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105】【番外編】とある賢者の傷心②
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105】【番外編】とある賢者の傷心②
「王様、お久しぶりです」
「おお、レオか。最近会いに来ぬから、心配したんじゃぞ。ぬぅ……ちと痩せたか?」
「ええ、まぁ。でもすぐに戻りますよ。帰りに食堂で肉を食べて帰ります」
「そうか。食欲があるなら良い。城に出向かずに、何をしておったんじゃ? 研究か? 使いの者が心配しておったぞ」
「あー……まぁ、そうですね。研究とかではないんですが……」
「お主が、籠城までするほどじゃ。よほど何かあったんじゃろう?」
「王様に心配されちゃあ、一国民としては答えないわけにはいかないじゃないですか」
はぁっ……と溜息をついて、目の前にいる王様を見つめた。
「フラれて籠城してました」
「フラ……? 籠城……?」
「いや、多分まだフラれてはないはず……でも、フラれたと変わらないか? あー、もうこの話はこの辺にしておきましょう。俺の決意が揺るぐし、傷口が広がってしまいます」
「しかしお主籠城とは……。随分と真剣な相手じゃったに違いないのぅ」
「それはもう。随分と前から、俺はその人に夢中ですよ」
「ふぉふぉっ。まぁ、確かに。お主の様子を見るに、ローブが汚れたままでも気にしないほど、随分と傷心だったようじゃし。随分と傷が深かったようじゃ」
チラリと俺を見た王様に、返す言葉もなかった。そういえば、ローブの帽子の一部はいつだったか木々が引っ掛かり、糸が傷つき。足元は走ったために砂埃で色づいている。
「……返す言葉もありません。すみません、せっかく頂いたローブがこんな」
「気にするでない。ローブの変えは沢山ある。それよりも、その様子じゃと気持ちの整理は出来たようじゃし、顔色も悪くはないから安心かと思うが……」
「思うが?」
「気分転換といっては何じゃが、ちと使いを頼まれてくれぬか? 医務の者たちが薬草が少なくなってきたと話しておっての。生憎、補充する係の薬草に詳しい者が不在で困っておるようなのじゃ。お主、薬草には詳しいじゃろう? よければ一人医務の者と買い出しに行ってくれ」
「はぁ……まぁ、その程度なら」
「うんうん。気分転換じゃ。レオ」
「分かりました。急ぎでしたら、今からでも良いですが」
「食事は良いのか?」
「別に食べなくても平気です。それより、早く済ませましょう」
「せっかちじゃのぅ。分かった、後ほど医務室へ向かってくれ。それと……」
「それと?」
「また顔を見せにくるんじゃぞ?」
「分かっていますよ。大丈夫です。明日から、ちゃんとしますよ」
「うむ。話し相手がおらぬの寂しいからの。ああ、それから」
「まだあるんですが」
「ワシにそんなことが言えるのは、お主くらいじゃて。ワシもたまには恋の話がしたいんじゃが」
「…………嫌ですよ」
「なんじゃと!? 良いではないか、たまには! アランの奴はからっきしじゃし、お主が恋しているなら、ちょうどよかろう」
「良くないですって。じゃあ、王様。俺はこれで」
王様も、あれでも心配しれくれているのだ。まぁ、気が向いたら相談程度に……と思いつつ、俺は気分転換の使いへと向かったのだった。
*********
お気に入り有難うございます(^^)嬉しいです!
力業でどうにかしていくぞー!
「王様、お久しぶりです」
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はぁっ……と溜息をついて、目の前にいる王様を見つめた。
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「それはもう。随分と前から、俺はその人に夢中ですよ」
「ふぉふぉっ。まぁ、確かに。お主の様子を見るに、ローブが汚れたままでも気にしないほど、随分と傷心だったようじゃし。随分と傷が深かったようじゃ」
チラリと俺を見た王様に、返す言葉もなかった。そういえば、ローブの帽子の一部はいつだったか木々が引っ掛かり、糸が傷つき。足元は走ったために砂埃で色づいている。
「……返す言葉もありません。すみません、せっかく頂いたローブがこんな」
「気にするでない。ローブの変えは沢山ある。それよりも、その様子じゃと気持ちの整理は出来たようじゃし、顔色も悪くはないから安心かと思うが……」
「思うが?」
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「うんうん。気分転換じゃ。レオ」
「分かりました。急ぎでしたら、今からでも良いですが」
「食事は良いのか?」
「別に食べなくても平気です。それより、早く済ませましょう」
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「ワシにそんなことが言えるのは、お主くらいじゃて。ワシもたまには恋の話がしたいんじゃが」
「…………嫌ですよ」
「なんじゃと!? 良いではないか、たまには! アランの奴はからっきしじゃし、お主が恋しているなら、ちょうどよかろう」
「良くないですって。じゃあ、王様。俺はこれで」
王様も、あれでも心配しれくれているのだ。まぁ、気が向いたら相談程度に……と思いつつ、俺は気分転換の使いへと向かったのだった。
*********
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