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■ベッドを買いに来たものの③

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■ベッドを買いに来たものの③

 ベッドを選ぼうにも、リタさんは俺とソラの違和感をスルーしてくれないらしい。
リタさんに、本当に何も無かったのと質問され。気になったことと言えば、一緒に寝るのを止めようと提案したくらいだと素直に伝えれば、リタさんがフンフンと考えた後に言った。

「ソラって案外と独占欲が強いタイプだったのね。今までそういう素振り見せたことが無かったから、全然知らなかったわ。恋って人を変えるのね」

「恋!?」

突然のワードに、今度は俺が驚いた声を上げた。
恋? 鯉とか来いとかじゃなくて、恋!? それは、つまりソラも俺のことを「そういった意味で」好きってことか?
俺の驚きと慌てように、リタさんが今度はしまったという顔をする。流石に人の色恋を先にバラすのは不味いと思ったんだろう。リタさんも少し慌て出して、俺の記憶を消そうとした。

「あら、やだっ。まだ二人は何も無かったの!? ごめんなさい、高見忘れて。そうだ、気絶するくらいにおでこをデコピンしようかしら?」

「待って下さい! ソラには言わないから! デコピンは無しで!」

記憶を無くには、物理が良いと思ったんだろうか。だが流石に、リタさんと言えど巨人。無事でいられる自信がない。迫りくる大きな指に身構えながら、「ソラには言わないから!」と叫べば「ならいっか」とリタさんの指が引いて行った。(良かった)
ちょっとした九死に一生だったかもしれない。

「ソラには本当に内緒よ?」

「言いませんよ。でも、本当にソラは俺のこと好きなんですか? そのっ……特別な意味で」

「え!?高見、気づかないの!?!?」

「いや……俺、結構そういうのに疎くて。それに、何か特別にしてもらってる気がしないから……小動物扱いなのかと……」

俺がソラに言わないことを約束すれば、ベッド選びから恋バナに変わってしまった。俺も、客観的に見てソラは俺に対してどうなんだ? と気になっている部分があったので、リタさんの意見は助かる。
「気にしてませんよ」という嘘くさい演技をしながら、本当にソラは俺のことを好きか? と遠回しに聞くと、リタさんが即答した。

「好きでしょ! だって、あの初めて市場に来た時も、絶対他の巨人に渡さないってオーラ気づかなかったの? 大人しいソラが、いくら高見のためとはいえ、わざわざ市場に来たのも半分は自慢したかったからね。私には分かるわ」

「ソラとリタさんって、付き合いが長いんですか?」

「まぁ、そうね。それなりに長いわね。それこそ互いに子供の時からの知り合いだから、腐れ縁みたいなものよ。変な関係はないから、気にしないで。ソラも私も互いに良い友達なだけだから」

「ははっ……」

「で? 私の見立てでは、100%ソラは高見のことを好きなんだけど、高見はどうなの?」

リタさんの言葉に、俺はどう答えるべきだろう?

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