無知な堅物は甘く平坦な生殺しを無自覚に注ぐ

五月雨時雨

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無知な堅物は甘く平坦な生殺しを無自覚に注ぐ

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幾ら内部で騒ぎ立てても外部に音が漏れ出ないよう設計された地下室に、にちゅ、にちゅという粘ついた水音が絶えず鳴り続けている。黒革製の目隠しを施された男が頬に涙を伝わせながら口に与えられた黒いギャグボールの穴ごしにやめてくれの思いを乗せた唸りを唾液と共に噴き出させても、水音を立てさせている残忍な存在の動きはとまらない。四本の脚を地下室の床に固定された木製の椅子に縫い付けられた裸体を男がめちゃくちゃによじらせながら悶え苦しんでも、その姿を嬉々として堪能している醜悪な存在の攻撃は決して途切れない。
緩慢な速度で水音を発生させている無慈悲な男の悪意から逃れたくても逃れられない哀れな男に残された選択肢は、注がれる悪意のままに悶絶を披露させられ続けることのみで。一切の抵抗を封じられた惨めな男は休み無いゆったりとした往復を繰り返す非道な右手に思う存分淫らに追い詰められた挙げ句、頂点の直前でその淫らな刺激を理不尽にも没収され、快楽の極みに至る手前で高められた肉体を放り出されてしまった。

「むがっ、あもぉぉっ! はぶっ、ぶあぁ、んむあぁぁ……っ!!」

意に染まぬ快感を丹念に流し込んでいた右手を離された男根が、もう何十度目かも分からない生殺しの仕打ちに絶叫を上げるかのような脈動を行いながら吐き出せなかった精液の代わりと言わんばかりに透明な蜜をどぷどぷと滴らせる。
視界と言葉を封じられた頭部を背もたれの真上に運ぶ形で仰け反らせ、背もたれを前後から挟んでいるかのような位置関係を強いられた胴体と両腕を背もたれへと縛り付ける縄達を耳障りに軋ませながら汗塗れの上半身を痙攣させ、椅子の前側の脚に縄で遊び無く括り付けられた両足をガクンガクンと滑稽に跳ねさせる男。そんな男を作り出し、何度眺めても飽きない射精をお預けされた際の情けない様子に興奮を滾らせた無慈悲な男は、表情を染める笑みの黒さを引き上げながら淫液に塗れた右手を再び動かし、まだ寸止めの衝撃から立ち直れずにいる男根を再度の寸止めへと導こうとした。
しかし、そんな男の動きは背後から右肩を叩いた存在によって遮られた。驚いた男が振り返るとそこには自分を見下ろしている同僚の姿があり、交代の時間の到来にも気付くこと無く恥辱の行使を愉しんでいた男に対する呆れを滲ませた声色で次の持ち場への移動を促してきた。

「俺が見張りをする時間だ。さっさと次に行け」
「んだよこれからが良いところだってのに……俺のテクで弄んでやった方がこの捜査員さんをもっと効率的に苦しめられるんだからさぁ」
「知らん。そもそも責め苦の一番の目的は傷を付けずに逃走に必要な体力の回復を不可能にさせる為だ。お前の拷問は上層部に黙認されているだけで推奨されている訳ではない」
「あぉ、んも、まおぉ」

文句を垂れつつも椅子に固定された捜査員から離れた男の代わりに捜査員へと歩み寄った男が、冷淡な声で文句を一蹴しながら持参した器具を萎えきれずにいた男根へと哀願の呻きを聞き流しつつ手早く装着していく。
亀頭の真下と男根の根元に黒く細いベルトを巻き、そのベルトとコードで繋がっているリモコンを捜査員の腹部付近を這う縄に差し込む堅物の同僚を右手を丸テーブルに用意されていたウェットティッシュで清めつつ背後で観察する男は、先程とは逆に呆れの視線を自分が浴びせながら小さく呟いた。

「俺の寸止めよりもその機械の方がよっぽど拷問だと思うんだがねぇ」
「何か言ったか?」
「いいや、何にも? ほんじゃ、お前のお望み通り俺は次に行ってやるよ。お前は俺と違って経験が足りないんだから、捜査員さんを壊さないよう気を付けろよ?」
「お前のように不必要な苦しみを与えないのだから壊れる訳が無いだろう。常識で考えろ」
「はぶっ、んまうぅ……うぐっ、んぎゅうぅ」

やっぱり何を言ってもこいつには無駄だと改めて悟りながら地下室を去る男と、大きな起伏も無いまま淡々と勃起のみを強いられる刺激の方が心と身体を淫猥に蝕まれる可能性があると把握していない同僚の会話を一方的に聞かされていた捜査員は微弱な振動を開始した男根のベルトに絶望を抱かされながら、目隠しの向こうにあるであろうソファーに腰掛けて読書と思われる紙の音を立て出した新たな見張りに向かって理性をじわじわと破壊する平坦な生殺しからの解放を小刻みに震わされる男根から分泌される蜜の量を増やしつつ、無意味に請い続けていた。
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