42 / 53
■家に帰って来たものの■
しおりを挟む
■家に帰って来たものの■
「「ただいま」」
「お帰り、高見」
「お帰り、ソラ」
ギイィッと扉を引いて、二人で家に帰って発した言葉は帰って来たことを知らせる言葉。それから、互いに迎える言葉。出迎えを互いにしている感じがして良いと、やり始めたら癖になってしまった。
誰かの声がすることは嬉しいので、俺としては嬉しい。好きな相手からだと、猶更だ。
「高見。今日はちょっと沢山食材を買ったから、ご飯楽しみにしててね」
「ああ! ソラの料理は美味いから楽しみだな」
ソラも家に帰りほっとしたのか、幾分機嫌が戻っているように見える。良かったなぁと思いながらソラの手には、確かにいつも以上に多い食材が紙袋に入っているように見えた。
「先にベッドを運んでおくね。前にあったところで良い?」
「頼む。俺も少し休憩しようかな」
「良いよ。ベッドも入れ終わったから少し寝たら?」
「うーん……そうする」
ソラが買って来た新しいベッドを俺の家に入れて、天井を付けなおした。これなら俺はソラに見られることなく一人の時間。ゆっくりと部屋に入り、ソラの視線は無いというのに、思わずキョロキョロと左右を確認したあと。自慰をした時のように毛布を頭から被った。(新しいだけあって、凄くフカフカだ)
「……俺が、ソラに告白する……のか?」
思わず疑問形。尋ねるように言ったところで、リタさんもいない。俺かソラしかいない家で、返事があるわけもない。
『食べて欲しいくらい好き』
「そんなの……ハードルが高過ぎる……っ!」
(言えるか? いや、無理だろ!?!?)
と、心の中で俺の気持ちが反復横跳びをしていて忙しい。言えねぇよぉぉぉ……と毛布の中で体操座りをするように脚を抱える姿勢になりながら、覚えているのはここまで。
うつらうつらとしながら、身体は疲れていたんだろう。気づけば寝落ちしていて、この後俺が起きるのはソラが家の外から聞こえる「高見、ご飯だよ」の声に起きるのは暫くしてからのこと。
*********
******
****
「高見、ご飯だよ」
「んぁっ!?」
「高見~?」
「起きた、起きたぞ! ソラ」
毛布の中に潜り込んでいたはずだが、息苦しかったのか起きた時には普通に天井が見えた。名前を呼ばれ、身体を起こす。そういえば、風呂は? と自分の身体を触ってしまった。寝巻じゃない。昼寝をしただけらしい。
「昼寝なんて、何年ぶりだろうな」
欠伸を一つしたあと、家を出ればソラが俺を見てクスリと笑った。
「何だよ」
「高見、よく寝てたんだね。寝癖ついてるよ」
「どうせ後で風呂に入るから、良いんだよ」
「可愛いって意味だったんだけど」
「怒った?」と俺の髪を撫でたソラに、俺のキャパを超えて心臓がヤバかった。
「高見、もしかして熱ある? 顔が赤いけど」
ソラにドキドキしてるからだよ! と言えるはずもなく。咄嗟に撫でて来たソラの指を離せばソラの唇がキュッと締まった。
「毛布被って寝てたから、ほら。手を離して。あぁ~早くソラの作ったご飯が食べたいなぁ~」
「分かった。今から持ってくるね」
それからは、いつも通り。
ソラが作ったご飯を食べて、風呂に入って。あとは寝るだけ。違うとすれば、寝る前に、ソラが考えたように言った。
「高見。やっぱり高見は、リタと一緒に暮らしたらどうかな?」
「え……?」
「リタなら、きっと高見のことを歓迎してくれるよ。家の心配もしなくて良いから。この家丸ごとリタのところに持って行くし。そうだなぁ……リタは、料理が少し苦手だから、それは大目に見てあげてね」
「なっ……んで」
「高見?」
「何で、そんなこと言うんだよ……」
俺を離そうとしないでくれ。
********
一部重複投稿のようになっていたらしく、すみません><
削除、タイトル修正ほか完了致しました
「「ただいま」」
「お帰り、高見」
「お帰り、ソラ」
ギイィッと扉を引いて、二人で家に帰って発した言葉は帰って来たことを知らせる言葉。それから、互いに迎える言葉。出迎えを互いにしている感じがして良いと、やり始めたら癖になってしまった。
誰かの声がすることは嬉しいので、俺としては嬉しい。好きな相手からだと、猶更だ。
「高見。今日はちょっと沢山食材を買ったから、ご飯楽しみにしててね」
「ああ! ソラの料理は美味いから楽しみだな」
ソラも家に帰りほっとしたのか、幾分機嫌が戻っているように見える。良かったなぁと思いながらソラの手には、確かにいつも以上に多い食材が紙袋に入っているように見えた。
「先にベッドを運んでおくね。前にあったところで良い?」
「頼む。俺も少し休憩しようかな」
「良いよ。ベッドも入れ終わったから少し寝たら?」
「うーん……そうする」
ソラが買って来た新しいベッドを俺の家に入れて、天井を付けなおした。これなら俺はソラに見られることなく一人の時間。ゆっくりと部屋に入り、ソラの視線は無いというのに、思わずキョロキョロと左右を確認したあと。自慰をした時のように毛布を頭から被った。(新しいだけあって、凄くフカフカだ)
「……俺が、ソラに告白する……のか?」
思わず疑問形。尋ねるように言ったところで、リタさんもいない。俺かソラしかいない家で、返事があるわけもない。
『食べて欲しいくらい好き』
「そんなの……ハードルが高過ぎる……っ!」
(言えるか? いや、無理だろ!?!?)
と、心の中で俺の気持ちが反復横跳びをしていて忙しい。言えねぇよぉぉぉ……と毛布の中で体操座りをするように脚を抱える姿勢になりながら、覚えているのはここまで。
うつらうつらとしながら、身体は疲れていたんだろう。気づけば寝落ちしていて、この後俺が起きるのはソラが家の外から聞こえる「高見、ご飯だよ」の声に起きるのは暫くしてからのこと。
*********
******
****
「高見、ご飯だよ」
「んぁっ!?」
「高見~?」
「起きた、起きたぞ! ソラ」
毛布の中に潜り込んでいたはずだが、息苦しかったのか起きた時には普通に天井が見えた。名前を呼ばれ、身体を起こす。そういえば、風呂は? と自分の身体を触ってしまった。寝巻じゃない。昼寝をしただけらしい。
「昼寝なんて、何年ぶりだろうな」
欠伸を一つしたあと、家を出ればソラが俺を見てクスリと笑った。
「何だよ」
「高見、よく寝てたんだね。寝癖ついてるよ」
「どうせ後で風呂に入るから、良いんだよ」
「可愛いって意味だったんだけど」
「怒った?」と俺の髪を撫でたソラに、俺のキャパを超えて心臓がヤバかった。
「高見、もしかして熱ある? 顔が赤いけど」
ソラにドキドキしてるからだよ! と言えるはずもなく。咄嗟に撫でて来たソラの指を離せばソラの唇がキュッと締まった。
「毛布被って寝てたから、ほら。手を離して。あぁ~早くソラの作ったご飯が食べたいなぁ~」
「分かった。今から持ってくるね」
それからは、いつも通り。
ソラが作ったご飯を食べて、風呂に入って。あとは寝るだけ。違うとすれば、寝る前に、ソラが考えたように言った。
「高見。やっぱり高見は、リタと一緒に暮らしたらどうかな?」
「え……?」
「リタなら、きっと高見のことを歓迎してくれるよ。家の心配もしなくて良いから。この家丸ごとリタのところに持って行くし。そうだなぁ……リタは、料理が少し苦手だから、それは大目に見てあげてね」
「なっ……んで」
「高見?」
「何で、そんなこと言うんだよ……」
俺を離そうとしないでくれ。
********
一部重複投稿のようになっていたらしく、すみません><
削除、タイトル修正ほか完了致しました
応援ありがとうございます!
4
お気に入りに追加
169
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる