逃れられぬ男は非道な気体に蝕まれる

五月雨時雨

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逃れられぬ男は非道な気体に蝕まれる

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浴室に充満していた気体が、船の客室に設置されている物とは思えない轟音を立て始めた排気口によって吸い出されていく。
だが、男の状況は変わらない。自身の呼吸を通して体内に入り込んだ気体のせいで全身の自由を大きく削ぎ落とされた男はもう、浴室内の空気を異物の混ざっていない物に置き換えられても床に裸体を転がし続けることしか出来ない。
異常な気体の注入が開始されると同時に自動で施錠された扉の向こうから話し声が聞こえ始め、解錠を行われる音が耳に届いても逃れられぬ男は裸体を絶望に震わせる程度の反応しか示せなくて、自分を罠に嵌め一切の抵抗を封じた男達に浴室へと踏み込まれた男は間抜けに床に横たわる姿を嘲笑われながら、敵の思い通りに捕らわれてしまった事実を嫌でも思い知らせる言葉を容赦無く浴びせられてしまった。

「捜査員さん、今の気分はどうだい? 俺達と同じように愉しんでくれてるかい?」
「愉しくない訳無いよなぁ? いつの間にか正体暴かれて、まんまと薬嗅がされて何されても逆らえなくさせられたんだから……最高に愉快に決まってるよなぁ? 無様な捜査員さん」
「うぁ、く、あぁぁ……」

全く命令を受け付けなくなった裸体を好き勝手にまさぐりながら、捜査員を無力化した悪の男達は口々に屈辱と恥辱を戦慄と共に煽る言葉を嬉々としてぶつけていく。
無防備にさらけ出された乳首や男根をからかうように揉まれても意味を成さぬ呻きを漏らすことしか叶わなくなった捜査員を取り囲んで堪能しながら、悪達は本当に薬品の効果が発揮されているかの確認を入念に行っていく。
そして、改めて捜査員が何をされても拒めない状態となった事実を把握した悪の男達は、仮に薬品が肉体から抜けきっても危機から抜け出せなくさせる為に、加えて捜査員を一層惨めで滑稽な姿へと追いやる為に、持参した道具で上乗せの拘束を裸体全体へと纏わせ出した。
それは、透明なラップと黒色の粘着テープを使った拘束。鼻の穴以外を隙間無く覆い尽くし、捜査員を見ることもしゃべることも許さない暗闇へと閉じ込める厳重な拘束だ。

「今でさえ愉しいけど、本当に愉しくなるのはここからだぜ。捜査員さん?」
「や、や……め……」
「はい両腕はこっち、足も揃えような」

捜査員が紡いだ弱々しい制止を無視して、悪の男達は裸体をラップでぐるぐると縛り上げていく。これだけでも、捜査員は左右の足をきっちりと揃え両腕を胴体に沿わせた気を付けの姿勢から離れられない。頭部を包み込むラップに抑え込まれた目と口は開くことさえ認められない。
そんな透明な檻の上から、悪達は黒色の檻を躊躇い無く付け足していく。ラップよりも強度の高いガムテープで裸体を執拗に取り囲み、肉体の自由を取り戻せたとしても床の上でのたうち回る以外の行動を取れない状況を、まぶた越しに感じる光すら奪われた頭部を力無く揺らしながら鼻を鳴らすことしか出来ない状況を悪達は捕獲した捜査員に対して生み出していく。

「んぐ、むぐぅ……うっ、んー……」

浴室の床に先程とは比べ物にならないくらいの情けない姿で仰向けに転がり、未だ薬品の残る身体で虚しくラップとテープを軋ませる。そんな捜査員をしばし眺めて悦に浸った悪達は、二重の檻に遮られていてもはっきりと聞こえるよう張った声で捜査員に追い打ちの地獄を教えつつ、浴室の扉を再び閉じ施錠を手早く済ませてしまった。

「そんじゃ捜査員さん、アンタが調べようとしてたオークションが始まるまでじっくりと……媚薬ガスを愉しんでてくれ」
「調査しようとしてたオークションを自ら商品になる形で調べられるなんて、自分を慰めることも出来ない形で発情させられたまま出品されるなんて、幸せすぎるねぇ。こんな幸せをくれる俺達に感謝しながら、寂しいだろうけど一人で媚薬を堪能しててくれよ?」
「んむっ? むっ……!」

薬品の痺れと拘束でまともな発言を行えない口で放たれる哀願が届く前に扉を閉めた悪達は、防音性の高い素材に阻まれたみっともない唸り声を想像しつつ捜査員が潜り込もうとしていたオークションに向けてリモコンを操作し、逃げ場の無い浴室内に熱の逃げ場を遮られた格好で置き去りにされた捜査員を淫猥に狂わせる媚薬ガスを流し込んでいくのだった。
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