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26】どちらが良い?
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26】どちらが良い?
俺だ! と訴える俺に、怒る魔王様。無理もないことだが、俺だって半信半疑。信じられないと思っているが、確かにあの光景を見て魔王様と恋人同士だった人間が、「昔の俺」だと分かる。なんだったら口調だって寄せるように言ってみるが、効果はない。それどころか、火に油を注いでしまう。
「ハデス。嘘じゃない、俺だ。ナイトだ」
「貴様の名前など知らぬ! 私が知っているナイトは一人だけ。貴様ではな……んぅ゛……っ!」
(あ~~~~っ! もう!!)
俺の言葉を聞こうとしない魔王様に、背伸びして無理やり口づけた。
柔らかな唇に自身の唇を押し当てて、閉じた唇を開けようと舌を押し込む。意志の強い魔王様の唇は強情で、スルリと掴んでいた手首を離し手首の腕あたり。裾口から手を忍び込ませ素肌を撫でれば、「ふぅっ……」と鼻を抜けるような甘い声が漏れる。今がチャンスと魔王様の口内へ舌を押し込み。真っすぐに伸ばした舌先で刺激に慣れていない上顎裏を撫でれば、また鼻を抜けるような声がした。
すりっ……ちゅっ。ちゅぷっ。ちゅっ。レロ~ッ……♡ ちゅぷっ……♡
「ふ、ぅ……ぁ、あ……」
(可愛い……)
侵入してしまった舌を押し返そうとするが、効果がない。ギュッ! と瞳を閉じたままの魔王様の表情が可愛くて、俺の方は調子に乗ってしまう。
ちゅっ♡ ちゅぷっ♡ はむっ……はむっ……♡♡
「んっ、ぁ゛……♡ぁえっ……♡」
ちゅぱっ……♡
逃げないでというように、絡んだ舌先を数回甘噛みしてようやく舌を引き抜いた。魔王様と俺の舌先の間に、透明な糸が伸びる。すぐにプツッ……と糸は切れてしまったが、閉じたままの魔王様の瞳が開いて黒い瞳が潤んでキラキラとしていた。
(ああ、やっぱり可愛い)
「貴様……っ」
魔王様の手から、自身の手は離さず。じっと潤む瞳を見上げて言った。
「ハデス。嘘じゃない」
「…………っ、本当に貴様なのか?」
「貴様ってなぁ。恋人に向かって随分な言い方じゃないか?」
「まだ信じられない。なぜ人間だったお前が、魔族に生まれ変わっている?」
「そりゃあ多分……俺が願ったからじゃないか? 言ったろう? 今度は魔族に生まれるって」
「それは……」
「俺とお前しか知らないことだろ?」
いい加減認めろよと、もう一度背伸びして可愛らしく口づけた。「ちゅっ」と短いリップ音の後、握っていた手を下し手のひらに触れる。互いの手の平を重ねて指を絡めれば、昔と手の平の大きさが違っていて少しだけ残念がった。
「昔は俺の方が大きかったのに」
今では身体の大きさも俺の方が小さい。一気に昔の記憶が戻った俺は、魔王様相手に生意気だった。
「なぁ、魔王様って呼ばれるのとハデスって呼ばれるの。どっちが良い?」
*******
終わらせる予定ですが、ワンクッションぬるいの入れようかなぁ…
俺だ! と訴える俺に、怒る魔王様。無理もないことだが、俺だって半信半疑。信じられないと思っているが、確かにあの光景を見て魔王様と恋人同士だった人間が、「昔の俺」だと分かる。なんだったら口調だって寄せるように言ってみるが、効果はない。それどころか、火に油を注いでしまう。
「ハデス。嘘じゃない、俺だ。ナイトだ」
「貴様の名前など知らぬ! 私が知っているナイトは一人だけ。貴様ではな……んぅ゛……っ!」
(あ~~~~っ! もう!!)
俺の言葉を聞こうとしない魔王様に、背伸びして無理やり口づけた。
柔らかな唇に自身の唇を押し当てて、閉じた唇を開けようと舌を押し込む。意志の強い魔王様の唇は強情で、スルリと掴んでいた手首を離し手首の腕あたり。裾口から手を忍び込ませ素肌を撫でれば、「ふぅっ……」と鼻を抜けるような甘い声が漏れる。今がチャンスと魔王様の口内へ舌を押し込み。真っすぐに伸ばした舌先で刺激に慣れていない上顎裏を撫でれば、また鼻を抜けるような声がした。
すりっ……ちゅっ。ちゅぷっ。ちゅっ。レロ~ッ……♡ ちゅぷっ……♡
「ふ、ぅ……ぁ、あ……」
(可愛い……)
侵入してしまった舌を押し返そうとするが、効果がない。ギュッ! と瞳を閉じたままの魔王様の表情が可愛くて、俺の方は調子に乗ってしまう。
ちゅっ♡ ちゅぷっ♡ はむっ……はむっ……♡♡
「んっ、ぁ゛……♡ぁえっ……♡」
ちゅぱっ……♡
逃げないでというように、絡んだ舌先を数回甘噛みしてようやく舌を引き抜いた。魔王様と俺の舌先の間に、透明な糸が伸びる。すぐにプツッ……と糸は切れてしまったが、閉じたままの魔王様の瞳が開いて黒い瞳が潤んでキラキラとしていた。
(ああ、やっぱり可愛い)
「貴様……っ」
魔王様の手から、自身の手は離さず。じっと潤む瞳を見上げて言った。
「ハデス。嘘じゃない」
「…………っ、本当に貴様なのか?」
「貴様ってなぁ。恋人に向かって随分な言い方じゃないか?」
「まだ信じられない。なぜ人間だったお前が、魔族に生まれ変わっている?」
「そりゃあ多分……俺が願ったからじゃないか? 言ったろう? 今度は魔族に生まれるって」
「それは……」
「俺とお前しか知らないことだろ?」
いい加減認めろよと、もう一度背伸びして可愛らしく口づけた。「ちゅっ」と短いリップ音の後、握っていた手を下し手のひらに触れる。互いの手の平を重ねて指を絡めれば、昔と手の平の大きさが違っていて少しだけ残念がった。
「昔は俺の方が大きかったのに」
今では身体の大きさも俺の方が小さい。一気に昔の記憶が戻った俺は、魔王様相手に生意気だった。
「なぁ、魔王様って呼ばれるのとハデスって呼ばれるの。どっちが良い?」
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終わらせる予定ですが、ワンクッションぬるいの入れようかなぁ…
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