交差したチューブは限界の二人に淫臭を送り届ける

五月雨時雨

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交差したチューブは限界の二人に淫臭を送り届ける

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黒い革製の拘束服に首から下を包み込まれた男達が幾ら必死になって身を悶えさせても、自由を奪い取られた事実は覆せない。口内に媚薬混じりの水分を絶えず送り込んでいる男根を模した喉近くまでを満たす黒の口枷に歯を立てながら唸り、すぐ隣にいる仲間と共にじたばたともがき続けても、気を付けの姿勢で固められた仰向けの男達はベッドの上から下りることすらも叶わず、拘束服の側面にあてがわれた金具同士を結ぶ南京錠を鳴らし、ベッドの下部と仲間と繋がれている方とは反対側の拘束服の側面の金具を結合する幾本もの黒革ベルトを軋ませながら無様に手も足も出せない肉体をくねらせることしか出来ない。
左右の腕を胴体の横に固定され、足をきつく一つにまとめられ、ベッドへと厳重に縫い付けられた哀れな男達はもう、口内に注入される淫薬入りの水を為す術無く摂取させられながら発情を強いられる一方の無抵抗な肉体を嬲られるしか無い。決して絶頂には届かぬ振動に設定されている拘束服に内蔵された責め具に淫らな弱点を翻弄されながら、出口の無いもどかしい快楽にじわじわと打ちのめされるしか無いのだ。

「うぐっ、あぉ、え、おうぅ……っ!」
「ほ、はごっ、あぉ……ぶぁぉぉ……!」

苦しげに見開いた目から涙をボロボロと零し、塞がれた口から苦悶に満ちた悲鳴を漏らしつつ、男達は地獄から抜け出したい一心で身をよじらせる。硬く張り詰めさせられた男根の内側で渦巻く射精への渇望を嘲笑うかのように緩く震え続ける淫具の責めで長時間に渡って弄ばれた男達は、拘束からの脱出ではなく生殺しの拷問からの解放を求めて仲良くベッドの上で暴れ続ける。
もちろん、男達に与えられている拘束達は暴れたくらいで振り払えるような脆弱な物ではない。なりふり構わずに格闘を繰り返しても、男達は自力では何一つとして変化をもたらせぬ事実を改めて思い知らされながら、余計に加速する肉体の熱と射精欲に狂わされることしか出来ない。

「んも、おぐっ、ふぐぅぅっ!」
「うぅぅっ! んー! ぶぐぅぅぅんっ!」

拘束服の内側に蓄積した熱に疲弊し、いつまで経っても訪れない絶頂に憔悴させられた男達はもはや、心も身体も限界だ。唯一思い通りに動かせる頭部を振り乱し、ベッドのシーツと隣の仲間に汗を飛ばしながら鳴き喚く男達は、淫欲に思考を征服されたより強い悦楽を望むだけの存在だ。
そんな崩壊寸前の男達に、誇りや反抗を示す余裕などあるわけが無い。自分達を捕獲し、残忍な責めに放置した男達が部屋に戻ってきても、男達は数時間前に見せていた態度を思い出すことすらも出来ず、非道な男達の意に沿って陥落に至った二人はようやく戻ってきた男達に対して濡れた瞳で縋る視線を飛ばしながら拘束服に詰め込まれ仰向けを強要された肉体で腰を突き出し、今の己がどれだけ情けないかも分からぬまま本能を剥き出しにしたおねだりを示し始めた。

「んっ、んふっ、あむっ、むぶぅぅんっ!」
「おぐっ、んもぉっ! ふっ、ふぶ、んまぁぁっ!!」

イかせて。絶頂させて。射精させて。悲痛で滑稽な哀願を目にしながら、男達は残酷に微笑む。
目論見通りに壊れ出した二人の男に愉悦を募らせる男達は、二人に媚薬を飲ませていた機械と繋がっているチューブを口枷から取り外しつつ、まだ正気が残っていた頃に男達が不審に思っていた拘束服の腹部にあてがわれたチャックを開き、収納部分から太いチューブが接続された頭部全体を覆うマスクを取り出し、チューブを交差させる形で二人の男にもう一人の腹部から出したマスクを装着し始めた。

「これから、お仲間の匂いを嗅がせながらもっともっと発情させてやるよ。イきたくてもイけない苦しみと、イきたがってる仲間の匂いで壊れるまで発情させ続けてやるからな」
「んぅ!? おぐっ、むあぁっ!」
「暗闇の中で、仲間の匂いを嗅ぎながら……気持ち良くなることしか考えられないお馬鹿な淫乱になっちゃいなさい。そうなったら、たくさんイかせまくってあげるからねー」
「うぁっ、おぅぅっ! むぁ、えぁぁぁっ!」

抵抗らしい抵抗も行えぬまま頭部をすっぽりと包むマスクを与えられ、マスクから伸びたチューブを通して流れ込んでくる仲間を縛める拘束服内に充満した濃い淫臭混じりの空気に鼻腔を犯されながら、視覚情報すらも奪われた男達は原型を失いかけていた理性と正気にとどめを刺す無慈悲に引き上げられた生殺しの淫獄に悶絶する様を、ベッドを取り囲んで黒く笑う男達に完全な崩壊の時まで無言で堪能され続けていた。
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