男は偽りの慈悲を告げて扉へと歩み寄る

五月雨時雨

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男は偽りの慈悲を告げて扉へと歩み寄る

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床と一体化している靴のような形状をした金属製の器具を履かされ、輪状の金属で左右の足のすねと膝と太ももの部分を遊び無く一つに括られた男達はもう、歩いての移動以前にその場から離れることすらも許されない。背中側で手の甲同士を密着させた状態で左右の五本の指同士を金属の器具によって繋がれ、手首と肘と二の腕も同じように結合されてしまった男達はもはや、腹部から胸部にかけてを支えるテーブル状の器具から胴体を持ち上げることさえも認められず、正面で同じ拘束を加えられた仲間と仲良くくわえさせられた金属製の短い筒を口から追い出すことも叶わない。
床から伸びた人間の自由を奪う為だけに作られた器具に衣服を剥ぎ取られた裸体を厳重に縛められた男達は、左右の足をピンと伸ばし上半身を床と平行になるよう直角に曲げさせられた不自然な体勢からどうやっても抜け出せない。噛まされた筒を通して仲間の口に言葉にならぬ唸りを流し込み、唯一思い通りに使える目で危機と焦りを共有しながら全身を取り囲む金属からの脱出を試みても、指一本さえ満足に動かせない哀れな二人は敵の手に堕ちた事実を思い知らされお互いの絶望を掻き立て合うことしか出来ない。
手も、足も、言葉すらも制限された無様な男達は、自分と仲間を助けの望めぬ地下室の中央に設置した醜悪な男に一切の反応を為す術無く嘲笑われながら、淫猥な悶絶を酒の肴として消費されるだけの惨め極まりない娯楽でしか無いのだ。

「おぅ、あぉ、あぐ、えおぉ」
「はぐ、へぅ、んぉ、あぶぉっ」

涙に濡れた目を痛々しく見開きながら、男達は筒を通して繋がれた閉じられぬ口から甘くくぐもった悲鳴を休み無く漏らし続ける。
自分達がみっともなく声を漏らす様を一人用ソファーにゆったりと腰掛け好みのウィスキーが注がれたグラスを傾けつつ真横から堪能する憎い男に対する怒りを呼び起こす余裕さえ削ぎ落とされた二人の男は、無防備に露出された尻穴を狙い撃つ形で後から用意された男根を模した張型の前後運動に合わせて淫らな喘ぎを仲間の口に注ぎ、乱れた鼻息で仲間の顔面を緩くくすぐり続けている。
だが、男達はそんな意に染まぬ悦楽に身を委ねることさえ禁じられている。背後に置かれた巨大な箱型の機械から伸びた金属の棒の先にある張型は、二人の腸内を奥深くまで掘削しながらも絶対に射精へと繋がるとどめの快感を作り出してはくれない。緩慢な出し入れで尻穴を焦らすだけ焦らして絶頂には決して至らせてくれない。
イかされたくないと抗っていた思考を塗り潰す程のイきたいに理性を蝕まれながら、男達は痙攣さえも満足に行えない裸体をガクガクと跳ねさせる。敵である男の視線が寄せられてくる方向に哀願の意思を放つことも出来ないまま、男達は目の前で同じ地獄に狂わされている仲間と一緒に、絶頂への渇望を際限無く加速させていく。

「うぉ、あおぉ……ほご、むぁうぅ」
「ふぅ、ふぼっ、ご、はぎゅ、へおぉんっ」

誰かイかせて。お尻をもっとほじくり回して。
意味のある言葉が無くとも判別可能な懇願を汗と淫液に塗れた裸体全体と、一生懸命に脈動する硬く膨張した男根で表わす男達を愉しみ続けた冷酷な男は、空となったウィスキーのボトルを左手に握ってソファーから立ち上がりつつ、わざとらしく慈愛を込めた声音で二人に許しを認める言葉を浴びせた。

「スパイさん達、私は新しいお酒をもらってくるからそれまで君達は待ちに待った射精を愉しんでいなさい。君達のお尻をほじっている機械は、地下室の扉を開けている間動きを激しくするよう設定してあるから、後悔しないよう私が戻ってくるまでにたっぷりとイきまくっておくんだよ?」

発言だけを見れば、長い長い生殺しの後にほんのわずかな解放を与えたように思えるだろう。捕獲したスパイの男達を好き勝手に弄び、恥辱の一環として離席中のみ射精を許可したように見えるだろう。
しかし、実際は違う。二人のスパイを手中に収め淫獄を用いて心と身体を叩きのめしている残忍な男に慈悲を与える意思は欠片も無い。男は一瞬だけの希望をあっさりと没収され、我を忘れて打ちひしがれるスパイ達を鑑賞することを目的として冷たい本性を忍ばせた言葉を二人にぶつけたのだ。

「あぉ、うぁぉぉんっ! はぉ、あふぅぅんっ!」
「へぐ、へぉぉんっ……! あっあぁ、あぉんっ!!」

扉に向かって歩を進める自分に感謝の意思を乗せた唸りを飛ばすスパイ達の鳴き声を味わいながら、二人の支配者として君臨した男は密かに操作した胸ポケットのリモコンからの指示を受けて次のウィスキーを持ってきた部下が向こうで待っているであろう扉との距離を、歪んだ愉悦と高揚を膨らませつつゆっくりと狭めていくのだった。
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