57 / 175
56】【番外編】とある賢者が気になることは②
しおりを挟む
56】【番外編】とある賢者が気になることは②
(アラン様に、女の気配は今のところ無さそうだ)
ほっと胸を撫でおろしつつ、機嫌が良くなる俺。王様まで機嫌が良いなと指摘するほど、俺は随分と明るい表情をしているらしい。今なら難しい問題も、ちょちょいと解決することだって出来る気がする。
「ああ、そうだ。王様、俺はもう戻っても?」
「お主……アランのところへ行くつもりだろう?」
「正解。王様も賢者の素質がありますよ。それとも名探偵の素質かな?」
「アランに関してのお主が、分かりやす過ぎるんじゃ」
「そうですか?」
「そうじゃ」
「まぁ……じゃあ、そういうことで。俺は戻りますよ」
「好きにせい」
大きな帽子を脱いで、深々とお辞儀。礼儀正しく部屋を出て、カツカツと城の中を歩いてみる。
(朝だったら、文官室があるチャンスがあるってことを知ったんだが……。この時間、アラん様はどこにいるだ?)
忙しいアラン様だ。毎日同じスケジュールというわけでもない。
「やはり文官室に行って、アラン様の予定を聞いた方が早いか?」
書庫、訓練場。はたまた、城を出ている可能性だって0じゃない。
(あー……今、凄くアラン様に会いたいんだけどな)
好きな人に会いたい。それは誰しも思うことだろう?
さてどうするか。やはり文官室に行った方が早いと足を向けた……までは良かった。
「ん? あれは……」
願ったり叶ったり。俺が見間違えるはずもない人物の後ろ姿が見えた。アラン様だ。書類を持っている様子。何か書類仕事でも片づけにやって来たのか? と思いつつ声をかけようとしたが、俺よりも早く声をかけた人物がいた。
「アラ……」
「アラン様!」
(ん?)
俺はまだアラン様までの距離は遠く、なんなら気づいて貰えない距離だ。だが俺よりも先に声をかけた人物──城内の女性はアラン様に至近距離で何か楽しそうに話していた。分け隔てなく接するアラン様だ。おそらくあの様子では、給仕関係だろうか。親しげに話したあと、そっと手の中から小さな包みを取り出して渡している様子が見えた。
(全く油断も隙もない……!)
端的にいえば嫉妬だ。羨ましいとか、俺も! とか。
城内ではアラン様の傍にいても違和感がないくらい、ゆったりと過ごしているというのに。タタタッ、と走ってアラン様の隣に行って良いのなら、俺だって。
ズンッ、と一歩大きく踏み出して早歩きでアラン様の元へ。だんだんと二人の会話も聞こえてきて、アラン様に作った菓子を食べて欲しいとのことらしい。
(ふーん)
「こんにちは、アラン様。今、お話し宜しいですか?」
「け、賢者様」
「おや、レオ殿。こんにちは」
落ち着いて、出来るだけ普段通りに。賢者として、愛想よく。自分に注意しつつ、俺はちゃんと笑えているだろうか。
「ええ、勿論。すまない。では私はこれで。菓子を有難う。あとで二人で頂くよ」
「は、はいっ!」
ニコリと柔和に微笑むアラン様。この顔が、騎士団長とは思えない顔へ変わるのを知っているのは俺だけ。そう自分に言い聞かせて、平常心を装った。
(今、この前みたいな口づけたらどんな顔をするんだろうか)
そんなことを思いながら、俺はアラン様が「行きましょう」と前を歩いてくれたので少しだけまた機嫌が良くなった。
(俺が案外とアラン様には単純だって、本人は知らないだろうなぁ)
そう思いながら、アラン様の手に握られた菓子に変わらず嫉妬する俺だった。
(あの菓子は、絶対俺が全部食べるぞ)
********
コメント有難うございました!(^^)嬉しかったです。
繁忙とネタ切れのため、暫く更新止まると思います><
(アラン様に、女の気配は今のところ無さそうだ)
ほっと胸を撫でおろしつつ、機嫌が良くなる俺。王様まで機嫌が良いなと指摘するほど、俺は随分と明るい表情をしているらしい。今なら難しい問題も、ちょちょいと解決することだって出来る気がする。
「ああ、そうだ。王様、俺はもう戻っても?」
「お主……アランのところへ行くつもりだろう?」
「正解。王様も賢者の素質がありますよ。それとも名探偵の素質かな?」
「アランに関してのお主が、分かりやす過ぎるんじゃ」
「そうですか?」
「そうじゃ」
「まぁ……じゃあ、そういうことで。俺は戻りますよ」
「好きにせい」
大きな帽子を脱いで、深々とお辞儀。礼儀正しく部屋を出て、カツカツと城の中を歩いてみる。
(朝だったら、文官室があるチャンスがあるってことを知ったんだが……。この時間、アラん様はどこにいるだ?)
忙しいアラン様だ。毎日同じスケジュールというわけでもない。
「やはり文官室に行って、アラン様の予定を聞いた方が早いか?」
書庫、訓練場。はたまた、城を出ている可能性だって0じゃない。
(あー……今、凄くアラン様に会いたいんだけどな)
好きな人に会いたい。それは誰しも思うことだろう?
さてどうするか。やはり文官室に行った方が早いと足を向けた……までは良かった。
「ん? あれは……」
願ったり叶ったり。俺が見間違えるはずもない人物の後ろ姿が見えた。アラン様だ。書類を持っている様子。何か書類仕事でも片づけにやって来たのか? と思いつつ声をかけようとしたが、俺よりも早く声をかけた人物がいた。
「アラ……」
「アラン様!」
(ん?)
俺はまだアラン様までの距離は遠く、なんなら気づいて貰えない距離だ。だが俺よりも先に声をかけた人物──城内の女性はアラン様に至近距離で何か楽しそうに話していた。分け隔てなく接するアラン様だ。おそらくあの様子では、給仕関係だろうか。親しげに話したあと、そっと手の中から小さな包みを取り出して渡している様子が見えた。
(全く油断も隙もない……!)
端的にいえば嫉妬だ。羨ましいとか、俺も! とか。
城内ではアラン様の傍にいても違和感がないくらい、ゆったりと過ごしているというのに。タタタッ、と走ってアラン様の隣に行って良いのなら、俺だって。
ズンッ、と一歩大きく踏み出して早歩きでアラン様の元へ。だんだんと二人の会話も聞こえてきて、アラン様に作った菓子を食べて欲しいとのことらしい。
(ふーん)
「こんにちは、アラン様。今、お話し宜しいですか?」
「け、賢者様」
「おや、レオ殿。こんにちは」
落ち着いて、出来るだけ普段通りに。賢者として、愛想よく。自分に注意しつつ、俺はちゃんと笑えているだろうか。
「ええ、勿論。すまない。では私はこれで。菓子を有難う。あとで二人で頂くよ」
「は、はいっ!」
ニコリと柔和に微笑むアラン様。この顔が、騎士団長とは思えない顔へ変わるのを知っているのは俺だけ。そう自分に言い聞かせて、平常心を装った。
(今、この前みたいな口づけたらどんな顔をするんだろうか)
そんなことを思いながら、俺はアラン様が「行きましょう」と前を歩いてくれたので少しだけまた機嫌が良くなった。
(俺が案外とアラン様には単純だって、本人は知らないだろうなぁ)
そう思いながら、アラン様の手に握られた菓子に変わらず嫉妬する俺だった。
(あの菓子は、絶対俺が全部食べるぞ)
********
コメント有難うございました!(^^)嬉しかったです。
繁忙とネタ切れのため、暫く更新止まると思います><
1
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
冷酷無慈悲なラスボス王子はモブの従者を逃がさない
北川晶
BL
冷徹王子に殺されるモブ従者の子供時代に転生したので、死亡回避に奔走するけど、なんでか婚約者になって執着溺愛王子から逃げられない話。
ノワールは四歳のときに乙女ゲーム『花びらを恋の数だけ抱きしめて』の世界に転生したと気づいた。自分の役どころは冷酷無慈悲なラスボス王子ネロディアスの従者。従者になってしまうと十八歳でラスボス王子に殺される運命だ。
四歳である今はまだ従者ではない。
死亡回避のためネロディアスにみつからぬようにしていたが、なぜかうまくいかないし、その上婚約することにもなってしまった??
十八歳で死にたくないので、婚約も従者もごめんです。だけど家の事情で断れない。
こうなったら婚約も従者契約も撤回するよう王子を説得しよう!
そう思ったノワールはなんとか策を練るのだが、ネロディアスは撤回どころかもっと執着してきてーー!?
クールで理論派、ラスボスからなんとか逃げたいモブ従者のノワールと、そんな従者を絶対逃がさない冷酷無慈悲?なラスボス王子ネロディアスの恋愛頭脳戦。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる