【完結・BL】騎士団長様は「とある悩み」を解消したい!【賢者×騎士団長】

彩華

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57】【番外編】とある賢者が気になることは③

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57】【番外編】とある賢者が気になることは③

 「静かな場所ですね」

「そうでしょう? 私が好きな場所なんです」

「ここなら大丈夫でしょう。あまり人も来ない場所です」

アラン様が、俺を連れて「行きましょう」と言った。だがその道中、一度食堂へ寄って飲み物を貰い。またスタスタと歩いてきた場所は、城の中でも静かな場所。庭園の奥まった噴水の傍だった。確かに静かだ。噴水の水音と、やって来た鳥の鳴き声が聞こえる程度。

「といっても。レオ殿の家の方が、自然が豊かで静かでしょうけど」

「ですが、こんなに綺麗に整えてはいませんよ。俺の家は言葉通りの自然なんで」

よいしょ、と噴水の淵に座るアラン様。どうぞ? と俺に目配せをするので、俺も隣座る。

「何だか、ピクニックでもしてる気分ですね」
「そうですね。たまには息抜きも必要ですよ」

「俺は休んでばかりなんで、アラン様には必要でしょうね」

フーッと息を吐けば、アラン様が「レオ殿」と俺の名前を呼んだ。

「レオ殿」

「はい」

アラン様の方を見れば、その手には先ほど渡された菓子の袋が広げらえていた。

────イラッ。

「……」

「レオ殿。どうしたんですか? 顔が怖いですよ」

「え、俺が……?」

「はい。何か嫌なことでも? といっても、私くらしか気づいていないと思うので、私の読みも違っていたら申し訳ないのですが」

「……」

「レオ殿?」

「俺、そんなに顔が怖かったですか?」

静かに顔を覆えば、クスクスとアラン様の笑い声が聞こえた。

「いえ。普段通り笑っていましたが、こう……何だか怒っている様子だったので」

笑顔を作っていたつもりだが、アラン様にバレてしまった。恥ずかしいという気持ちと、アラン様が俺の些細な様子に気付いて貰えたのが嬉しい。何なら、自惚れてしまう。

「あー……そのっ、別に怒っていたわけでは……」

怒っていたというよりも、ただの嫉妬だし。まぁ、怒っていたには変わりないか。

「じゃあ、きっとお腹が空いていたんですよ。はい、レオ殿」

「あ、えと……」

「うちの団員達も、空腹だと結構気が荒くなることが多くて。私たちが身体なら、レオ殿は頭を使いますからね。無意識にお腹が減ってしまって気が立っていたかもしれません。頂き物ですが、どうぞ」

差し出されたのは、先ほどアランさまが受け取った菓子だ。俺が全部食べると意気込んでいたチャンスが、こんなにすぐに到来するとは。特に空腹ではないが、そう思っているのなら利用するほかない。

「いいんですか? じゃあ、お言葉に甘えて」

中に入っていたのはクッキーだった。形も様々で、趣向を凝らしている様子から作った先ほどの女性の気合が見て取れた。

(気合い入れて作ってるなぁ)

パキッ、と口の中で割れたクッキー。美味いと思いながら、一枚。また一枚と腕を伸ばした。

「やっぱり。レオ殿、お腹が空いていたんですよ」

「そうかもしれませんね。すみません、俺このクッキー全部食べても良いですか?」

「ええ、勿論」

正直、少し驚いた。流石にアラン様が貰ったものだし、1枚くらいと言われるかと思ったが、全部俺が食べて良いらしい。俺の方が優先されたと、また自惚れてしまう。


「美味しいですよ、アラン様」

「それは良かった」

「一枚食べますか?」

「いえ、大丈夫です。私は今特にお腹が空いていないので、コーヒーだけ頂きますよ」

「……」

「ふふっ」

「どうしたんですか? 俺の顔、何かついてますか?」

「いいえ? ただちょっと……頬張っている顔がリスみたいだと思って」

「……アラン様にはあげませんからね」

どうしてあげないのかの理由を、気づきはしないんだろうなぁと思いながら。
きっと同じ思いだろうが、「俺のだ」と主張するように。芽が出る前に、潰しておかなくてはと物騒なことを思いながらクッキーをまた腹の中へと押し込んだ。


*********
完全に詰みました
暫くPixivの更新多めになると思いますorz
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