており、周囲の木々は手入れが行き届いていないのか、雑草が茂り、花も枯れていた。植木鉢は割れ、物置も錆びている。とても資産家の別宅とは思えないみすぼらしさだった。
不思議に思いながらも玲央は玄関へ行き、インターホンを鳴らした。
「ごめんください。警察です。立石晋一さん、いらっしゃいますか」
返事はなかった。ドアノブに手をかけた彼は、鍵が開いていることに気がつく。嫌な予感がして、もう1度インターホンを鳴らした。
「やっぱり返事がない。入ってみるしかないか」
玲央は扉を開け、ゆっくりと中に入った。物音はせず、明かりもついていない。少し歩くスピードを早めて玄関を通り過ぎ、1階にある大部屋ーー恐らくリビングーーに入った。スマートフォンの明かりで部屋を照らしたが、そこには誰もいなかった。カーテンも閉められており、日光がわずかに差し込んでいる。
「1階には誰もいない・・・となると、2階かな」
先に庭にいるかどうかを確認しようとカーテンを開けたが、やはり誰もいなかった。玲央は仕方なく玄関まで戻り、玄関扉の左手にある階段を登った。
2階の部屋を隈なく探したが、やはり人の気配はなかった。
「本当に誰もいない・・・人が住んでいないのか? いや、でも・・・・」
「誰だ!」
もう一度降りようかと考えていると、背後から怒鳴り声が聞こえた。同時に別宅の電気が付き、背後に立っていた人物の姿が顕になる。年をとった男が1人、立っていた。
玲央は愛想笑いを浮かべて口を開く。
「突然申し訳ありません。警視庁の者です。インターホンを押しても返事がなかったので、何か事件に巻き込まれているのかと思いまして、鍵が空いていたので入らせて頂きました」
不機嫌な顔をしていた男だったが、玲央の言葉に納得したのか、柔らかい声を出す。
「ああ・・少し森に行っていたんだ。玄関は、閉め忘れていたみたいだね」
「そうだったんですね。早とちりしてしまい、大変申し訳ありません」
「いえいえ。ああ・・・自己紹介がまだでしたね。私が、立石家先代当主・立石晋一です。まあ実際は、死んだ妻が家を盛り立てていたんですが」
落ち着いた雰囲気のある、優しげな老人だった。足腰がしっかりしているのか杖も付かず、顔のしわも決して深くない。前髪が長く両目はほとんど隠れており、口元にある豊かな白い髭が、電灯に照らされて眩かった。
「あなたが・・・あ、申し遅れました。警視庁捜査一課の東堂玲央です」
玲央は警察手帳を見せながらそう言った。晋一は優しく微笑み、「どうぞおかけ下さい」と言って2階の一室にあるソファーを指し示した。
「わざわざありがとうございます。少しお話ししたいことがあるのですが、お時間、大丈夫ですか?」
座って尋ねると、晋一も正面に座り、鷹揚に頷いた。
「構いませんよ」
「ありがとうございます。
ではまず・・・お孫さんの正さんが亡くなったはご存知ですか?」
「はい・・・。文雄から連絡がありました」
晋一は俯き、軽く目を閉じた。玲央は悔やみの言葉を口にし、続ける。
「我々警察は、今回の事件を殺人事件として捜査しています。そして、ご家族の中の誰かが犯人であると、ほぼ確信しています」
玲央の言葉に晋一は目を開け、重々しく頷いた。
「・・・・そうですか。つまり、事情聴取にお越しになったと」
「はい」
「正直なお方だ。しかし不思議ですね。私がここに住んでいることは、あまり知られていない。文雄たちが話しましたか?」
「とあるお方からの情報提供です。名前は伏せますが」
晋一は笑った。彼は、情報提供者が小夜であることを見抜いているのだ。当然、玲央も分かっていたが、構わず続けた。
「正さんの死因などはお聞きしていると思いますので、少し話を変えます」
「どうぞ」
「1年前、奥方である立石鈴香さんが亡くなられましたね。その時の様子について、お伺いしたいのですが」
その言葉に、晋一は笑みを消した。彼はどこか芝居がかった悲しげな表情を浮かべる。
「お話しすることなど限られていますよ。妻は、老衰で呆気なく逝ってしまった。ただそれだけです」
「では、鈴香さんが娘である風香さんに殺されたという噂は知っていますか?」
沈黙が流れた。しばらくして、晋一の笑い声が聞こえる。肩を揺らし、終いには腹を抱えて笑った。
玲央は、何も言わずに言葉を待った。
「面白い噂ですね。娘が妻を・・・? 確かに不仲でしたが、殺人などできはしませんよ。仮にできたとしてもーー後処理をするのは無理でしょう」
“後処理”。その言葉に、玲央の胸が騒いだ。まさかと思い、眉を顰める。
晋一はふっと笑った。
「そう怖い顔をしないでください。あくまで例え話ですよ。まあ、真実だった場合・・・・共犯者が現れるかもしれませんが」
そう言った晋一は、不気味な笑みを浮かべていた。玲央は落ち着いて尋ねる。
「何か知っているんですか? 鈴香さんが亡くなった件について」
「いいえ? 何も。私は、自分の意見を述べただけです」
すると突然、晋一はゆっくりと立ち上がった。隣の部屋に行き、何かを探し出すような音が聞こえた後、布に包んだ何かを持って戻ってくる。
「昨日、本宅に立ち寄ったら、面白いものを見つけまして」
そう言いながら、晋一は机に置いた物体の布を取った。
布に包まれていたのは拳銃だった。綺麗に磨かれており、錆びているようには見えない。銃弾も装填されているようだった。玲央は銀色に光る拳銃を見つめつつ、呟く。
「物置に置いてあったんですね」
「よくご存知で。調べられましたか?」
「少し。しかし、なぜこんな物を私に?」
晋一は玲央の質問には答えず、黙って拳銃を手に取った。迷うことなくセーフティを解除し、玲央に銃口を向ける。彼は微かに眉を動かしたが、身動きはしなかった。
全く動じない玲央を見据えつつ、晋一は口を開く。
「生憎、使える物がこれしかなかったんですよ。邪魔者を消す便利な道具がね。本当はナイフが良かったのですが、全て錆びてしまっていて」
玲央はしばらく沈黙を貫き、やがて小声で尋ねた。
「・・・・俺を殺してどうしたいの?」
「今言った通りです。邪魔者を殺す。素性の知れぬ探偵と、警察と、除霊師。全員を。そして、それら全てを霊がやったことにすればいい。そうすれば、この事件は終わる」
その言葉を聞いた瞬間、玲央は目を見開いた。自分たちを殺すという宣言ではなく、晋一が犯した、1つの“ミス”に気がついたのだ。それに気がついた瞬間、玲央は思わず笑みをこぼした。不審に思った晋一は、当然ながら眉を顰めた。
「何を笑っている?」
「笑いたくもなるよ。こんな巧妙な手を使うなんてね」
「巧妙な手? 何のことだ? 私はお前を殺すだけだ。くだらぬ希望は捨てろ」
玲央は笑みを崩さなかった。彼の顔には、いつも通りの優しげでありながら、どこか怪しい笑みがあった。彼は晋一を見据えたまま、言葉を続ける。
「君がここまで凶暴な人間とは思わなかったよ。本当、第一印象なんて当てにならないね。
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