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16】羨ましい

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16】羨ましい

 魔王様、俺の大好きな魔王様。綺麗で、可愛くて。塩対応が少しだけ甘くなったと思っていた魔王様───昔、恋人がいた魔王様。

「……はぁぁぁぁっ」

場所は俺の家。お気に入りのベッドの上で、大きなため息をついている。
つい先日、魔王様を怒らせた。魔王様に昔人間の恋人がいたことを知らず、人間の匂いを身につけて会いに行くと凄く怒らせてしまった。背中の羽が残っていたから良いものの、吹き飛ばされて鞭打ちに近い症状のまま家に帰って来たばかり。

「人間の恋人かぁ……」

門番たちから聞いた独り言のおかげで、俺の知らない魔王様について知れたから良かったが、今の俺の状態はコンディション・好感度ともに最悪。回復魔法で少し傷の癒えた身体で戻ってきたものの、完全ではない。また魔法を使ったが、まだ少し身体の節々が痛く魔法を使った分魔力が空になりかけている。一番手っ取り早い回復方法は、淫魔なら精気を吸いに行くことだが今のままでは気が進まない。

「どんな人間だったんだろ」

あの魔王様が、恋人にするほどの人間って。

「キスとかしたのかな? もしかして、それ以上も?」

下世話なことだと思いながら、つい考えてしまう。自身は嫌われている状況だというのに、そんなことを考える。大きなベッドの上で膝を抱え。珍しくセンチメンタルになりながら、魔王様のことを思った。

(魔王様……)

気づいたら好きになっていた。いや、物心ついた時から、俺はあの人が好きだと揺るがない気持ちが胸の奥にあったんだ。それこそ、何だか昔から知っているような。

「何でだろう?」

う~ん? と胸に手を当てて考えてみたが、答えは出なかった。

「それに200年かぁ……無理だろ~~~~! 我慢できねぇよぉぉぉ~~~~!」

そのままゴロゴロとベッドの上を転げまわる。時おり羽にズキンと痛みが走ったが、それ以上に、魔王様の怒りが静まるまで200年くらいじゃないかと言われた方が、気持ちが焦る。

「どうしたら良いかなぁ……」

こんなに恋愛で頭を抱えるなんて思ってもみなかった。淫魔だぞ? それこそ、色恋色欲なんでもござれだろうに、俺は淫魔らしくない。

「まぁ、魔王様を好きになった時点で、淫魔らしくなかったな」

普通の魔族ならば、魔王様に誓うのは忠誠。それを、こともあろうに組み敷きたい。自身の物にしたいと思ってしまった。

「だって好きなんもん。仕方ねぇじゃん」

誰に向かっての言葉でもない。ただ、自分に言い聞かせるだけ。

「あ~~~~~~っ、やっぱり羨ましい!!」

一周回っていきついたのは、やっぱり魔王様の恋人だった人間の男が羨ましいということだった。


*********
うーん>< 正直伸び悩みやつんだので、早めに終わらせようかなと思っています><
終わらせられれば良いのですが汗
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